ブリュッセル・グリフォンの基礎情報
・日本語表記:ブリュッセル・グリフォン
・英語表記:Brussels Griffon
・原産地:ベルギー
・発生:人為的発生
・種類:愛玩犬
・サイズ:小型犬(18cm〜20cm)
・体重:オス 3.5kg~6kg、メス 3.5kg〜6kg
ブリュッセル・グリフォンの性格・特徴
ブリュッセル・グリフォンは、15世紀頃からベルギーにいたとされる小型犬が祖先犬でした。口やあごにのびた髭が特徴的で、愛嬌のある元気な性格が魅力の犬種です。
ブリュッセル・グリフォンの性格
ブリュッセル・グリフォンは、陽気で明るく遊び好きな性格です。
飼い主には忠実で、愛情深く、人懐っこいため、番犬には不向きなほど穏やかな犬種です。頭がよく、物覚えがいいですが、頑固なところがあるため、納得しなければ従わないことがあります。
基本的なしつけは入りやすいですが、トレーニングは根気よく行ってください。無駄吠えもせず、フレンドリーなため、初心者でも飼いやすい犬種です。
ブリュッセル・グリフォンの特徴
ブリュッセル・グリフォンは、バランスの取れた小型犬で、体長と体高がほぼ等しいスクエア体型です。
体は力強く、背はまっすぐで短く、しっかりとしています。
本犬種にとって、頭部が最も特徴的な部分です。頭部は体の大きさと比べるとかなり大きく、スカルは幅広いです。大きめの頭部のため、難産になることが多いようです。
ストップ(両目の間にある、スカルとマズルの接続部のくぼみ)は非常にはっきりとしており、鼻と目は同じライン上にあります。
鼻先は後方に傾いているため、横から見ると、顎先と鼻、額は同じ平面上にあります。マズルは鼻も含めて大変短く1.5cm程度です。
耳は小さく付け根が高く、離れてついています。断耳された耳は尖って、直立しており、断耳しない耳は、半直立耳で、前方に垂れています。
かつては馬車を守っていたたくましい小型犬
ブリュッセル・グリフォンは、小さな体をしていますが、かつては馬車を守ったり、馬小屋に侵入するネズミを獲るなど、さまざまな役割をになっている犬種でした。
そのため、小型犬の割に筋肉質でしっかりとした体格と、注意深さがあります。誇り高く、飼い主に対しての忠誠心も、愛玩犬以上のものがあります。
ブリュッセル・グリフォンの毛色・目の色
ブリュッセル・グリフォンは、下毛のある粗い剛毛です。被毛は生まれつき堅く、わずかにウェービーになっています。
被毛はトリミングが必要で、頭部の飾り毛(口髭と顎ひげ)は目と鼻を結ぶラインの下から始まり、両耳にかけて形成されます。
マズルと頬は十分な飾り毛でおおわれ、ボディの他の部分の被毛よりも長くなっています。目の上の被毛は、頭部の他の部分よりも長くして眉毛をつくります。
トリミングによって、口髭を作っている場合、食後や水を飲んだ後は口元が汚れやすいため、こまめに拭いてあげましょう。
ブラッシングは、コミュニケーションを兼ねて、毎日行うことが理想的です。獣毛ブラシを使ってブラッシングしてあげましょう。
毛色は、レッドなど赤みがかった色で、頭部の飾り毛はわずかにブラックが入っている個体もいます。
ブリュッセル・グリフォンの目は、十分に離れてついており、大きく丸いです。色は、ダーク・ブラウンで、目の縁はブラックです。
ブリュッセル・グリフォンの鳴き声
ブリュッセル・グリフォンは、穏やかな性格で、吠えることが少ない犬種です。
しかし、個体差が大きく、中には吠えやすい犬もいるようです。というのも、この犬種は、キング・チャールズ・スパニエルやパグ、アーフェン・ピンシャー、ヨークシャー・テリアなどの数多くの犬種の交配により生まれた犬種で、どの犬種の性質が色濃く出るかで、個性が異なるからです。
ブリーダーから迎え入れる際には、親犬や兄弟犬の気質を確認するといいでしょう。
神経質で警戒心が強い場合でも、子犬のうちに家族以外の人や犬とたくさん触れ合ったり、さまざまな匂いや音などの刺激に慣れさせることで、穏やかな性格になるといわれています。
反対に、親犬が穏やかでも小型犬で運動量が少ないからといって、家の中で過ごしてばかりいると、神経質になってしまいますので、注意してください。
ブリュッセル・グリフォンの寿命・病気
ブリュッセル・グリフォンの寿命は10歳〜15歳でややばらつきがあり、個体差がありますので、15年以上長生きする子も珍しくありません。
短頭種気道症候群:呼吸が正常に行えなくなる短頭種に発症する疾患。ブリュッセル・グリフォンは、マズルが短く、短頭種特有の呼吸器疾患には注意が必要です。
本疾患は、空気の通り道が狭くなり、呼吸が正常に行えないような症状が現れます。
「口を閉じて呼吸するときにズーズー、ブーブーと音がする」「口を開けて呼吸する時に、ガーガーと音がする」「いびきをかく」「呼吸困難」「運動を始めてもすぐにやめてしまう」など、気になる症状があれば、早めに動物病院に相談しましょう。
