
フィールド・スパニエルの基礎情報
・日本語表記:フィールド・スパニエル
・英語表記:Field Spaniel
・原産地:アメリカ合衆国
・発生:人為的発生
・種類:ポインター/セター以外の鳥猟犬
・サイズ:中型犬(43cm~46cm)
・体重:オス 16kg~20kg、メス 16kg〜20kg
フィールド・スパニエルの性格・特徴
フィールド・スパニエルは、最も古いランド・スパニエル種で典型的なスパニエル種といわれています。
フィールド・スパニエルの性格
フィールド・スパニエルの性格は、優しく忍耐強く、攻撃性はありません。
見知らぬ人に対しても、強い警戒心を抱かず、攻撃的になることはありません。距離をおいて控えめに接するようにしています。
他の犬や猫、子供とも遊ぶことが大好きで、非常にフレンドリーな犬種です。
しかし、しつけの飲み込みが遅く、訓練は根気よく行うようにしてください。しつけの入りにくさを除けば、飼育しやすく、集合住宅でも飼育が可能です。
フィールド・スパニエルの特徴
フィールド・スパニエルは、均整がとれ気品があり、スラリとした体型のスパニエル種です。
背や腰は力強く、平らで筋肉質です。胸は深く、あばらは適度に張っており、あばらの周囲の長さはボディの3分の2を占めています。
血統や品のよさ、高貴さを感じさせる頭部で、スカルは彫りが深く、オクシパッド(後頭部)ははっきりとしています。
目の下の肉は少なく、眉はやや盛り上がっています。ストップは適度で、鼻はよく発達し、鼻腔はよく開いています。マズルは長く、スッキリしています。
フラッシングをになっていた狩猟犬
フィールド・スパニエルは、狩猟において「フラッシング」を担っていました。
フラッシングは、フィールド・スパニエル以外に、イングリッシュ・コッカー・スパニエルやサセックス・スパニエルなどが行っています。
主人と共に鳥を捜索し、発見すると鳥の気をひいたり飛び立たせたりします。主人は、獲物を銃で撃ち落とし、落ちてきた鳥を回収するというのが、「フラッシング」の仕事です。
何百年もの間、フィールド・スパニエルはこの仕事を忠実にこなし、仕事熱心であったことから猟師に重宝され、大切に飼育されていました。

フィールド・スパニエルの毛色・目の色
フィールド・スパニエルの毛色は、長く平らで光沢があり、シルキー(絹糸状)です。
密に生えた被毛は、雨風に強く、胸、ボディの下部、足の後ろ側には豊富な飾り毛があります。ホック(くるぶし)から地面まではすっきりとしています。
長めの細い被毛は絡まりやすいため、週に2〜3回はブラッシングとコーミングしてください。足裏などの被毛が伸びすぎないように、1ヶ月に1回程度のトリミングがおすすめです。
フィールド・スパニエルの毛色は、ブラック、レバー、ローン(地色にホワイトが細かく混ざったもの)があり、これらの色に、タン・マーキングが入っているものがあります。
単色の犬については、胸にホワイトやローンが入っていることもあります。
フィールド・スパニエルの目は、大きく見開いていますが、アーモンド形になっています。まぶたはぴったりと張り、瞬膜は見えません。厳粛で優しい表情をしています。
目の色は、ダーク・ヘーゼルです。
フィールド・スパニエルの鳴き声
フィールド・スパニエルは、普段温和で友好的な性格のため、警戒心から吠えることはほとんどありません。
室内でも落ち着いて過ごすことがほとんどで、見知らぬ人に対しては、攻撃的に吠えることはなく、距離を置いてよそよそしく接します。
ただし、子犬の頃から甘やかすことなく、必要なしつけや訓練を行う必要があります。学習能力は高いですが、頑固な性格で個体によっては根気よくしつけを行う必要があります。
また、普段は大人しくしていますが、本来は走り回ることが好きな犬種です。運動不足になると、無駄吠えなどの問題行動が増えますので、様子を見ながら運動量を調整しましょう。
フィールド・スパニエルの寿命・病気
フィールド・スパニエルの寿命は12歳〜13歳で、一般的な寿命とほとんど変わりませんが、大型犬としてはやや長命な犬種です。
股関節形成不全症:股関節の異常から歩き方に異変が現れる疾患。股関節形成不全は、大型犬に多く発症する関節疾患ですが、中型犬のフィールド・スパニエルも注意が必要です。
発育の段階で、股関節が形態的な異常を起こしてしまう疾患で、成長期に症状がで始めることが多いといわれています。原因のほとんどは遺伝的要因ですが、成長期の過度な運動や、肥満が股関節に負担をかけ発症リスクをあげています。
フィールド・スパニエルは思いっきり走ることが好きですが、堅いアスファルトの上ではなく、芝生の上で走らせてあげましょう。
「横座りをする」「腰を振るようにして歩く」「段差の昇り降りを嫌がる」「立ち上がるのに時間がかかる」などの症状があれば、この疾患の可能性があるため動物病院を受診しましょう。
外耳炎:鼓膜から耳の穴までの外耳の炎症。フィールド・スパニエルは大きな垂れ耳で、耳が蒸れやすい犬種です。
「頭をよく振る」「耳の後ろ側をよく掻く」「耳から臭いがする」などの症状は、外耳炎を発症している可能性があります。
ブラッシングのタイミングで、耳の汚れがあれば拭き取り、匂いなどがないか注意して観察してあげましょう。

