ブービエ・デ・フランダースの基礎情報
・日本語表記:ブービエ・デ・フランダース
・英語表記:Bouvier des Flandres
・原産地:ベルギー・フランス
・発生:人為的発生
・種類:牧羊犬/牧畜犬
・サイズ:大型犬(62~68cm)
・体重:オス27kg~40kg、メス27kg~40kg
ブービエ・デ・フランダースの性格・特徴
日本では「フランダースの犬」のパトラッシュのモデルとして一躍有名になった犬種です。ブービエとは「牛飼い」の意味で、何百年もの間、家畜の番や牛追いの仕事をこなしていました。
ブービエ・デ・フランダースの性格
ブービエ・デ・フランダースはおとなしく温厚で飼い主が大好きな甘えん坊の性格です。
穏やかで大胆かつ思慮分別があります。鋭い嗅覚、決断力、頭の良さから追跡、連絡、猟区の監視する犬として用いられることもある犬種です。
攻撃的なことはなく平和主義で働き者、頭が良く状況判断能力に優れています。その反面、マイペースで頑固な一面もあります。
遊びでも、仕事でも納得がいかないことがあると、てこでも動かなくなってしまいます。遊ぶ時はとことん遊び、仕事や命令をするときにはいい加減な内容でしないようにしましょう。
ブービエ・デ・フランダースの特徴
ブービエ・デ・フランダースは元々は牧畜犬、運搬犬として、またバター製造の攪乳器を動かすために使用されてきました。
過酷な重労働にも耐えられる体力の持ち主であることから、必要な運動量も膨大です。
ボディは短くずんぐりとし、四肢は強く筋肉は発達しています。体に厚みはあり、力強い印象を与えますが、重たい感じはしません。
頭部は全体的に大きく顎髭と口髭によって印象付けられます。
耳は三角形の形を残して断耳されます。直立し、スカルに高くつきよく動きます。断耳しない場合は、目の高さより上方に付き、耳朶は垂直に垂れます。
縄張り意識が強い
ブービエ・デ・フランダースは、縄張り意識が強い気質があるため、現在でも農園の番犬や警察犬としても活躍しています。
家庭犬としても、縄張り内で見知らぬ人を見かけた時は吠えることがありますが、散歩などで、縄張りを出ると、見知らぬ人や犬に吠えることはない賢い犬種です。
大変賢いことから、飼い主のことをよく見ていますし、納得の行かない指示には従わないこともあります。
飼い主は、この犬種の考えていることなど、先読みして指示を出す必要があります。
また、一貫した姿勢が必要なので、家族でそれぞれ好きなような指示を出すことがない方がよいでしょう。
ブービエ・デ・フランダースの毛色・目の色
ブービエ・デ・フランダースのモジャモジャの被毛は大変特徴的です。
毛色は、ブラック、ソルト&ペッパー、ブリンドル、フォーン、ブラック&ブラウン、グレーがあります。
豊富なダブルコートをもち、粗く硬い感触、約6センチの長さの被毛です。羊毛状やカーリーではなく、いくぶん乱れ毛です。
上唇には、口髭があり、顎は生えそろった粗い顎ひげで飾られています。眉毛は伸び、目を覆い隠さないが、眉毛の下にある弓状の骨を目立たせています。
年2回の換毛期には抜け毛が増えますので、毎日のブラッシングが大切です。夏場は、皮膚が蒸れやすく、皮膚疾患に注意が必要です。
普段も可能な鍵に毎日ブラッシングを行わなければ、毛玉ができてしまうので注意が必要です。
トリミングは3ヶ月に1回程度で行ってあげましょう。被毛を短く切りすぎると、紫外線やエアコンの冷風が直接皮膚に届きやすくなってしまい体調を崩したり、蚊に刺されやすくなってしまうので注意しましょう。
目の色は、できる限りダークであることがよしとされています。水平につきややオーバル(卵形)です。
ブービエ・デ・フランダースの鳴き声
ブービエ・デ・フランダースは、おとなしい性格をしているためあまり吠えることはありません。
しかし、牧羊犬特有の縄張り意識の強さから、縄張りに見知らぬ人や犬が突然入ってきた時などには、吠えることがあります。
窓から人影が見えることにも反応するようであれば、カーテンを付けることも効果的です。
しつけは、叱ることよりも、ほめて伸ばしてあげることが効果的なので、吠えたくなる刺激を極力減らして、吠えなくて済む環境を整えてあげましょう。
また。子犬の時から、家にいろいろな人に遊びにきて貰うなど、慣れさせるために工夫をしてもいいかも知れません。
ブービエ・デ・フランダースの寿命・病気
ブービエ・デ・フランダースの寿命は、10歳から12歳前後で大型犬としては平均的な長さです。
股関節形成不全:股関節のゆるみが原因となり、股関節が異常に形成されていく疾患。
股関節がしっかりはまっていない状態になるため、腰を左右に振るような歩き方になったり、足を引きずったり、脱臼しやすくなります。大型犬は発症しやすい疾患です。肥満を防ぐことで、発症リスクを下げることができます。
