
グレート・ピレニーズの基礎情報
・日本語表記:グレート・ピレニーズ
・英語表記:Great Pyrenees
・原産地:フランス/スペイン
・発生:自然発生
・種類:使役犬
・サイズ:大型犬(65~80cm)
・体重:オス50kg~60kg、メス50kg~60kg
グレート・ピレニーズの性格・特徴
グレート・ピレニーズは、フランスとスペインの国境を連ねるピレネー山脈で、牧羊犬、番犬として飼育されていました。
グレート・ピレニーズの性格
グレート・ピレニーズは、穏やかで、愛情深く忍耐強い性格をしています。
飼い主に従順なことはもちろん、人が大好きで甘えん坊なため、どこに連れて行っても人気者になることが多いようです。
子供も好きなので、家族の中に小さな子供がいても忍耐強く付き合ってくれる優しさを持っています。
番犬として活躍していた時の警戒心は、交配によって徐々に弱められ、家庭犬としてふさわしい気質になりました。
しかし番犬としての気質は完全には失われておらず、子犬の頃から、たくさんの人に触れ合うことで、人好きな性格に育ててあげましょう。
賢く洞察力も優れているため、飼い主よりも先に状況判断をしようとすることがあります。そのため、飼い主のいうことを聞かずに自分で判断する、頑固さを見せるときもあります。
グレート・ピレニーズの特徴
グレート・ピレニーズは大きく、たくましい体と堂々とした雰囲気が特徴的です。
ガッチリとした骨格は、昔、オオカミやクマなどの大きな獣から羊や家族を守ってきた家畜護衛犬の面影を残しています。
普段は、穏やかでのんびりとした動きをしていますが、テリトリー内に敵が侵入してきたと思った時は、素早い動きを見せ、勇敢に戦おうとします。
子犬時代は、やわらかな毛とコロコロした体つきが、白熊の赤ちゃんのように可愛らしく、家族を笑顔にしてくれるでしょう。
狼爪が2本残っているため、忘れずに爪切りを行うようにしましょう。
家族が大好きな寂しがり屋
グレート・ピレニーズは、家族はもちろん人が大好きで、人混みも苦にならないほどです。たくさんの人に撫でられることも、嬉しく感じているようです。
そのため、人のそばにいたい気持ちが強く、寂しがり屋です。
室内飼育でこの犬種用の部屋を用意しても、無理やり抜け出して、家族と一緒に過ごそうとするほどです。
たくさん触れ合い、愛情を注ぎ、この犬種の心を満たしてあげましょう。

グレート・ピレニーズの毛色・目の色
グレート・ピレニーズの毛色は、ホワイトあるいはグレー(アナグマ色)薄いいイエロー、ウルフ・カラー、オレンジ色の斑が頭部、耳、尾の付け根にあるホワイトをしています。
ジャパンケネルクラブによると、アナグマ色のパッチ(不規則で大きな斑)はたいへん好ましいとされています。ボディにいくつかの斑が見られる場合もあります。
被毛は大変密生しており、長くしなやかなダブルコートです。抜け毛の量は、犬の中でも随一で、ブラッシングは欠かせません。
肩と背の毛はやや粗めで尾と首の周りでは、さらに長くなり、わずかにウェービーで、キュロット(大腿後ろ側の長く豊富な被毛)はよりきめ細かく、密で羊毛状になっています。
目の色はダーク・アンバー・ブラウンです。
グレート・ピレニーズの鳴き声
グレート・ピレニーズは、番犬の気質が残っており、家の中にいるときに吠えることがあります。
鳴き声は低く大きいことから、無駄吠えが多いと近隣トラブルになってしまいます。子犬の時からしっかりとしつけ、さまざまな刺激に慣れさせる必要があります。
1歳頃から、警戒心が芽生え吠え始める犬もいるため、子犬の時に吠えなくても、安心しないようにしましょう。
グレート・ピレニーズが吠える時は、縄張り意識がある時だけなので、家の外に出ると吠えることはなく、散歩中に、他の人や犬を見かけて吠えるようなことはありません。
グレート・ピレニーズの寿命・病気
グレート・ピレニーズの寿命は、10歳から12歳前後で他の大型犬の寿命と比較すると平均的です。
短命の理由は、この犬種が胃捻転を起こしやすく、この症状が死因となっていることが多いからといわれています。
胃捻転:胃が他の臓器や血管を巻き込んで捻転してしまう疾患。大型犬に多い疾患で、グレート・ピレニーズも注意しなければなりません。早食い、食べた後すぐに激しい運動をするなど、ふとしたことがきっかけで起ることもあります。
すぐに治療をしなければ、命を落とすこともある大変危険な症状です。予防法としては、食後にすぐに運動をさせない。
食事は可能であれば3回に分けて少量ずつゆっくり食べさせる。食器の高さを上げるなどがあります。早食い防止の食器があるため活用してみてもいいでしょう。
骨肉腫:骨の癌疾患。大型犬や、超大型犬に多く発生する疾患のひとつです。骨肉腫の約7割が四肢に発生し、とくに前足が多いといわれています。
症状としては、足が腫れる、歩くのを嫌がる、硬いしこりができる、などがあります。原因はわかっておらず、予防は難しいため、早期に発見し治療に結びつけることが大切です。
股関節形成不全:股関節が正常に形成されず、歩行に異常が現れる疾患。大型犬に多いこの疾患は、グレート・ピレニーズにも注意が必要です。グレート・ピレニーズは、成犬になると穏やかでのんびりした動きになりますが、子犬の頃はやんちゃで活発です。
この疾患は成長期に発症することが多いため、子犬のうちに、関節に負担をかけるような激しい動きはさせないようにします。もし歩き方に異常を感じたら、はやめに動物病院を受診しましょう。
たまに歩き方がおかしいという場合は、前、横、後ろの三方向から動画を撮り、病院に持って行くと、適切な診断がされやすいです。

