ボクサーの基礎情報
・日本語表記:ボクサー
・英語表記:Boxer
・原産地:ドイツ
・発生:自然発生
・種類:使役犬
・サイズ:大型犬(53〜63cm)
・体重:オス27kg~32kg、メス25kg~29kg
ボクサーの性格・特徴
ボクサーは、タフで力強い猟犬の気質が強く残ったドイツタイプと、スマートでスタイリッシュなアメリカンタイプの2タイプが存在しています。
日本のボクサーの80%は、アメリカンタイプといわれておりこの記事では、アメリカンタイプのボクサーについてご紹介します。
ボクサーの性格
ボクサーは、陽気で機嫌がよく遊び好きな性格で、一緒にいると笑顔になるような犬種です。
ボクサーの性格の良さは、繁殖の時に性格の良さを最重視したからといわれています。友好的な性格のため、他の犬とトラブルになることはなく、安心して遊ばせることができます。
好奇心が旺盛で活発な気質ですが、家にいるときは大人しく甘えん坊な姿を見せてくれます。
番犬としての気質が残っているため、見知らぬ人には用心深さを見せますが、攻撃性はありません。頭が良く、しつけがしやすい犬種です。
ボクサーの特徴
ボクサーは、優雅さと上品さがありながら、力強さも兼ね備えた体型をしています。立たせた状態を上から見ると、腰にくびれがあります。
コンパクトでスクエアな体つきで強健な骨格を持っています。筋肉はよく発達し引き締まった体をしています。
頭部はボクサーらしい独特な外見をしており、マズルは幅広く力強く、オクシパット(後頭部)は出過ぎていません。
前頭部は、マズルのトップライン(横からみた上側のライン)とともに、明確なストップ(両目の間にあるスカルとマズルの接続部にあるくぼみ)を形成しています。
鼻筋はしゃくれず、ダウン・フェイス(スカルから鼻先まで下方に傾斜したマズルをもつ顔)ではありません。ブラックの鼻はわずかに上を向いています。
飼いやすく頭も良い優秀な家庭犬
ボクサーは、家族の子供から何をされても怒らないほど忍耐強く、穏やかで優しい犬種です。
要求も少なく綺麗好きで、匂いもほとんどありません。運動量は多い犬種ですが、非常に頭が良く、しつけや訓練が入りやすい素晴らしい家庭犬です。
一方で、正しくしつけなければ間違ったことをそのまま覚えてしまうことがあります。ボクサーが賢い分、飼い主の知識と態度やモラルなどが重要になります。
ボクサーの毛色・目の色
ボクサーの毛は、短く、堅く、光沢があり、体に密着したスムースヘアです。
毛色はフォーンまたはブリンドル、いずれもブラックマスクです。フォーンの色は、薄いフォーンから濃いディアー・レッドまであります。ブリンドルは、ダークかブラックのストライプで肋骨方向に流れています。
地色とストライプは、はっきりと対照をなしており、白斑がある場合もあります。
短毛種ですので、被毛ケアにはラバーブラシが適しています。皮膚を傷つける心配がなく、マッサージ効果もあるため血行が良くなり、皮膚疾患の予防にも繋がります。
ボクサーの鳴き声
ボクサーは、穏やかな性格のため、無駄吠えなどが少ない犬種です。
しかし、番犬の名残から、警戒心は残っているため、子犬の頃から社会性を身に付けるしつけや訓練は行うようにしましょう。
非常に賢いため記憶力もよく、怖い思いをするとなかなか忘れないといわれています。怖い思いを繰り返すと、警戒心や用心深さが強くなってしまいます。
この犬種が安心して、穏やかに過ごせる環境作りをすることも、飼い主の大切な役目です。ボクサーが穏やかに生活できるように、室内で飼育してあげましょう。
ボクサーの寿命・病気
ボクサーの寿命は、10歳〜12歳前後で、ほかの大型犬と比較すると平均的な寿命といえます。
拡張型心筋症:心臓の一部の筋肉が薄くなることで、心臓の収縮機能が低下し、全身にうまく血液を送れない疾患。
ボクサーは、遺伝的にこの疾患を発症しやすく別名「ボクサー心筋症」と呼ばれています。拡張型心筋症の、飼い主が気がつきやすい症状としては、食欲低下、疲れやすいなどです。