肥満は、発症リスクが上がり、高温多湿の夏場は症状が悪化しやすいため、十分に注意してください。
二重睫毛:睫毛が本来の位置よりも内側に生えてしまう疾患。
ブリュッセル・グリフォンのまつ毛自体に問題はなく、まつ毛によって結膜炎を発症したり、角膜を傷つけてしまうことがなければ、治療は行われないことが多いです。
しかし、涙目になっている、目を気にしている、目ヤニが出ているなどの症状がみられた場合には、まつ毛を抜くなどの処置が行われます。
膝蓋骨脱臼(パテラ):膝蓋骨が正常な位置から外れてしまう疾患。
膝蓋骨脱臼の発生には2つの原因が考えられています。一つ目は、遺伝による先天的なもの、二つ目は、事故や怪我などの外傷です。一般的に小型犬は発症しやすく注意が必要です。
ブリュッセル・グリフォンは普段は穏やかですが、子犬の頃はやんちゃで押しつきがありませんので、遊んでいる時に興奮して高いところから飛び降りたり、急に階段を駆け上がるなど、膝蓋骨に負担をかけることがないように気をつけてあげましょう。
症状は、スキップするように歩く、足を浮かせるようにして歩く、足を引きずったりかばうようにして歩くなどがあり、重症化するとうずくまった姿勢で歩くようになります。
ブリュッセル・グリフォンのしつけ・飼い方
ブリュッセル・グリフォンは、性格も良く穏やかで、飼育しやすい犬種ですが、短頭種であることを理解して飼育する必要があります。
熱中症には十分注意して
ブリュッセル・グリフォンは短頭種のため、熱中症のリスクが高い犬種です。
短頭種の犬は、マズルが短く口腔面積が狭いため、口から熱を逃すことが苦手とされています。
日本の夏は、高温多湿になりやすく、十分に注意しなければ、熱中症になってしまいます。
気温22度、湿度60%を超えると、熱中症リスクが上がるといわれていますので、暑い日の散歩は、涼しい時間帯に短めに行うようにしてください。散歩中もよく様子を確認してください。
留守番の時もエアコンでしっかりと温度と湿度を管理してあげてください。
人懐っこくフレンドリーな性格を伸ばしてあげる
ブリュッセル・グリフォンは、陽気で明るい性格から、家族全員を楽しい気持ちにさせてくれる存在になるでしょう。
子供とも仲良く遊んでくれる、愛情深い家庭犬です。
一方で、人懐っこいため、番犬には向いていません。ただし、家族以外の人と触れ合いがないと、臆病や神経質になる可能性があるため、子犬のうちから、来訪者や、散歩で出会う人などたくさんの人に可愛がってもらうようにしてください。
この犬種本来のフレンドリーな性格をどんどん引き出してあげましょう。
毎日のお手入れで清潔に保つ
ブリュッセル・グリフォンは、元々は体臭の強い犬種ではありません。
しかし、口髭を残したトリミングをしている場合、被毛が汚れやすく、そのままにしていると匂いの原因となります。
また、鼻の部分にシワがありますので、ブラッシングのタイミングで、シワの間も綿棒などで汚れを拭き取ってあげましょう。
ブリュッセル・グリフォンの歴史
ブリュッセル・グリフォンは、ベルジアン・グリフォン、プチ・ブラバンソンの2犬種と同様に、何世紀も前からブリュッセルに存在していた小型犬の「スムージー」が祖先犬といわれています。
19世紀に、毛色がルビーのキング・チャールズ・スパニエルやパグの血統を加え、ブラックで短毛の犬を生み出しました。当時は、大変注意深く、馬車を守ったり、馬小屋に侵入するネズミを捕っていました。
1883年に2頭の、ブリュッセル・グリフォンがベルギーケネルクラブに初めて登録されました。
ベルギーのマリー・アンリエット王妃がこの犬種に興味を持ったことから、1900年頃までには、ヨーロッパ各地で人気が広まっていき、ブリュッセル・グリフォンはイギリスに輸出されます。
人気の最盛期の1920年代、ブリュッセルに繁殖用のメスのブリュッセル・グリフォンは5,000頭以上いたといわれています。
しかし、改良の結果、繁殖に問題が生じるようになり20世紀後半には頭数を減らしてしまい、同時に世界各地の頭数も減ってしまいました。
ブリュッセル・グリフォンの値段価格
ブリュッセル・グリフォンは日本でも、毎年数百頭の犬籍登録が行われている犬種です。
愛好家も多く、ブリーダーも各地に存在しています。ただし、ブリュッセル・グリフォンは頭部が大きいことから、難産になることが多く、迎え入れるまでに時間がかかる可能性があります。この犬種を迎え入れたい場合には、早めに予約を入れるといいでしょう。
希少な犬種のため子犬の価格は、45万円前後で比較的高価です。
ブリュッセル・グリフォンは、穏やかで性格の良さが特徴で、家庭犬として飼育しやすい犬種です。
非常に愛嬌のある可愛らしいブリュッセル・グリフォンに興味を持たれた方は、ぜひ、本記事で本犬種について知っていただければと思います。