バーニーズ・マウンテン・ドッグの基礎情報
・日本語表記:バーニーズ・マウンテン・ドッグ
・英語表記:Bernese Mountain Dog
・原産地:スイス
・発生:自然発生
・種類:使役犬
・サイズ:大型犬(58〜70cm)
・体重:オス38kg~50kg、メス36kg~48kg
バーニーズ・マウンテン・ドッグの性格・特徴
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、とてもタフで食欲旺盛な犬種です。アクティブにアウトドアで過ごすことが好きな人にピッタリです。
バーニーズ・マウンテン・ドッグの性格
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、非常に甘えん坊で人懐っこい性格です。
温和で、愛情深く、気が優しいため、飼い主の気持ちを察して寄り添ってくれる、よきパートナーであり家族になってくれる犬種です。
人の指示がなくても、自分で状況判断し行動できるところがあります。裏返すと、人に依存しない、独立心があることになり、「マイペース」「自分勝手」と思われてしまうこともあるようです。
人間を慕う気持ちが強く、人と触れ合いたい気持ちが強いため、寂しがりやな一面もあります。子犬の頃はやんちゃでパワフルですが、2〜3歳で落ち着いてきます。
攻撃性はありませんが、体が大きく力も強く活発な性格ですので、しっかりしつけ訓練によってコントロールしましょう。
バーニーズ・マウンテン・ドッグの特徴
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、大きな体と、トライカラーの豊かな被毛が特徴的な犬種です。
祖先犬が山岳地帯で活躍していたこともあり、頑丈な体と足をもっています。全体的に骨太で骨量があり、どっしりと頑健な印象があります。
頭部は頑丈で、バランスがよい形です。スカルは前や横から見るとわずかに丸みを帯びています。ストップ(両目の間にある、スカルとマズルの接続部のくぼみ)は明確ですが、目立ちすぎません。
耳は三角形で付け根は高く、先端は少し丸みをおびて中くらいの大きさです。子犬の時は、マズルが短く子熊のようで大変可愛らしいです。
甘えん坊で底なしに愛情を求める犬種
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、甘えん坊な性格であることが有名ですが、それでも飼い主たちは、この犬種の甘えん坊ぶりに驚くほどです。
寂しがり屋で、愛情を常に欲しているため、室内飼いができて留守番の時間もあまり長くない方がいいでしょう。
屋外で隔離して飼育すると、寂しさのあまりストレスが溜まり、この犬種には珍しく攻撃的になることもあるようです。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、愛情を与えたら与えた分だけ、返してくれます。家族全員でたくさん触れ合い、可愛がってあげましょう。
バーニーズ・マウンテン・ドッグの毛色・目の色
バーニーズ・マウンテン・ドッグの毛は長毛で光沢があり、少しウェービーです。
上毛は、太く硬さのある被毛で、怪我や皮膚を守る役割があります。下げはふわふわとした細くやわらかい被毛のダブルコートをしています。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、寒い地域で生まれたため、寒さに耐えられる被毛ですが、反対に暑さには弱いため、熱中症には十分に注意が必要です。
抜け毛も非常に多いため、毎日ブラッシングしてあげましょう。
バーニーズ・マウンテン・ドッグの場合、ブラシをうまく使い分けてブラッシングすることをおすすめします。
下毛をしっかり取り除くためのステンレス製のコーム状のブラシと、上毛の抜け毛を取り除くためにはラバーブラシを使用しましょう。
被毛の色は、ジェットブラックの地色に、頬、目の上、四肢、胸にリッチタン・マーキングがあります。
さらに頭部には左右対称のクリーンホワイトのマーキングがあります。
ブレーズ(鼻筋の白斑)は鼻の両側に向かって伸び、マズル・バンド(マズルの周りの白斑)と合流します。
足の先、尻尾の先など、体の先端にホワイトマーキングが入ります。目はダークブラウンでアーモンド形をしています。
バーニーズ・マウンテン・ドッグの鳴き声
バーニーズ・マウンテン・ドッグの鳴き声は、大型犬らしく大きな声です。
