ベルジアン・グリフォンの基礎情報
・日本語表記:ベルジアン・グリフォン
・英語表記:Belgian Griffon
・原産地:ベルギー
・発生:人為的発生
・種類:愛玩犬
・サイズ:小型犬(18cm〜20cm)
・体重:オス 2.5kg~5.5kg、メス 2.5kg〜5.5kg
ベルジアン・グリフォンの性格・特徴
ベルジアン・グリフォンは、1880年代まではブリュッセル・グリフォンとプチ・ブラバンソンと同一犬種とみなされており、その後、体の大きさや毛色から別の犬種として公認された犬種です。
ベルジアン・グリフォンの性格
ベルジアン・グリフォンは、陽気で活発な人懐っこい犬種です。
飼い主や家族に対して愛情深いことはもちろん、他の犬とも仲良く遊ぶフレンドリーな性格です。やや注意深いところがあり、見知らぬ人に対しては、警戒心をあらわにします。
しかし、友好的な人物であるとわかると、警戒心を解き、人懐っこさを見せるなど、賢く状況判断能力に優れています。
臆病であったり、攻撃的な面はなく、温和で穏やかな気質は家庭犬として飼育しやすい犬種です
ベルジアン・グリフォンの特徴
ベルジアン・グリフォンは、体長と体高がほぼ等しいスクエア体型をしています。
大きめの丸い頭部で、ストップ(両目の間にある、スカルとマズルの接続部)は非常にはっきりしています。
体に対して大きめの頭部のバランスは、成犬になっても子犬のような可愛らしい雰囲気をつくっています。
ジャパンケネルクラブによると、鼻と目は同じラインに位置することが良いとされています。人間のように豊かな表情がこの犬種の魅力です。
ブリュッセル・グリフォンとの違い
ベルジアン・グリフォンは、ブリュッセル・グリフォンだけではなく、プチ・ブラバンソンとも同一犬種として扱われていました。
現在でも、この3犬種を同一犬種として取り扱う国がいくつかあります。この3犬種の違いは、毛色や被毛のみです。
ブリュッセル・グリフォンが長毛で堅いラフコートの赤みがかった毛色であることに対し、ベルジアン・グリフォンはブラックやブラック&タンの長毛で堅い毛質です。
プチ・ブラバンソンはさらにこの2犬種とは異なり、短毛のスムースコートです。色は、ブリュッセル・グリフォン、ベルジアン・グリフォンのもつ全ての毛色があります。
ベルジアン・グリフォンの毛色・目の色
ベルジアン・グリフォンの被毛は、下毛のある粗い剛毛です。被毛は生まれつき堅く、わずかにウェービーになっています。
被毛はトリミングによりつくられる口髭と顎ひげは、目と鼻を結ぶラインの下から始まり、両耳にかけて形成されます。
マズルと頬は十分な飾り毛でおおわれ、ボディの他の部分の被毛よりも長くなっています。目の上の被毛は、頭部の他の部分よりも長くして眉毛をつくります。
トリミングによって、口髭を作っている場合、食後や水を飲んだ後は口元が汚れやすいため、こまめに拭いてあげましょう。
ブラッシングは、コミュニケーションを兼ねて、毎日行うことが理想的です。獣毛ブラシを使ってブラッシングしてあげましょう。
毛色は、ブラック、ブラック&タンがあります。
タン・マーキングは、はっきりとしたものが望ましく、前足からカーパス(手根)までと後ろ足からホック(くるぶし)にかけてみられ、脚の内側に上がっていきます。
また、胸や頬、顎、目の上、耳の内側、尾の裏側、校門周りにもみられます。
ブラックは、レッド・ブラウンと混ざっても良いとされています。
ベルジアン・グリフォンの目は、ブリュッセル・グリフォンや、プチ・ブラバンソンと同様に、十分に離れてついた大きな目で、目の色は、ダークなブラウンです。
ベルジアン・グリフォンの鳴き声
ベルジアン・グリフォンは、普段は温和で穏やかな性格ですが、注意深く警戒心が強い一面もあるため、見知らぬ人に吠えることがあります。
鳴き声は、小型犬の中では比較的大きく、むやみに吠えることがないようにしつけをすることが大切です。
ベルジアン・グリフォンは、ネズミ捕りや馬の番犬として活躍していたことから、愛玩犬の中では注意深さがあります。
子犬の頃から、さまざまな経験をさせて刺激に触れさせることが大切です。音や匂い、家族以外の人や動物とたくさん触れ合い、友好的な性格を育ててあげましょう。
ベルジアン・グリフォンの寿命・病気
ベルジアン・グリフォンの寿命は12歳〜14歳です。
軟口蓋過長:喉の手前にある軟口蓋が生まれつき長いために呼吸が妨げられる疾患。
本疾患は、「大きないびき」「口を開けたままの呼吸」「フードや水が飲み込みにくい」などの症状があり、重症の場合には、呼吸困難になります。
内科的治療では根治できず、重症の場合には手術で軟口蓋の一部を切除します。
この疾患は先天的な形態異常が原因であることが多く予防が難しいとされています。肥満になると軟口蓋が厚くなることがあります。
気管虚脱:呼吸の際に気管が変形し潰れてしまう疾患丸い管状をしていて周りを軟骨が取り巻いている気管は、通常は軟骨が丸い筒状を維持しています。
しかし、気管虚脱になると丸い筒状を維持できなくなり、咳が出たり、ガーガーという異常な呼吸音がなったり、場合によっては呼吸困難を起こすこともあります。