症状が進むと、肺水腫や呼吸困難などの症状がみられるようになります。拡張型心筋症を発症した場合、根治的な治療は無く、現れている症状に対する対症療法が行われます。
例えば、利尿剤の投与により、肺に溜まった水を抜いたり、強心剤を使って、循環不全を改善させます。拡張型心筋症は遺伝性の要因が強く、予防法はありません。
ブリーダーから迎え入れる時に遺伝子検査、親や兄弟犬の病歴を確認してください。健康診断の際には、心臓のエコー検査も追加してもらうといいでしょう。
胃捻転:胃が捻転しショックなどの症状を起こす疾患。ボクサーは、胸の深い体型をしているため、胃捻転が起こりやすいです。
捻転した状態が続くと、大きな静脈も捻れてしまい、全身に血液が回らなくなりショック状態に陥ってしまいます。命にも関わる疾患のため、早急な処置が必要です。
症状としては、吐きたくても吐けない、急にぐったりする、大量のよだれを垂らすなどで、これらの症状がみられたら、早急に近くの動物病院を受診しましょう。
胃捻転が起こらないように、一回の食事量を少なくするために食事の回数を3回に分ける、早食い防止の食器を使う、食器の高さを上げる、食事後は安静にさせる、などの予防法があります。
クッシング症候群:副腎からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌される疾患。コルチゾールとは、代謝に関係するホルモンで常に適切な量が分泌されています。
クッシング症候群は、このホルモンが通常よりも多く分泌されることにより、体に悪影響が出る病気です。例えば、多飲多尿、脱毛、皮膚が黒ずむ、足腰が弱くなるなどです。
他にも疲れやすくなる、元気がなくなるなどで、中年期以降に発症することがあるため、老化による症状と間違われることが多いです。
気になる症状があれば、血液検査で診断できるため、動物病院に相談してみましょう。
椎間板ヘルニア:背骨同士を繋いでいる椎間板が何らかの原因で、脊髄を圧迫する疾患。椎間板ヘルニアを発症した場所や、程度によって症状は異なります。
よくみられる症状としては、段差の上り下りを嫌がるようになる、脚に麻痺がみられ歩行や立つことも困難になる、トイレを失敗するなどがあります。
初期の症状であれば、鎮痛剤の投与や麻痺を改善する薬などの内科的治療が行われます。
重症の場合には、外科的手術を行い、その後はリハビリが必要になります。
ボクサーのしつけ・飼い方
ボクサーは飼いやすく、しつけもしやすい犬種として人気がありますが、飼い主がこの犬種に対する正しい知識や認識をもつことが非常に重要な犬種といえます。
非常に賢いため正しくしつけることが大切
ボクサーは、賢く物覚えがいいため、飼い主が間違った指示を出してもすぐに覚えてしまうことがあります。
そのため、ボクサーを優れた犬に育てるためには、飼い主の知識や、モラルなどが重要です。
子犬を迎え入れたら、すぐにでもしつけや訓練を開始しましょう。まずは、信頼関係を築くためにも、なるべくたくさんの時間一緒に過ごし、触れ合うことが大切です。
しつけや訓練の時には、決して怒鳴ったり怖い思いをさせずに、できたことをたくさん褒めてあげるような方法を取るようにしましょう。
個体差がありますが、警戒心が強い犬種にならないように、子犬の時からさまざまな刺激に触れさせ慣れることが重要です。
車の音や、電車の音、バイクの音や車の音、インターホンなどたくさんの音を聞かせて、怖がらなくてもいいことを教えてあげましょう。
十分な運動をさせてあげる
ボクサーは、活発で体力が豊富な犬種です。屋外で十分に運動をすることで、おうちでは穏やかに過ごすため、毎日の運動が欠かせません。
散歩は1日2回の1時間ずつ行います。
走ることが好きな犬種なので、のんびりした散歩よりは早歩きやジョギングで散歩するといいでしょう。