しかし、バーニーズ・マウンテン・ドッグは不必要に吠えることはあまりありません。警戒心も強くなく、穏やかで友好的な性格のため、初めて会う犬とも仲良く遊ぶことができます。
散歩で出会う人にも人懐っこさを見せてくれるでしょう。
しかし、バーニーズ・マウンテン・ドッグにとっていちばんのストレスである、孤独など寂しい思胃が長く続くと、吠えることもあるようです。
なるべく室内で飼育し、お留守番がある場合は、事前に練習をしておくといいでしょう。
バーニーズ・マウンテン・ドッグの寿命・病気
バーニーズ・マウンテン・ドッグの寿命は、6歳〜8前後で他の大型犬の寿命と比較すると短い寿命です。
性差もあり、オスよりもメスの方が体が小さい分長生きしやすいようです。
バーニーズ・マウンテン・ドッグの原産地であるスイスでは、「生後3年で若犬、3年経ったら良犬、その後3年で老犬になり、それから先は神からの贈り物」ということわざもあるくらい、寿命が短い犬種なのです。
しかし、長生きしたバーニーズ・マウンテン・ドッグもいますので、愛情をかけて大切に育ててあげましょう。
股関節形成不全:股関節が噛み合わないために関節が炎症を起こす疾患。この疾患は遺伝的な要因により発症することも多いですが、成長期に過度な運動により関節に負荷がかかりすぎることでも発症すると考えられています。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、生後1年半〜2年で成長期が終わります。生後2ヶ月頃にはすでに体重は10kgあります。生後3ヶ月〜5ヶ月頃までは著しく成長し、その後は緩やかに体重が増加していきます。
子犬の頃はやんちゃな性格で、すでに大きな体をコントロールすることは大変ですが、関節に負担がかからないように気をつけてあげましょう。
進行性網膜萎縮症:目の網膜が変性や萎縮してしまい、機能しなくなってしまう疾患。遺伝性の疾患で、早いと生後1ヶ月半〜3ヶ月で発症し、1〜2歳で失明する場合があります。
1〜3歳のころに発症し、5〜8年かけて失明する遅いタイプもいます。初期症状としては、暗い場所で物にぶつかる、散歩中に転ぶ、見えないことのストレスによる運動量の低下がありますので、一つでも気になる症状があれば、動物病院に連れて行きましょう。
根治的な治療法はなく、ビタミン剤や抗酸化剤などのサプリメントを使用して症状の進行を遅らせるような方法があります。
胃捻転:胃が捻転しショックなどの症状を起こす疾患。胃に溜まったガスが、なんらかの原因で拡張してしまい胃がねじれてしまいます。放置すると、ガスが溜まり続け胃が拡張し、周りの血管を圧迫してしまいます。
最悪の場合、正常に血液が循環されなくなってしまい、胃も壊死してしまう恐れがあります。発症しやすいタイミングは、夕食後です。原因として考えられるのは、食事後にすぐに運動させることなどがあります。
胃捻転が起きてしまうと、すぐに動物病院で処置を行わなければ、命にかかわる疾患ですので、まずは予防に努めましょう。
対策としては、一回の食事量を少なくするために食事の回数を3回に分ける、早食い防止の食器を使う、食器の高さを上げる、食事後は安静にさせるなどがあります。
誤飲・誤食:誤って飲み込んだり、食べてしまうこと。病気ではありませんが、誤飲には十分息をつけましょう。食いしん坊であることに加え、体が大きいので、予想しないような大きなものまで飲み込んでしまうことがあります。
誤飲した場合には、物によっては催吐処置を行います。早ければ早いほど吐きやすいので、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
バーニーズ・マウンテン・ドッグのしつけ・飼い方
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、人が大好きな甘えん坊の性格をしており、この犬種特有のかわいらしさがあります。
運動は長距離の散歩で行う
バーニーズ・マウンテン・ドッグは、体力のあるタフな犬種です。
食欲が旺盛でよく食べるため、十分に運動させ肥満にならないように注意しましょう。とはいえ、関節に負担をかける過度な運動は向いていませんので、1日2回の1時間ずつ長距離の散歩を行うといいでしょう。
他の犬とも仲良くなれる犬種ですので、ドッグランなど広い場所で自由に運動させてあげると喜びます。
室内でもおもちゃで遊び、たくさん触れ合うことで、この犬種の欲求を満たしてあげてください。
