キムリックの基礎情報
・日本語表記:キムリック
・英語表記:Cymric
・原産地:カナダ
・発生:突然変異
・毛種:長毛種
・体格:コビー
・体重:オス3~6キログラム、メス3~5キログラム
・公認団体:TICA ・ FIFe
キムリックの性格・特徴
キムリックは、日本のペットショップでは見かけることが少ないので、どのような猫なのかイメージできない方も多いのではないでしょうか。キムリックの性格、体の特徴、短いしっぽについて紹介します。
キムリックの性格
キムリックは、穏やかで愛情深い性格をしています。
やや人見知りをするシャイな面がありますが、飼い主さんには甘えん坊で忠誠心もあるため、信頼関係をしっかりと築くことができます。
とても賢い猫なので、手でドアを開けることを覚えることもあります。犬のように投げたボールを追いかけて持ってくる子もいます。
知らない人に懐くことはほとんどなく、子どもにしつこく触られることが苦手です。用心深く、警戒心が強いので、飼い始めた頃は警戒して甘えてこないかもしれません。
キムリックの前で、大きな音を出したり叱ったりすると怖がってしまうので、飼い主さんには「甘えても大丈夫だ」と猫に理解してもらえるように、優しく接していきましょう。
キムリックの特徴
キムリックは、体が全体的に丸いことが特徴です。
頭や顔も丸く、目はややつりあがっていますが丸みを帯びていて、顔の表情が豊かです。オスでは6キロになることもあり、筋肉質で中型のずっしりとした猫です。
高いところよりも低い位置にいることが好きなので、フロアキャットとも呼ばれています。後ろの足が少し長いため、ぴょんぴょんと跳ねるような歩き方をするので、歩いている姿もとても可愛らしいです。
被毛は光沢があり、長毛なのでふわふわしたよい手触りです。
キムリックのしっぽの特徴
キムリックはしっぽの短さが特徴的です。
長いしっぽを持って生まれてくる子もいるため、しっぽの長さによって4つのタイプに分けられます。しっぽの種類は、しっぽが全くないランピー、とても短いしっぽのランピーライザー、ほかの猫よりもやや短いしっぽがあるスタンピー、曲がっているが普通のしっぽがあるロンギーです。
しっぽがないランピーは、遺伝疾患を発症しやすいので、ランピー同士の交配は行われていません。
キムリックの毛色・目の色
キムリックの毛色は、ブラック、ホワイト、レッド、クリーム、ブルーなどの毛色があります。
パターン(柄)も豊富で、単色のソリッド、アメリカンショートヘアのように縞模様があるタビー、複数の色が入ったパティーカラーなど人気の毛色があります。
このほかにも、シルバー&ゴールデン、スモーク&シェーデッド、キャリコ&バイカラー、タビー&ホワイト、ポインテッド、ポインテッド&ホワイトなど様々な種類があります。
たくさんの毛色やバリエーションに富んだパターンがあることは、キムリックの魅力のひとつです。
キムリックの目の色は、ブルー、グリーン、ヘーゼル、赤茶色っぽいカッパー、左右で目の色が異なるオッドアイがあります。ゴールドやイエロー、オレンジなどの黄色っぽい色の目は見られません。
キムリックの写真を調べると、単色のソリッドでブラックやクリーム、レッドの子を見ることが多いですが、毛色や柄の種類が多いので、個性に富んだ魅力的な容姿の子もたくさんいます。
キムリックの鳴き声
キムリックの声は大きくはありませんが、おしゃべりが好きなので、クセのあるトリル音を出すことがあります。
トリルとは「クルル」「ンン〜」「ウゥ〜」のように聞こえる短い鳴き声です。これは子猫が母猫の注意を引きたいときに出す声です。
クルルと鳴きながら飼い主さんにすり寄ってくる場合は、甘えたいという気持ちの表れです。甘えん坊な猫は、飼い主さんになでられるときに、よく小さな優しい声で鳴きながらすりすりと体をこすりつけたりします。
このほかにも、「ゴロゴロ」と喉を鳴らすことがありますが、これも飼い主さんになでられたりして満足しているときに出す声です。
基本的には、トリルもゴロゴロと喉を鳴らすときもポジティブな感情なので、甘えてきたときには抱っこをしたりなでたりしてあげましょう。
キムリックの寿命・病気
キムリックの寿命は、10〜13歳です。猫の平均寿命が15歳なので、平均よりやや短いです。
キムリックは遺伝疾患を発症する可能性があるので、気になる症状がある場合は、動物病院を受診するようにしてください。
マンクス症候群:遺伝性の疾患で、脊椎の奇形、脊髄の異常、椎間板の異常、膀胱や直腸などの機能障害などを起こす疾患。マンクス症候群は、しっぽがないランピーを持つキムリックとマンクスが発症しやすい疾患です。
しっぽがないランピー同士で交配させると、生まれてきた猫がマンクス症候群を発症する危険性があるので、繁殖のときには専門家に相談する必要があります。遺伝疾患であるため、予防法は危険な交配を避けることになります。