子犬の時に基本的なしつけや訓練が済んでいれば、他の犬とトラブルになることはありません。ドッグランなどの広い場所で思いっきり走らせてあげると喜びます。
ボクサーは、元気なお子さんがいる家庭や、アウトドアでアクティブに体を動かすことが好きな人にぴったりの犬種です。
室内飼いでたくさん触れ合って
ボクサーは、見た目に似合わず甘えん坊で、人のそばにいることを好む犬種です。
家庭の中に子供がいても、安心して遊ばせることができますし、怒られた時にもしゅんとした落ち込んだ顔を見せるなど表情豊かで、家族を笑顔にしてくれる犬種です。
寂しい思いはストレスになってしまうため、なるべく一緒に過ごしてあげましょう。
また、原産地のドイツは、日本の夏とは異なりカラッとした暑さのため、高温多湿の夏場は熱中症に十分注意しなければなりません。
室内であっても、室温や湿度を調整してあげましょう。椎間板を痛めやすいので、階段などの段差の上り下りには注意してください。
ボクサーの歴史
ボクサーの祖先犬は、マスティフ系の犬種の猟犬でブレンバイザーと呼ばれ、猟師が車で獲物に噛みついたまま離さないという危険な役割をになっていました。
この犬種は、繁殖家ではなく、漁師たちが自ら改良して育種を行っていました。
ブレンバイザーとは「牛噛み犬」という意味があり、当時イギリスで行われていた、「ブルバイティング(牛いじめという見世物)」に用いられる犬種のことを呼んでいました。
獲物に飛びかかる勇敢さ、強くて大きいアゴ、噛みついても離さないスタミナ、そして興奮状態でも、主人の指示で獲物からすぐに離れることができる従順性など、狩猟にとって適した優秀な犬を選択し繁殖が重ねられていました。
ブルバイティングの禁止と、畜産の進歩により、狩猟文化が衰退していき、ブレンバイザーたちは、猟犬から食肉用の家畜の警護に活躍の場を移すことになります。
1895年頃になると、雑種化が進んでいたブレンバイザーを、ひとつの犬種として確立しようという動きがドイツで起こり、この頃「ボクサー」という名前がついたようです。
それから10年という長い時間をかけ、スタンダードが作られ、1905年頃にドイツで正式に犬種として登録されます。
これより数年早く、ボクサーはアメリカに渡り、アメリカで繁殖された犬がアメリカンケネルクラブに登録されました。
アメリカに渡ったボクサーは、アメリカ人の好みに従って、ボクサーの体型を洗練させ、被毛色も改良し、気質も家庭犬に即したものになりました。
ドイツのボクサーは頑健で力強く気品があり、2タイプのボクサーが存在しています。
第二次世界大戦の際には、アメリカで軍用犬としてボクサーが使われ、終戦後には軍人のペットとして、家庭に入ることになります。
アメリカでは今でも家庭犬として大変人気がある犬種です。
日本に初めて輸入されたのは、昭和の初めにドイツからもたらされたと言われていますが、実際に国内で知名度が上がったのは、戦後のアメリカ占領下で、アメリカ軍がボクサーを連れていたことがきっかけでした。
日本ではその後、ボクサーは警察犬として採用されました。
ドイツタイプは、ドイツを中心としたヨーロッパ全土に広がり、アメリカンタイプは南北アメリカやアジアに広まっています。
ボクサーの値段価格
ボクサーはアメリカでは大変人気がある犬種ですが、日本のペットショップでは見かけることはない犬種です。
しかし、ボクサーの愛好家は多く、日本においてもブリーディングは行われています。
ブリーダーから購入する場合、10万〜15万円ほどが相場ですが、血統などによって20万円以上することもあります。
ボクサーは遺伝性の疾患があるため、迎え入れる前に、親犬や兄弟犬の病歴の確認や、遺伝子検査を確認するといいでしょう。
ボクサーは飼いやすいだけではなく、表情豊かで家族を笑顔にしてくれる犬種です。ボクサーについて興味をもたれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。