フィールド・スパニエルのしつけ・飼い方
フィールド・スパニエルは、優しく人懐っこい犬種ですが、見た目以上に運動量が多い犬種です。
走り回ることが大好き十分な運動が必要
フィールド・スパニエルは、普段は穏やかで落ち着いていますが、本来は走り回ることが大好きな犬種です。
散歩は毎日朝夕1時間ずつ行うことが理想的です。
さらにドッグランや河原など、広い場所を思いっきり走らせてあげましょう。友好的なため、他の犬とも仲良く遊びます。
都会向きではない犬種
フィールド・スパニエルは、運動量が豊富なだけではなく、過酷な環境下や水中でも作業をこなす活動的で、仕事熱心な犬種です。
そのため、自然に触れ合える場所や、広々とした環境、水辺が近くになるような郊外で飼育することが望ましい犬種です。
アウトドア好きな人にとっては、非常によいパートナーとなってくれるでしょう。
賢いがしつけは根気よく行って
フィールド・スパニエルは、愛情をもって訓練することで、飼い主に忠誠を尽くす愛犬になります。
しかし、頑固で自立心が強いため、しつけに時間がかかる可能性があります。従順な成犬に育てるために、子犬の頃から根気強くしつけを行う必要があります。
学習能力が高く、好奇心が旺盛な犬種ですので、遊びや運動を交えて楽しく訓練を行うといいでしょう。
難しい場合には、しつけ教室や、プロの訓練士に相談してください。

フィールド・スパニエルの歴史
フィールド・スパニエルは、最も古いランド・スパニエル種で、スパニエルの典型といわれる犬種です。
本犬種が誕生した頃、コッカー・スパニエルはもともとサイズ以外の違いがほとんどなく、同一犬種として取り扱われていました。
しかし、次第に犬種の区分・分類が行われたことにより、本犬種とコッカー・スパニエルと別犬種として扱われるようになりました。これにより、それぞれの犬種の違いが顕著になり、両方が独立した犬種として発展していきます。
フィールド・スパニエルは、フラッシングという仕事を担い、狩猟を行っていました。
19世紀になると、本犬種はショー・ドッグとしても使われるようになり、ショー用に改良され容姿が変化したショータイプの犬が誕生しました。
しかし、すべての犬種がショータイプに改良された訳ではなく、半数のフィールド・スパニエルは愛好家の要望により、もともとの容姿や能力が保たれた実猟タイプのまま残されました。
ショータイプの無理な改良のせいで人気が衰え、頭数が激減してしまいます。
一時は頭数が回復し、人気が戻ってきたものの、2度の世界大戦によって再び数を減らしてしまいます。愛好家や育種家の手によって、生き残った犬種から頭数を回復させ、純粋な本種を復活させました。
現在は、ほとんどが家庭犬やショードッグとして飼育されていますが、実猟タイプも猟犬としてもにならず家庭犬として飼育されていることが年々増えています。
両タイプはそれぞれに多くの愛好家がおり、大切に保護されています。しかし、現在も希少で珍しい犬種のひとつです。
フィールド・スパニエルの値段価格
フィールド・スパニエルは、日本においても非常に希少な犬種です。
ジャパンケネルクラブによると2002年に5頭の登録がされたのみで、以降の登録はありません。国内でブリーディングは行われておらず、国内で購入することは困難な状況です。
フィールド・スパニエルを迎え入れたい場合には、海外から輸入する必要があります。
ペット輸入代行業者を介して輸入する場合、現地のブリーダーとやりとりを代行してくれますが、費用は一般的に諸経費を含めて50万円程度といわれています。
ただし、希少な犬種の場合は、迎え入れるまでの期間や、費用は直接確認する必要があります。
フィールド・スパニエルは、運動量が豊富で、トレーニングには時間がかかりますが、愛情をかけた分だけ返してくれる犬種です。
フィールド・スパニエルに興味をもたれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。