
ボロニーズの基礎情報
・日本語表記:ボロニーズ
・英語表記:Bolognese
・原産地:イタリア
・発生:人為的発生
・種類:愛玩犬
・サイズ:小型犬(25cm〜28cm)
・体重:オス 3kg~4kg、メス 3kg〜4kg
ボロニーズの性格・特徴
ボロニーズは、ビション・フリーゼやマルチーズと同じ先祖をもつと考えられており、王侯貴族や高貴な人々に愛された、気品のある犬種です。
ボロニーズの性格
ボロニーズは、明るく素直で、人懐っこい犬種です。
見た目と同じように、性格にも気品があり、穏やかで飼育しやすい家庭犬として愛されています。また、小型犬特有の、忙しなさが少なくおっとりとており、飼い主や家族を癒してくれるでしょう。
やや臆病なところがあるため、家の中でばかり過ごしていると、神経質になってしまいますので、どんどん外に連れ出したくさんの刺激に触れさせるといいでしょう。
ボロニーズの特徴
ボロニーズは、体長と体高がほぼ等しい、スクエア体型で真っ直ぐな脚をしています。
体の大きさはバランスが良く、頭部はわずかに卵形です。
ふさふさの真っ白な被毛が特徴的です。耳の付け根は高く、長く、垂れ下がっていますが、付け根がかなりしっかりしていて、かつ耳介の上部がスカルから離れているため、実際よりも大きく見えるようになっています。
鼻は大きく、マズルの前面はほぼスクエアです。尻尾は尻の延長線上にあり、背中の上に巻いてあります。
やや臆病で分離不安症に注意
ボロニーズは、やや臆病な性格で、自分より体の大きな犬が苦手な傾向があります。
臆病な気質の犬は、ずっと家にいたり、家族以外の人や動物と触れ合いが少ないと、さらに臆病で神経質に育ってしまいます。
子犬の頃から、どんどん外に連れ出し、一緒にたくさんの音や匂い、人や動物と触れ合うといいでしょう。
さまざまな経験をさせると良いですが、その時は、決して怖い思いをさせないように飼い主がお手本を見せるなどフォローしてください。
また、甘えん坊な性格で、家の中でべったりと過ごすことが好きですが、たまにはそれぞれ離れて過ごし、分離不安症にならないように注意が必要です。
ハウスやケージを用意して、安心して過ごせる場所を作り、夜や、日中の数時間は一人で過ごす練習をしてください。

ボロニーズの毛色・目の色
ボロニーズは、頭部から尾、トップライン(横から見た上側のライン)から前後の脚にいたるまで、全身長い被毛におおわれています。
マズルの被毛は、他の部位よりも長く、かなりふわふわとしてやわらかく、房をなしています。決して飾り毛を形成することはありません。
毛色は、ピュア・ホワイト一色で、斑やホワイトのシェードも、まったくありません。
被毛は、抜けづらいですが、毛玉ができやすい毛質のため、毎日ブラッシングしてあげるといいでしょう。
毛は伸び続けますので、月1回のトリミングが必要です。また、白い被毛は汚れやすいため、シャンプーも適宜行ってあげましょう。
ボロニーズの被毛は、抜けにくいため、犬の被毛をアレルゲンとするアレルギー疾患の人が、本犬種の飼育を希望することもあるようです。
ボロニーズの目は、ほぼ前頭部の平面上に位置しています。よく開き、大きさは比較的大きく、色はダーク・オークルです。
涙やけで目の周りが茶色くなりやすいので、こまめに目の周りをコットンで拭き取ってください。
ボロニーズの鳴き声
ボロニーズの吠えやすさは個体差が大きいようです。
外の音や来客者に吠えたり、分離不安症により、留守番中にも吠え続ける犬もいれば、おおらかで無駄吠えもせず留守番も上手にできる犬もいます。
基本的には、吠えにくい犬種のため、子犬の頃の接し方が重要です。
迎え入れた数日は、夜鳴きをしますが、その時に応えないこと、要求吠えをされた時も応えないようにすることで、鳴きにくい犬になります。
また、子犬の頃から、散歩でいろいろな人や犬と触れ合い可愛がってもらうことも大切です。さまざまな経験をして、おおらかな性格に育ててあげましょう。
ボロニーズの寿命・病気
ボロニーズの寿命は13歳〜15歳と比較的長生きで、中には21歳まで生きたボロニーズもおり、毎日のお手入れと健康管理によって長生きすることも可能な犬種です。
歯周病:歯に歯垢が蓄積することで歯茎に炎症が起こる疾患。ボロニーズは小さな顎に、隙間なく歯が生えることから、歯垢が溜まりやすい犬種です。
歯垢は放置すると歯石となり、歯磨きだげては取り除けないため、こまめな歯磨きが大切です。歯石取りは全身麻酔で行うこともあり、犬にとってストレスになってしまいます。
子犬の頃から、歯磨きを習慣化し、口の中を触られることに慣れさせるといいでしょう。
膝蓋骨脱臼(パテラ):膝蓋骨が外れた状態。最初は、外れたり戻ったりを繰り返し、最終的には常に脱臼した状態となります。
小型犬に多い疾患のため、遺伝性が疑われていますが、根本的な原因は不明です。
軽度の膝蓋骨脱臼は、普通に歩く犬もいるため、気がつきにくい疾患です。
散歩中に気になる歩き方を見かけた時には、動画をとっておくと診察の時に役立ちます。最初は、痛み止めやサプリメントなどの服薬で治療が行われますが、重症化すると、手術が選択されます。
白内障:水晶体の一部もしくは全体が白く濁る疾患。水晶体が白く濁り重症になると、網膜まで光が通らなくなり、視力が損なわれてしまいます。
初期症状は、ほとんど気がつくことがなく、見えにくいなど症状に気がついた時には、重症化していることがほとんどです。
早期に発見し治療を受けるためにも、定期的に目の検査を受けるようにしてください。