グレート・ピレニーズのしつけ・飼い方
グレート・ピレニーズは、穏やかで賢い犬種ですが、山岳地方で番犬をしていた気質をよく理解してしつけを行うことが必要です。
子犬のうちにしっかりしつけることが大切
グレート・ピレニーズは人目の届かない広い山岳で羊と過ごし、番犬を行なっていました。
そのため、洞察力と状況判断能力に長けています。時には、飼い主よりも先に、判断して行動しようとしたり、納得がいかないときは、飼い主の指示に従わないなど頑固さを示すこともあります。
成犬になると、成人男性でもコントロールできないほど力が強くなる犬種ですので、子犬のうちに、しっかりと信頼関係の構築と服従訓練を行いましょう。
また、人好きというこの犬のよさを損なわないように、怒鳴って強引に行うしつけではなく、褒めて育てるようなしつけを行うといいでしょう。
子犬の時は大変可愛らしいですが、甘やかしすぎてはいけません。
胃捻転は命を落とす可能性のある症状
グレート・ピレニーズは、胃捻転を起こしやすい犬種です。
胃捻転は、命を落とす可能性のある症状のため、胃捻転を起こさない生活習慣を心がけましょう。食器は、早食いを防止する食べにくい形状のものを選び、屈まなくても食べられるように高さを上げてあげるといいでしょう。
食後は、すぐに運動などの激しい動きをさせない、食事の回数を3回に増やし1回量を減らすなどを習慣化し、胃捻転を予防しましょう。
散歩と被毛の日常ケア2時間をかけて
散歩は1日2回の1時間ずつの散歩を行います。
運動が好きな犬種ですが関節を痛めやすい犬種のため、走ったり飛んだりするハードな運動よりも、ゆったりと長い時間行う散歩をしてあげましょう。
また、リードトレーニングはしっかりと行い、リードを引っ張ることなく、飼い主のペースに合わせて歩けるようにしましょう。念のため、首輪とリードは頑丈なものにしておきましょう。
グレート・ピレニーズの抜け毛は随一といわれています。
換毛期には毎日時間をかけてブラッシングをしてあげましょう。密生した長毛のため、夏の暑さでは、熱がこもりやすく、熱中症になりやすいため、温度と湿度の管理は必須です。

グレート・ピレニーズの歴史
グレート・ピレニーズのルーツには多くの説があります。
その中には、数千年前にチベット高原に生息した大きな犬、チベタン・マスティフの子孫という説もあります。
何世紀もの長い間、フランスのピレネー産地に住み、羊や家畜の群れ、羊飼いの家族をオオカミやクマなどの大きな獣から守ってきました。
中世では城館の番犬として用いられていたと、14世紀の書籍に記録が残されています。17世紀にはすでにコンパニオンドッグとしてもてはやされ、ルイ14世にも飼育されました。
フランス王室で愛されていたことから、当時この犬種は流行し、マリー・アントワネットはグレート・ピレニーズを護衛犬として所有していたといわれています。
中世から19世紀中頃まで、この犬種はフランス王立法廷の公式犬としても用いられていました。1850年に英国のビクトリア女王が、グレート・ピレニーズを所有していた記録も残っています。
1930年にはアメリカに渡り、家庭犬としても人気を博します。
1933年2月にアメリカンケネルクラブはグレート・ピレニーズを純粋犬種として、公式に認知し、同年4月に公認のドッグショーで単独犬種として認められました。
現在のスタンダードは1923年のスタンダードにたいへん近いものといわれています。日本において、ジャパンケネルクラブに初めて登録されたのは1961年です。
グレート・ピレニーズの値段価格
グレート・ピレニーズは日本ではペットショップでは見かけることはない犬種ですが、愛好家は多く、ブリーダーもすぐに見つけられるはずです。
購入価格は、39万円以上で血統によっては77万円の場合もあります。
超大型犬のため、購入後も餌代や定期受診代、病気になった時の受診代など、小型犬に比べると、費用が大きくかかることを十分に理解してから迎え入れるようにしましょう。
グレート・ピレニーズは力の強い大型犬のため、しつけや訓練は必須ですが、人好きという魅力的な気質を伸ばしてあげるような育て方が望ましいでしょう。
家庭犬として大変魅力的ですので、グレート・ピレニーズに興味を持たれた方はぜひ本記事を参考にしていただければと思います。