夏場は十分に気を遣い熱中症を予防
バーニーズ・マウンテン・ドッグを屋外で飼育している場合もあるようですが、夏場は非常に危険です。
室内飼育においても、夏場はエアコンで十分に室温を管理しなければすぐに熱中症になってしまいます。
冬も暖房のつけすぎには注意です。夏の散歩は、涼しい時間に行い、時間も短めにするのがいいでしょう。
サマーカットも可能ですが、必要以上に短くカットすると紫外線や刺激により皮膚を痛めてしまうことがあります。
また毛質が変わることもあるため、ツヤのある被毛を維持したい場合は、短く切るよりも、トリミングサロンで不要な下毛を取り除いてもらうといいでしょう。
子犬のうちにしっかりコントロール
バーニーズ・マウンテン・ドッグはすぐに大きくなってしまいますし、最初の2年ほどはやんちゃな性格のため、とてもパワフルです。
ケージなどは頑丈な物でなければすぐに壊されてしまうほどです。
飼い主に従順なため、しつけはしやすい犬種ですが、落ち着きがないうちはしっかりと飼い主が主導権を握りリーダーシップを取りましょう。
とくに、散歩の時のリードトレーニングは早めに完了させるべき訓練です。リードを引っ張ることなく飼い主のペースに合わせて歩くことができるように教えてあげましょう。
また、しつけは、怒ったり強引に行うのではなく、たくさん褒めながら愛情を持って行ってあげてください。
バーニーズ・マウンテン・ドッグの歴史
バーニーズ・マウンテン・ドッグの歴史は古く、およそ2000年前、ローマ帝国のスイス進行と統治の際、ローマ軍と共に入ってきたマスティフ系の犬と、スイス山岳部の土着犬の交雑によって生まれたものが祖先犬であったと考えられています。
大きく力のある犬は、荷物をひいたり、牛や羊を追ったり、番犬として働いたりと、さまざまな役割をこなす犬種として重宝されました。
とくに多く飼育されていた地域が、スイスのベルン州にあたる地域で、この地方にあった旅館の名前から、この犬種はデュールベッヘラーという名前で呼ばれていました。
温厚な性格と従順さ、頑丈な足腰でよく働くこの犬種は、山の農家からベルンの町へと活躍の場を広げて行きます。
しかし、自動車など輸送手段の発達により、仕事を失ったバーニーズ・マウンテン・ドッグは、次第に数が少なくなっていき、第一次世界大戦の頃には絶滅の危機に瀕しました。
この事態を憂慮したスイスの愛好家が、純粋なバーニーズ・マウンテン・ドッグを探したところ、スイスの山岳地帯にわずかに生き残っていることを発見します。
冬期などの車の入りにくい場所で、細々と仕事をこなしていたのでした。
1892年この愛好家たちの尽力によって、バーニーズ・マウンテンドッグは犬種保存の目的のため、改めて繁殖されて行きます。
その努力の結果、およそ10年後の1902年ごろから、バーニーズ・マウンテン・ドッグたちがドッグショーに出場するようになりました。
1907年頃、スイスの繁殖家たちが、スイス・デュールバッハ・クラブを設立し、本格的な繁殖と保存活動が始まりました。
スイスではベルナー・ゼネンフント(ベルンの山犬)と呼ばれており、ベルンの英語読みから「バーニーズ」と呼ばれるようになりました。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは次第に、欧州各地、アメリカと人気が広まって行きました。
バーニーズ・マウンテン・ドッグの値段価格
バーニーズ・マウンテン・ドッグは日本でも人気の犬種ですが、日本の住環境や気候がマッチしにくいこともあり、ペットショップではあまり見かけません。
購入方法としては、ブリーダーから直接購入するか、保護犬の里親になる方法になります。
ブリーダーから購入する場合には、価格は15万〜45万とかなり幅があります。メスの方が高価な傾向です。
ブリーダーから購入するメリットとしては、親犬の病歴や遺伝子検査が行えること、兄弟犬との触れ合い方から若干の気質が見られるところがあります。
保護犬の里親になる場合は、成犬になっていることもあるため、しつけや訓練に慣れている人が向いているでしょう。
バーニーズ・マウンテン・ドッグは大変魅力的な犬種ですが、たくさんの愛情をかけられる時間と体力、整った環境が自身や家族にあるか、十分に検討することが必要です。
この犬種の生涯を愛情を持って飼育できるように、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。