眼瞼内反症:瞼が内側に巻き込まれ、逆さまつげが角膜を傷つけてしまう疾患。
症状としては、目やにが出て、角膜炎・結膜炎になります。自分で目を擦って悪化させてしまうこともあるため、いつもと違う目の症状に気がついたら、早めに動物病院に受診しましょう。
慢性膵炎:膵臓が出す消化酵素によって、膵臓の細胞が溶けてしまう疾患。高脂肪の食事が続くと、発症しやすい疾患です。
消化酵素が過剰に分泌され、膵臓が炎症を起こします。症状としては、食欲不振、元気消失、下痢などの症状があります。
体重管理、食事の管理、被毛のケアで、予防できることもあるため、日常的な注意点を理解しておくことが重要です。
ブービエ・デ・フランダースのしつけ・飼い方
ブービエ・デ・フランダースは、性格のよい家庭犬になりますが、被毛や牧羊犬の気質など、日常的に気をつけなければならない点がいくつかあります。
近所のトリミングサロンを確認
ブービエ・デ・フランダースは、綺麗で清潔な被毛を保つために3ヶ月に1回はトリミングサロンに通う必要がある犬種です。
トリミングサロンが、大型犬も受け入れてくれるのか、この犬種の理解があるのか、事前に確認をしておくといいでしょう。
ブラッシングは可能であれば、毎日時間をかけて行ってあげましょう。とくに足の部分は毛玉になりやすく注意が必要です。
被毛のケアは、美しさを保つだけではなく、皮膚トラブルや眼疾患の予防にも繋がるためしっかり行いましょう。
単純で地味なう運動が好き
ブービエ・デ・フランダースは、過酷な重労働に耐えられる体のため、毎日の長距離、長時間の散歩は覚悟しなければなりません。
1日2回の60分ずつの散歩を早歩きでしてあげましょう。
また、この犬種は、ドッグスポーツなどの運動よりも、単純な散歩が好きなため、一緒に歩いてあげましょう。
また、週に2回ほどは、ドッグランなどの広いスペースや安全な場所で、自由に歩いたり走らせてあげましょう。
ブービエ・デ・フランダースは、もともと運搬や攪乳器を動かしていたため、引っ張る癖があります。子犬の頃から、リードを引っ張らないようにしつけることが必要です。
さらに、胴輪は、引っ張り癖を増長させてしまったり、毛玉を起こしやすいため、使用は控えた方がいいかもしれません。
時間、場所、手間をしっかりかけられる人向けの犬種
ブービエ・デ・フランダースは、飼い主への愛情が深く、賢く愛嬌のある、大変魅力的な犬種です。
しかし、毎日の被毛のケア、長時間の散歩、トリミングサロンに通い続ける経済面など、全てを理解した上で、飼育する必要がある犬種です。
日本の夏はこの犬種にとって熱中症の危険があるため、室内での飼育が向いているため、室内でのスペースも必要になります。
初心者には難しい犬種ですが、じっくりとこの犬種と向き合っていくことができれば、最良のパートナーになってくれる犬種です。
ブービエ・デ・フランダースの歴史
ブービエ・デ・フランダースの起源は古く、16世紀から17世紀にかけて、ベルギーのフランドル地方と北フランスに、スペイン人が支配者として入国してきた際に連れてきた犬が起源とされています。
当初は、牛を追う牧羊犬として、後には牛乳の荷馬車を引く運搬犬として使われていました。ブービエとは、牛飼い、牛追いという意味があります。
第一次世界大戦では、多くのブービエ・デ・フランダースが戦火にあい、この犬種はほとんど消失しました。
しかし、生き残った数頭の犬が、ベルギー軍の獣医師に助けられ彼らの手によって繁殖がはじめられます。
この犬種が、アメリカへ渡ったのは1930年代に入ってからで、映画のプロデューサーがアメリカへ連れて行ったといわれています。
優秀な農場犬である、ブービエ・デ・フランダースは番犬として活躍するだけではなく、現在では、警察犬や盲導犬としても能力を発揮しています。
ブービエ・デ・フランダースの値段価格
ブービエ・デ・フランダースは日本では大変珍しい犬種で、ペットショップで購入することは難しいです。
国内のブリーダーはごく少数で、この犬種が販売されることも年に数回と言われるほど珍しい犬種です。
この犬種の飼育を決めた方は、こまめにブリーダーサイトを確認するか、早めに予約を入れることが必要になります。
価格としては、25万円から40万円ほどです。
個人で、海外から輸入する場合は手数料や送料がかかり、さらに高額になります。また、子犬に実際に会えないため、可能であれば、国内のブリーダーから購入することを検討しましょう。
ブービエ・デ・フランダースは、大変魅力的な犬種ですので、興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考に環境を整え、家族の一員に迎え入れてあげてください。