
アーフェンピンシャーの基礎情報
・日本語表記:アーフェンピンシャー
・英語表記:Affenpinscher
・原産地:ドイツ
・発生:自然発生
・種類:使役犬
・サイズ:小型犬(25~30cm)
・体重:オス4kg~6kg、メス4kg~6kg
アーフェンピンシャーの性格・特徴
アーフェンピンシャーはドイツ語で「サル顔のテリア」という意味で、個性的な顔が印象的な犬種です。その他にも、「モンキーテリア」や「ブラックデビル」という異名ももっています。
アーフェンピンシャーの性格
アーフェンピンシャーは、陽気でいたずら好き、やんちゃな性格です。
飼い主には忠実で愛情深く、サービス精神があります。敵だと思った相手には激しく吠え立てるなど、猛然と立ち向かうような、恐れ知らずなところもあります。
夢中になると周りがみえなくなるテリアの気質も受け継いでいますが、他のテリア犬との違いは、他の犬や小動物とも仲良くなれる点です。
アーフェンピンシャーの特徴
アーフェンピンシャーは、ひと目見れば忘れ難い、印象的でユニークな顔立ちをしています。
サル顔で、長い眉毛とあご髭を蓄え、潰れたマズルをもっています。大きく離れぎみの目には黒いアイラインがあり、目の周りは被毛におおわれています。
下顎が上顎よりも突出していて、はるかにターンアップしているところも、この犬種の顔立ちをユニークにしている要因です。
体は頑丈な骨格で、タフな体つきをしています。
元気で活発だが運動はそれほど必要ない
アーフェンピンシャーはとても活発な犬種ですが、運動量はそれほど多くないことが特徴です。
1日20〜30分程度の散歩と、室内遊びで十分といわれています。
遊び好きな性格なので、おもちゃで遊んであげると喜びます。ボールなど犬用のおもちゃをたくさん取り入れて遊びましょう。
膝に負担をかけると、膝蓋骨脱臼を起こしやすいため、室内は滑り止めを敷き、ジャンプをあまりさせないようにします。

アーフェンピンシャーの毛色・目の色
アーフェンピンシャーの毛は、3cmほどの粗毛で密生しています。
長めの粗毛が、害虫や厳しい外部環境から体を守る役割を果たしています。
頭部は通常ふさふさで、剛毛の眉と目の周りの豊富な被毛、印象的な顎ひげ、トップノット(頭頂にある長い房状の毛)、頬の被毛で飾られています。
頭部の被毛は堅く、ぼさぼさに立っているほどよいとされており、これが猿のような表情に欠かせない要素です。
毛色は、上毛も下毛もブラックです。週に2、3回のブラッシングと、3、4ヶ月に1回のトリミングでよいので、被毛のケアは比較的楽な方です。
目は、色がダークで丸く大きいです。眼瞼はブラックでたるんでいません。目の周りは粗毛で囲まれています。
アーフェンピンシャーの鳴き声
アーフェンピンシャーは普段は物静かな犬種ですが、警戒心が強いため吠えぐせがつきやすい犬種です。
大きくはありませんが甲高い鳴き声です。しつけや、社会性を身につける訓練をしなければ、見知らぬ人や犬に対して吠えることがあります。
吠え癖がついてしまうと、集合住宅地での飼育は難しいかもしれません。
小さい頃から、たくさんの人や犬に会わせ遊ばせてあげましょう。さまざまな刺激に慣れさせておくことも必要です。
大変賢い犬種のため、しつけはしやすいですが、まれに頑固な個体もいるため、その場合は、根気よく気長に躾をする必要があります。
しつけをしても小さな刺激でもどうしても吠えてしまう場合は、インターホンの音を無音にし、カーテンで窓の外を見えないようにするなどの工夫も必要かもしれません。
アーフェンピンシャーの寿命・病気
アーフェンピンシャーの寿命は、12歳から14歳前後です。
他の小型犬と比較して平均的な長さですが、基本的には丈夫で健康な犬種です。
膝蓋骨脱臼(パテラ):膝蓋骨が正常な位置から内側、または外側に外れてしまう状態。犬の関節疾患でよくみかけるものです。
アーフェンピンシャーも、子犬の頃から発症する可能性が高く、徐々に進行して歩行に異常をきたすことがあるため注意が必要な症状です。
症状は、グレード1から4まであり、初期のグレード1では脱臼しても手で押すことで元に戻り、普段はほとんど症状を認めません。たまに外れた時は、キャンと鳴いて後ろ足をあげたり、スキップするなどの症状があります。
グレード4になると、常に脱臼した状態になり、手で押しても元に戻ることはありません。後脚を曲げた状態でうずくまるように歩きます。
原因は、先天的なものから、交通事故、高いところから落ちる、膝に強い力がかかるなどの後天的なものまであります。アーフェンピンシャーも含め小型犬の場合は、先天的なものが多いです。
肥満にさせない、室内を滑り止めマットを敷く、足裏の毛を切り滑らないようにする、関節に負担をかける運動を避けるなどの予防法があります。
レッグ・パルテス病:大腿骨の股関節との接続部で血流が減少し、壊死する疾患。1歳未満のアーフェンピンシャーに、よく見られる疾患です。落下事故などの外傷が原因で発症することもありますが、多くは先天的な病気です。
原因は明らかになっていませんが、遺伝的な要素が疑われています。治療は、外科的手術で、壊死した部分を取り除くことになります。
急に足を上げるようになった時は、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。ほとんどの症例はレントゲンで診断がつくといわれています。