ボロニーズのしつけ・飼い方
ボロニーズは、家庭犬として優れており、体も丈夫なため、日々の健康管理とお手入れで、長く元気に過ごせるように飼育してあげましょう。
安全で安心できる飼育環境を整える
ボロニーズは、関節が弱いため、室内の飼育環境は関節に負担をかけないように整えてあげましょう。
滑りやすいフローリングの上には、滑り止めのマットをしき、段差にはスロープをつけてあげると安全です。
また、やや臆病なところがあるため、留守番中も安心して過ごせるように、ハウスやケージを用意しておくといいでしょう。
運動量は多くないが散歩は欠かさず行う
ボロニーズは、激しい運動は必要ありませんが、1日2回、1回20分〜30分程度の散歩を欠かさず行うようにしてください。
雨の日や、酷暑の日には無理して散歩を行う必要はありませんが、家の中で過ごしてばかりいると、音などの刺激に敏感になり吠えやすい犬になります。
子犬の頃から、どんどん外に連れ出し、さまざまな経験をさせてあげましょう。
また、膝関節が弱いため階段を駆け上がったり、硬いコンクリートの上を走ったりすることは関節によくありません。
運動をしたい時には、やわらかい芝生の上で行うといいでしょう。
お手入れは毎日行う
ボロニーズは、抜けにくい被毛のため、室内が汚れることは少ないのですが、絡まりやすく、毛玉ができるため、毎日ブラッシングすることが理想的です。
ブラッシングは被毛を整えるだけではなく、飼い主との大切なコミュニケーションの時間でもあるため、毎日行うといいでしょう。
また、ブラッシングの際に、体を観察して異常がないか確認することも大切です。
口の中、目の輪まり、足先など、触られても嫌がらないように、子犬の頃から習慣化しておくと、治療が必要になった時に役に立ちます。

ボロニーズの歴史
ボロニーズは、11世紀頃から存在していたといわれている、古い歴史をもった犬種です。
起源に関して諸説あり、ウォーター・スパニエルを小型化して作ったというものや、古い愛玩犬種である「ショック・ドッグ」の突然変異によって生まれた、縮れた毛質の犬をもとに交配を行った、というものなどがあります。
少なくとも、11世紀頃に存在していたことはわかっており、ビション・フリーゼ、ハバニーズ、マルチーズなどのビション系犬種と血統的な関わりをもつ犬種です。
当初は、貴族の抱き犬として、イタリアのボローニャで高い人気を得ていました。
貴族から大切に扱われていたボロニーズは、宝石のちりばめられた首輪やブレスレットを身につけ、香水の入ったお風呂に入り、食事は大変上質なものでした。
徐々にボロニーズは、ボローニャ地方にとどまらず、ヨーロッパ各国の貴族から愛されるようになります。
とくにルイ16世や、スペインのフィリップ2世、ロシアの女帝エカチェリーナ、オーストリアのマリア・テレジア、メディチ家の歴代の家長はボロニーズの愛好家として有名です。
エカチェリーナは、寝食を共にするほど寵愛しており、愛犬が亡くなると剥製にして自分の側においていました。その剥製は今もウィーン博物館に現存しています。
メディチ家はボロニーズのブリーディングも行っており、ヨーロッパ各国の名高い貴族への贈り物として使われていました。
貴族にここまで愛された理由には、容姿の美しさだけではなく、身のこなしに気品があり、性格も温和で人懐っこいという点があったようです。
2度の世界大戦時には、貴族たちの手によってボロニーズたちは疎開していたため多くの命が助かりました。戦後は貴族だけではなく、一般市民の家庭でも飼育されるようになりました。
現在では、家庭犬やショードッグとしても愛されている犬種です。
ボロニーズの値段価格
ボロニーズは、日本でも愛好家がおりブリーディングが行われています。
しかし、ビション・フリーゼや、トイ・プードルほどの人気はなく、年々純粋な血統のボロニーズが減ってきている状況です。
子犬の価格は、30万円〜40万円ほどです。
ボロニーズは、犬種特有の遺伝性疾患は少ないのですが、迎え入れる前に親犬の病歴や気質、遺伝子検査の結果を確認するといいでしょう。
上品で可愛らしい容姿と、穏やかで優しい性格の持ち主であるボロニーズは、日本では希少な犬種ですので、ぜひ、本記事でボロニーズについて知っていただければと思います。