生後半年後から症状が出る場合があるので、しっぽがないランピーのキムリックは特に、気になる症状がないかチェックしましょう。
尿路疾患:尿道や膀胱に関わる疾患の総称です。尿が出ないなどの症状に注意が必要です。
キムリックの飼い方
キムリックは長毛種なので、ブラッシングやシャンプーは定期的に行う必要があります。このほか、キムリックを飼育するときに注意してほしいポイントを紹介します。
ブラッシングやシャンプーは定期的に行う
キムリックは被毛が長いので、ブラッシングは最低でも1週間に3回は行いましょう。
シャンプーも美しい被毛を保つためには欠かせないので、子猫の頃から水に慣れてもらうために、お風呂に入れてあげましょう。
キムリックは用心深く、警戒心も強いので、最初は水に驚いてしまうこともあるかもしれませんが、優しくゆっくりと慣れさせていきましょう。
肥満に注意する
キムリックはとても賢く、飼い主さんが食べているものは安全なものだと考えるようで、食事をしているときに飼い主さんが食べているものを欲しがります。
飼い主さんが食べているものを、愛猫が美味しそうに食べるとあげたくなってしまいますが、人が食べている食事は塩分や脂質が多いため、猫によって不健康な食事になってしまいます。
猫が人のものを食べると、高血圧になってしまったり、肥満になることで生活習慣病を発症するリスクも高まります。また、体重増加によって関節に負担がかかり、動くことができなくなってしまったり、痛みが出る可能性もあります。
どうしても料理を食べてもらいたいときは、猫用のレシピで調理をして与えることをおすすめします。キャットフードは、猫の健康を考えて作られているので、飼い主さんの食事を猫に与えてしまわないように注意しましょう。
しっぽを触りすぎないように注意する
キムリックの特徴であるしっぽは、珍しいのでつい触りたくなってしまいますが、しっぽはデリケートな場所なので、猫は触られることを嫌がります。
猫が嫌がっているときには、無理に触ったりしないようにしましょう。また、触っても嫌がらない場合でも、触りすぎには注意してください。
しっぽが短い猫を見かける機会は少ないと思うので、家に知人やお子さんが遊びに来たときには、しっぽを触りすぎないように声掛けをしてあげましょう。
キムリックの歴史
キムリックは、マンクスの繁殖を行っている過程で、突然変異して誕生した猫です。
キムリックという名前は、マンクスのふるさとであるイギリスのマン島に近い、ウェールズ地方の別名キムリーから来ています。
同じくしっぽのないマンクスは短毛種ですが、キムリックは長毛種の猫です。キムリックの体の特徴としては、被毛の長さを除いて、ほとんどマンクスと同じです。
キムリック同士で交配を行っても、長毛の子猫が生まれてくる確率は、25%(1/4)です。しっぽがないランピーの子猫が生まれてくることもとても少ないので、長毛でしっぽがないキムリックはとても希少です。
しっぽがないランピー同士の交配は、子猫が遺伝疾患になってしまう確率を高めたり、妊娠中に子猫が死亡してしまう危険性もあるので、慎重な交配が行われていることも数が少ない原因と考えられるでしょう。3代続けての交配も同じく危険であるため、現在は行われていません。
猫の公認団体のTICAは、1979年にキムリックを猫種として登録しました。しかし、マンクスの中で長毛が生まれてくることはしばしばあるため、CFAなどの団体ではキムリックを長毛のマンクスであるとして、新種の猫種と認めていません。
キムリックの値段価格
キムリックは、日本のペットショップから入手することは難しいです。
日本ではキムリックという種類の猫を知らない方も多いので、ブリーダーさんの数も多くはありません。そのため、キムリックを飼いたいと思った場合は、直接ブリーダーさんに申し込む方法が確実です。
キムリックをブリーダーから迎える場合は、20〜30万円が相場となっているようです。
ブリーダーさんの数は少ないので、キムリックのブリーダーを探すまでが大変かもしれません。しかし、キムリックのことを詳しく教えてもらえたり、困ったときは相談に乗ってくれることもあるので、信頼できるブリーダーさんを探してみてください。
また、子猫であるとは限りませんが、保護された猫を引き取るという方法もあります。どうしても子猫がほしいという強い思いがないようであれば、保護猫という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。
飼い主さんに対して深い愛情を示してくれる賢いキムリックは、家族になったらきっと素敵なパートナーになることでしょう。キムリックを飼いたいと思われた方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。