興奮した時や、運動時に悪化することが多く、呼吸困難になると舌が真っ青になるチアノーゼがみられることがあります。
遺伝が影響していることがわかっていますが、他にも肥満、高温多湿、吠え過ぎ、リードによる気管への圧迫なども関与しているのではないかと指摘されています。
夏場に発症することが多く、肥満にも注意が必要です。再発しやすい疾患ですので、症状が軽いうちに動物病院を受診しましょう。
膝蓋骨脱臼(パテラ):膝蓋骨が外れた状態。本疾患は、外れたり戻ったりを繰り返し、最終的には常に脱臼した状態となります。
小型犬に多いため、遺伝性が疑われていますが、根本的な原因は不明とされています。
急に痛がることがあれば、膝蓋骨を左右から支えている靭帯の損傷が原因の可能性があります。脱臼しても普通に歩く犬もいるため、軽症の場合は気がつきにくい疾患です。
普段の散歩で気になる歩き方を見かけた時には、動画をとっておくと診察の時に役に立ちます。
外傷性でなければ、自然治癒することはありませんが、早期に発見できれば、鎮痛剤やサプリメントなどで症状をコントロールできます。
ベルジアン・グリフォンのしつけ・飼い方
ベルジアン・グリフォンは、病気には強く健康的で丈夫な犬種ですが、短頭種であることからいくつかの点に注意して飼育する必要があります。
体温調節が苦手なため温度管理が必須
短頭種のベルジアン・グリフォンは、口でハァハァと呼吸して熱を逃すパンティングが苦手です。
そのため、温度管理が難しく、夏場は熱中症にならないように注意してください。室内でも、温度管理がされていないと、熱中症になることがありますので、お留守番中にもエアコンをつけ、いつでも水が飲める環境を整えてあげましょう。
また、シングルコートで、寒さにも弱いため、冬場は服を着せたり、ホットカーペットを利用して防寒対策をしてください。
運動は様子を見ながら控えめに
ベルジアン・グリフォンは他の短頭種と同様に、激しい運動をすると呼吸がしづらくなります。
激しい運動は必要としませんが、社会性を身につけたり、ストレス発散のためにも、散歩は欠かさず行うようにしてください。
1日に20分程度の散歩を朝夕行ってあげるだけで満足しますが、呼吸状態など異常があればすぐに気がつけるように注意して見ておくといいでしょう。
夏場は、涼しい時間帯にいつもより短い散歩をしてください。散歩中は様子を観察し、無理しておほなわないことが大切です。
やや頑固な一面もありしつけは根気よく
ベルジアン・グリフォンは、活発で明るい性格をしていますが、やや頑固な一面もあるようです。
納得しなければ従わないため、しつけには根気が必要です。基本的には穏やかで理解力の高いため、繰り返しトレーニングを行うことで、基本的なしつけは入るでしょう。
社会性を身に付けるためには、他の犬とたくさん触れ合うことが大切です。普段あまり他の犬と出会うことがない場合には、しつけ教室を利用することも一つです。
できたことをたくさん褒めてあげるように、トレーニングしてください。
ベルジアン・グリフォンの歴史
ベルジアン・グリフォンとブリュッセル・グリフォン、プチ・ブラバンソンの3犬種は、長い間同じ犬種として扱われてきました。
日本においても、2002年までは3犬種の血統症には、いずれもブリュッセル・グリフォンと記載されていました。
現在でも同じ母親犬から同腹胎子として生まれることがあるため、「同じ犬種の毛色・毛質違い」とする国も少なくありません。
ベルジアン・グリフォンとプチ・ブラバンソンは、元々ブリュッセル・グリフォンから派生した兄弟犬といわれています。
ベルギー土着の「グリフォン」と名前がつく犬やアーフェンピンシャーが基礎となったのではないかと考えられています。
当初は、ネズミ捕りをする小さな猟犬として家庭犬で飼育されていました。
その小さく可愛らしい容姿が次第に上流階級の家庭でも飼育されるようになり、15世紀頃になると、上流階級を描いた絵画にもこの犬種を思わせる犬が描かれています。
当時はまだ、マズルの潰れた短頭種ではなく、19世紀頃に当時の人気犬種パグと交配させたことで、現在の顔つきになりました。
また、さらに小型を図りヨークシャーテリアと、飼育しやすい気質にするためにキャバリアと交配を重ねていきます。
こうして、小さな猟犬であったグリフォンは、狩猟欲が低下し愛玩犬としての適性が高められました。
ベルジアン・グリフォンの値段価格
ベルジアン・グリフォンは、日本においてはまだ珍しい犬種です。
ブリーダーは存在していますが、この犬種は、頭部が大きく難産になりやすい傾向にあり、また、同じ母親でも、ブリュッセル・グリフォンやプチ・ブラバンソンが生まれる可能性があるため、毎年生まれる訳ではありません。
このことから、国内で購入を希望する場合、迎え入れるまでに時間がかかることが予想されます。
子犬の価格は、ブリーダーから迎え入れる場合、45万円前後になることが多いようですが、チャンピオンの血統をもつ場合は、さらに高価になります。
ベルジアン・グリフォンは特徴的な愛嬌のある容姿と、陽気で明るい性格が魅力的な犬種です。
ベルジアン・グリフォンに興味をもたれた方は、ぜひ、本記事で本犬種について知って家族に迎え入れていただければと思います。