
ダルメシアンの基礎情報
・日本語表記:ダルメシアン
・英語表記:Dalmatian
・原産地:クロアチア
・発生:自然発生
・種類:嗅覚ハウンド
・サイズ:大型犬(54~61cm)
・体重:オス 27kg~32kg、メス 24kg~29kg
ダルメシアンの性格・特徴
映画「101匹わんちゃん」で有名なダルメシアンは、家庭犬や狩猟犬などさまざまな用途で飼育されている犬種です。
ダルメシアンの性格
ダルメシアンは、外交的でフレンドリーな性格が魅力です。
神経質さや攻撃性を見せることはなく、いつも元気いっぱいに明るい姿は、家族を笑顔にしてくれる存在です。
馬車の伴走犬だったこともあり、持久力と活動量は抜群で、一緒にドッグスポーツを楽しんだり、体を動かすことで、飼い主との信頼関係を深めていきます。
ダルメシアンの特徴
ダルメシアンは、白い毛並みに黒もしくは茶色の斑があり、筋肉質でバランスの取れた体をしています。
頭部はかなり長く、スカル(頭部を包んでいる部分)は平らで、耳の間はかなり広くなっています。
耳はかなり高い位置についており、付け根は幅広く、丸みを帯び先端に向かって少しずつ先細口なっています。
尾は長く、ほぼホック(くるぶし)まで達しており、付け根は力強く、先端に向かってなめらかに先細っています。
前脚は真っすぐで、後ろから見ると後脚は垂直かつ並行です。足は丸くコンパクトで、指趾(前後の足の指)はよくアーチしています。
しつけ次第で素晴らしい家庭犬に
ダルメシアンは、非常に頭がよく、しつけによって無駄吠えのない家庭犬となります。
毎日の十分な運動量を確保することさえできれば、マンションでも飼育ができるだろうといわれています。
走ることが大好きで、足も非常に早いため、散歩中はリードをしっかり握り脱走しないように気をつけてください。
甘えん坊で、飼い主や家族のそばにいたい気持ちが強いため、室内で飼育してあげましょう。

ダルメシアンの毛色・目の色
ダルメシアンの被毛は、短く硬く、密に生えたスムースコートです。
毛色は、ピュア・ホワイトにブラックまたはブラウンのスポット(斑)があり、スポットはできるだけ満遍なく分布していることが好ましいとされています。
また、スポットは、丸く直径2〜3cmが理想的で、頭部や前後の脚、尾のスポットはボディのものよりも小さいものです。
抜け毛は年間を通して多く、短いため、洋服などに刺さり抜けにくいです。室内飼育の場合には、こまめな掃除が必要です。
抜け毛対策として、洋服を着せる方法もありますが、皮膚が蒸れ皮膚疾患を発症する可能性があるため、長時間着せることは控えましょう。
ブラッシングには、ラバーブラシがおすすめです。皮膚に優しく、マッサージ効果もあるため血流が良くなり、皮膚疾患の予防にもなります。
最後に絨毛ブラシを使ってツヤを出してください。
ダルメシアンの目は、中くらいの大きさで丸く、色はブラックの斑の犬においてはダーク・ブラウンで、レブラウンの斑の犬については、ライト・ブラウンからアンバーまであります。
ダルメシアンの鳴き声
ダルメシアンの鳴き声は、周囲に響く大きな声です。
しかし、しつけや訓練によって無駄吠えをなくすことができますし、見知らぬ人に対して、強い警戒心は抱きません。
猟犬の気質が残っている場合には、吠えることでコミュニケーションを取ろうとしてしまうので、子犬のうちからしっかりと教えてあげましょう。
吠えてしまっても、すぐに鳴きやますことができるように「マテ」「ヤメ」「お座り」など、短いコマンドで指示を出すことも効果的です。
無駄吠えの訓練ができれば、日本の集合住宅地でも飼育は可能ですので、迎え入れたらすぐにでもコマンドの訓練や、無駄吠え対策を開始してください。
吠える機会が増えたと感じた時には、運動不足の可能性が高いです。通常の散歩に加えて、広い場所で自由に走ったり、ボール投げなどで遊んであげるといいでしょう。
ダルメシアンの寿命・病気
ダルメシアンの寿命は12〜14歳で、他の大型犬と比較して平均的な長さです。
尿路結石:尿道に結石ができてしまう疾患。尿道は、膀胱から尿の出口までを指し、オスの方が尿道が長いため、オスの発症率が高い疾患です。
尿路結石は、マグネシウム・カルシウム・リン酸を過剰に含む食事、水分不足、内分泌疾患、体内環境の変化によって尿中に含まれる成分が結晶化することで発症します。
症状には、頻尿、血尿、尿が出ない、排尿中の痛みなどがあります。
尿石症にならないために、食事管理といつでも水分摂取できる環境づくりを心がけましょう。また定期的に尿検査を行うこともおすすめします。
ダルメシアン・ブロンズ症候群:ダルメシアン特有の皮膚疾患。
アレルギーやストレス・環境(湿度・温度)などが原因で発症し、症状には「かゆみ」「毛の脱落」「毛の変色」「化膿」などがあります。
頭部の先端や首の下、背中、脇腹周辺に小さな蕁麻疹がみられることが多いです。
治療は、抗生物質の投与が行われます。他にも、アレルギーの原因となる物資(ノミなど)への対策・抗菌シャンプー・アレルギー対応のフードへ、変更することで改善することがあります。
聴覚障害:先天的に聴覚に障害が出る疾患。ダルメシアンは、先天的に聴覚異常があることが多い犬種です。
原因として考えられているのは、パイボールド(濃い色の下地に白斑が浮かび上がる被毛)遺伝子です。
「動くのを嫌がる」「飼い主への依存度が高くなる」「呼びかけに反応しない」「臆病になる」などの様子が見られたら、動物病院で相談してみるといいでしょう。

