
シャム猫(サイアミーズ)の基礎情報
・日本語表記:サイアミーズ(シャム猫)
・英語表記:Siamese
・原産地:タイ
・発生:自然発生
・毛種:短毛種
・体格:オリエンタル
・体重:オス3~4.5キログラム、メス3~4キログラム
・公認団体:CFA ・ TICA ・ FIFe ・ GCCF
シャム猫(サイアミーズ)の性格・特徴
日本では、シャム(タイの昔の呼び名)出身の猫であるため、シャム猫という名前が一般的です。しかし、海外ではサイアミーズという呼び名が一般的です。
本記事では日本でのスタンダードな呼び名「シャム猫」と表記させていただきます。
シャム猫は、細身のすらりとしたボディが魅力で、ブルーの瞳と上品なたたずまいから「月のダイヤモンド」とも呼ばれています。
シャム猫の性格や特徴、シャム猫と交配させることで誕生したほかの猫種について紹介します。
シャム猫(サイアミーズ)の性格
シャム猫は、飼い主さんにはよく懐いて甘えますが、自己中心的でマイペースなところがあるため、自分の気が乗らないときには、飼い主さんに対しても素っ気ない態度になることがあります。
繊細で警戒心が強く、寂しがり屋という性格なので、気難しい猫なのかと思われるかもしれませんが、シャム猫の感受性の豊かさはこの猫種の魅力でありよいところです。
飼い主さんのことが大好きで、傍で過ごしたり一緒に遊ぶことが好きな猫です。
承認欲求がとても強い猫なので、いつも自分が一番で、飼い主さんに常に注目してほしいと思っています。
シャム猫(サイアミーズ)の特徴
シャム猫は、ほっそりとしたオリエンタルタイプの猫なので、平均的に3〜4キロの中型のボディです。
すらりとした細身の体ですが、とても筋肉質です。足やしっぽも細長く、しっぽはしなやかで、先端に向かうにつれて細くなっています。
シャム猫は、サイアミーズ遺伝子があるため、体温によって毛の色が変化することも特徴です。サイアミーズ遺伝子は、体温が低いところでは機能せず、体温が高いところでは毛の色が白くなります。
そのため、手足、耳、顔、しっぽなどは、体温が低いため濃い色になり、胴体の部分は色が白くなっています。
耳は大きく、顔は細長いくさび型でとても小さいです。アーモンドのような形をした目で、ブルーの瞳が輝いています。
シャム猫から生まれたほかの猫種
シャム猫は、新種の猫種の誕生に大きく貢献している猫です。シャム猫を交配させることで生み出された猫種はたくさんいます。
アメリカンバーミーズ、オリエンタル、カラーポイントショートヘア、スノーシュー、ヒマラヤン、トンキニーズなどの猫種は、シャム猫とほかの猫種の試行錯誤の交配、またはシャム猫から突然変異して誕生した猫です。
これらの猫種は、シャム猫の外見の特徴、よく鳴くという特性を受け継いでいる猫が多いです。このほか、バリニーズという猫は、シャム猫にたまに生まれていた長毛種の猫を、品種として固定化した猫種です。

シャム猫(サイアミーズ)の毛色・目の色
シャム猫の毛色は、シール(ブラック)、チョコレート、ブルー、ライラックがあります。
また、シャム猫のパターン(柄)は、ポインテッドのみです。そのため、三毛猫のように黒や白、赤などのカラフルな色の模様になることはありません。
ポインテッドとは、顔や耳、手足、しっぽなどの体の先端の部分に色がある模様のことです。
模様がポインテッドのみなので、シールポイント、チョコレートポイント、ブルーポイント、ライラックポイントという名前で呼ばれます。
子猫の頃は、被毛の色が薄いかもしれませんが、成長していくにつれて、ポイントのカラーがはっきりします。
シャム猫の被毛はなめらかで、光沢がある美しい毛並みをしています。短毛種なので、抜け毛の量も少なく、お手入れも楽に行うことができます。
シャム猫の目の色は、ブルーのみです。シャム猫は、イエローやゴールドなどの黄色、カッパーやオレンジなどの赤っぽい色、グリーンや右目と左目の色が異なるオッドアイの目の色はありません。
シャム猫(サイアミーズ)の鳴き声
シャム猫は、「おしゃべり好きの猫」として有名です。
飼い主さんに対して甘えたり、欲求があるときに、大きな声で鳴きます。
自己主張が強く、承認欲求もとても強い猫なので、飼い主さんの気を引くために鳴いていることが多いようです。
独特な大きな声でいつまでも鳴き続けることがあるので、静かに過ごしたいという方は、シャム猫の鳴き声はストレスになってしまうかもしれません。
コミュニケーションの不足は、シャム猫にとってかなりのストレスになるので、一緒に遊ぶ時間や触れ合う時間を作ってあげましょう。
また、オス猫は発情期になると、とても大きな声で鳴き続けます。これは、飼い主さんだけではなく、猫自身にとってもストレスになりますので、子猫を産ませる予定がなければ、ぜひ早めに去勢手術を検討してください。
シャム猫(サイアミーズ)の寿命・病気
シャム猫の寿命は、13〜15歳と言われています。猫の平均的な寿命と、ほとんど変わりはありません。
シャム猫が発症しやすい病気を紹介します。
尿路結石:尿管や膀胱、尿道に結晶や結石ができる泌尿器の疾患。水分の不足、ビタミン摂取の偏り、先天性、ストレスなどが原因で発症すると言われています。
進行性網膜萎縮:網膜が萎縮することで正常に機能することができなくなり、視力が徐々に低下して、最終的には失明する可能性のある遺伝性の疾患。
内斜視:黒目が内側に寄ってしまう状態です。遺伝によるものであるため、シャム猫とその血を受け継いでいる猫種に多いです。視力が低下することで、物にぶつかることが増えます。
拡張型心筋症:心臓の筋肉が薄くなることにより、収縮力が弱くなって、血液が送り出せなくなる疾患。
慢性腎不全:腎臓の機能が徐々に低下していく疾患で、7歳以上の高齢の猫に多い病気です。下痢や嘔吐、多飲・多尿、元気・食欲の低下などの症状がみられます。
猫喘息:埃や花粉などが原因で、咳が出る、呼吸困難になるなどの症状が出る気管支の疾患。
乳び胸:胸の中にリンパ液(乳び)が溜まる疾患。咳や呼吸困難などの症状がみられ、悪化するとチアノーゼ(舌が紫色)になります。