アーフェンピンシャーのしつけ・飼い方
アーフェンピンシャーは、個性的な見た目と、賢く遊び好きな性格が大変魅力的な犬種です。
主従関係をつくり服従訓練を行うこと
アーフェンピンシャーは賢く、テリア犬の中では闘争心が少ないことから、しつけの覚えが早いといわれている犬種です。
主人に忠実で、サービス精神が旺盛なため、たくさん褒めたり喜ぶことでどんどんいろいろなことを覚えてくれるでしょう。
しかしそのためには、主従関係をしっかり築き、服従訓練が必要になります。子犬の頃に甘やかし過ぎず、しつけはしっかりと行いましょう。
また、独立心が高く頑固な個体もいるため、その場合は根気よくしつけを行うことが必要です。
玩具を必要とする愛玩犬
アーフェンピンシャーは、陽気で遊び好きなことから、「玩具が必要な愛玩犬」と言われています。
散歩などの野外の運動はそれほど必要ではありませんが、室内ではたくさん触れ合い、遊んであげましょう。
スキンシップが少ないと、寂しさのストレスから噛み癖など問題行動を起こすようになります。
また室内で遊ぶときには、すべって関節を痛めないように、スローリングの場合はマットを敷いてあげましょう。
肥満は関節疾患の大敵
アーフェンピンシャーは、関節の疾患に注意が必要なため、肥満にも気をつけなければなりません。
肥満になると、体重が増えるだけでなく、運動量が減り筋肉量が減ると、関節に負担がかかりやすくなります。
避妊去勢手術後は、代謝が落ちることで、以前と同じ食事をしていると確実に太ってしまいます。動物病院で相談しながら適切な食事をカロリー管理しながら食べさせてあげましょう。

アーフェンピンシャーの歴史
アーフェンピンシャーの発祥の地は、ドイツのミュンヘンあたりとされていますが、定かではありません。
古くからドイツ南部で家庭犬としてネズミ取りをしていました。アルブレヒト・デューラー(1471 - 1528年)の木版画に、この犬の祖先犬が描かれています。
元犬としては、パグやジャーマン・ピンシャー、ジャーマン・シルキー・ピンシャーが有力視されています。また、ベルギーのブリュッセル・グリフォンと血縁関係があると考える人もいますが、詳細はわかっていません。
アーフェンピンシャーは元々、キツネやウサギなどの屋外にいる小害獣の駆除を仕事としていました。
その後、愛嬌のある外見を生かして家庭犬となり、ペットやネズミ駆除係としての地位を築き今日に至っています。
アーフェンピンシャーが、初めてドッグショーに出場したのは、1879年のことで、19世紀から20世紀に変わるころには大変な人気でした。
2013年にはニューヨークで開催された、「Westminster Kennel Club Dog Show」において、この犬種としてははじめての最優秀犬に選ばれました。
現在ではドイツでは数を減らし、北アメリカに多く残っています。
アーフェンピンシャーの値段価格
アーフェンピンシャーは日本ではペットショップでは見ることができない珍しい犬種です。
国内のブリーダもごくわずかのため、購入を希望している場合は、早めに予約を入れたほうがいいでしょう。
価格は、血統にもよりますが、30万円が目安になっているようです。
個人輸入で現地のブリーダーから購入することとなりますが、諸経費や送料を含めるとさらに高額になります。
迎え入れる前に、親の病歴の確認、遺伝子検査をすることをおすすめします。
個性的で魅力のある可愛らしい犬種ですが、しつけや訓練は子犬の時からしっかりと行うようにしましょう。
アーフェンピンシャーに興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考にして学んでいただければと思います。