ダルメシアンのしつけ・飼い方
ダルメシアンは、しつけと訓練次第で素晴らしい家庭犬になります。
足が速く走ることが大好き
ダルメシアンは、馬車の伴走犬をしていたこともあり、走ることが好きで、持久力にも優れています。
毎日たっぷり1時間の散歩を、朝夕2回行ってください。ランニングや自転車の並走で走りながらの散歩でなければ、満足しないこともあるほど、運動量の多い犬種です。
十分な運動量を確保すれば、室内では大人しく過ごしてくれるので、マンションでも飼育が可能といわれています。
食生活と水分で尿石症予防
ダルメシアンは、尿石症を発症しやすい犬種です。
体質的に発症しやすいため、食生活には十分に気を配る必要があります。食べ物に関しては、プリン体に注意してください。
他には、水分補給が大切です。水を十分に飲ませるには、水温を常温にしたり、野菜や肉の茹で汁をあげると効果的です。
また、水道水よりも消化・吸収の良いpHの高いミネラルウォーターを飲ませることで、体内の老廃物を排出してくれます。
しつけや訓練は根気よく
ダルメシアンは、飼い主や家族と一緒に過ごすことが好きな甘えん坊な性格のため、室内飼育が推奨されています。
しかし、室内飼育のためのしつけが入りづらく、根気が必要です。とくにトイレは少し場所がずれてしまうことが多いようです。
無駄吠えに関しても、大きな声ですので、子犬の時からしつけと訓練をしっかり行うようにしてください。

ダルメシアンの歴史
ダルメシアンの起源ははっきりとはわかっていませんが、歴史的彫刻や16世紀から18世紀に描かれた絵画により数千年前から存在していたと推測されています。
生まれた土地は、ヨーロッパ数カ所や、エジプト、インドなどといわれており、そのいずれにも記録が残っているため、はっきりとした原産地もわかっていません。
18世紀の中頃、現在のクロアチアにあるダルメシア地方において、この犬種と思われる犬の存在が記録されていたため、のちにダルメシアンと呼ばれるようになりました。
ダルメシアンの起源に不明な点が多い理由として、ダルメシアンがジプシーや旅商人の犬として各地を回っていたためと考えられています。
ダルメシアンは当時、馬と共に走り、荷物を護衛することが仕事でした。
それ以外にも、番犬、猟犬、ネズミの駆除犬など人間の生活に関わる場所で仕事を与えられていました。
19世紀後半になると、イギリスで犬種のスタンダードが定められました。美しい外見から、イギリスをはじめとしたヨーロッパ各国で貴族や富裕層の犬としてもてはやされました。
ダルメシアンの値段価格
ダルメシアンは日本においても知名度が高い犬種のひとつです。
しかし飼育するとなると、運動量の多さや、体の大きさから、一般家庭ではなかなか飼育が難しいと考えられています。
ブリーディングは国内でも行われており、子犬の価格は35万円前後です。
ダルメシアンは、聴覚障害を先天的に発症しやすい犬種ですので、迎え入れる際には遺伝子検査や親犬の病歴など確認するようにしてください。
ダルメシアンは、非常に賢いため、しつけや訓練、飼い方によって飼いやすい犬種になります。明るくフレンドリーな性格は、家族だけではなく、散歩で出会う人も笑顔にさせるでしょう。
ダルメシアンに興味をもたれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。