シャム猫(サイアミーズ)の飼い方
シャム猫は、マイペースで自己中心的な性格なので、飼うときにはその性格を理解してあげてください。運動もたくさんするので、キャットタワーを設置してあげましょう。
しつけは根気よく行う
シャム猫は、賢い猫なので、しつけは難しくはありません。しかし、活発で好奇心が旺盛なので、イタズラをしたり、わざとではなくてもテーブルに乗って、物を落としてしまうことがあるかもしれません。
猫も大声で叱ったり、叩いてしまうと、飼い主さんのことを怖がるようになったり、トラウマになってしまうこともあります。イタズラをして困るようなものは、片付けるようにして、やってはいけないことをしたら「ダメ」と1回だけ叱りましょう。
子猫の頃にイタズラをするのは当たり前なので、しつけは根気強く行っていきましょう。
キャットタワーを設置する
シャム猫は、上下運動を好む猫なので、キャットタワーを設置してあげましょう。
運動は健康を維持するためにも重要で、ストレスの発散にもなりますので、走ったり登って遊べる環境を作ってあげてください。
飼い主さんと一緒に遊ぶことも大好きなので、時間を作ってたくさん遊んであげてください。
甘えん坊でよく鳴くことを理解できる人に向いている
シャム猫は、甘えん坊の寂しがり屋で、飼い主さんと一緒に過ごすことが好きな猫です。
シャム猫は、気分によって甘えたり、素っ気ない態度を取ったりするので、マイペースな猫の性格を理解できる人に向いている猫種です。
大きな声で鳴くこともありますので、集合住宅での飼育にはあまり向いていません。また、自分が一番という女王様のようなところがあるため、多頭飼いは不向きです。
シャム猫の性格やよく鳴くという特性を理解して、甘えてきたときに答えてあげられる余裕がある方におすすめの猫です。

シャム猫(サイアミーズ)の歴史
シャム猫はタイが原産の猫で、シャム(タイの昔の呼び名)の王室や寺院で飼育されていました。
アユタヤ王朝時代(1350〜1767年)の高僧によって書かれた、Cat book poems(Tamra Maew)という「猫の詩」にも、シャム猫が登場しています。
「Tamra Maew」は、現在はバンコクの国立図書館に収蔵されています。「Tamra Maew」には、幸福の象徴とされる17種の猫と、不幸を招く6種の計23種類の猫が載っています。
「Tamra Maew」に登場する猫で、今も残っている種類は、シャム猫、コラット、バーミーズなどの5種のみで、ほかの猫種は絶滅してしまったそうです。
シャム猫は、別名「月のダイヤモンド」とも呼ばれ、タイの王室や貴族しか飼うことができない高貴な猫でした。
シャム猫が世界に名を轟かせたのは、1885年にタイの王室から、イギリス総領事館にペアのシャム猫が贈られたことがきっかけで、ロンドンのキャットショーで紹介されたことが始まりでした。
当時のシャム猫は、今のようなスレンダーな体形ではなかったそうですが、品種改良が行われて今のような姿になりました。
現在は日本はもちろん、世界中で愛される猫種となり、CFA ・ TICA ・ FIFe ・ GCCFなどの多くの団体で公認されています。
シャム猫(サイアミーズ)の値段価格
シャム猫は、ペットショップやブリーダーから入手することができます。
シャム猫の価格は、ペットショップでは10〜25万円ほどです。ブリーダーから迎える場合は、18〜25万円ほどが相場となっています。
シャム猫は、日本でも馴染みのある猫なので、ペットショップでも見かけることが多いです。
ペットショップでは、メスの方がオスよりも値段が高い傾向にあります。まずは実際にペットショップに足を運んで、気になる子を探してみてください。
シャム猫は、優雅で美しい外見も魅力ですが、飼い主さんに対しての愛情がとても深い猫です。甘えん坊で人懐っこく、知的なシャム猫ですが、気分次第で態度が変わります。しかし、気まぐれでマイペースなところは猫の最大の魅力でもあります。
シャム猫を飼いたいと思われた方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。