グレート・スイス・マウンテン・ドッグの基礎情報
・日本語表記:グレート・スイス・マウンテン・ドッグ
・英語表記:Great Swiss Mountain Dog
・原産地:スイス
・発生:自然発生
・種類:使役犬
・サイズ:大型犬(60~72cm)
・体重:オス52kg~63.5kg、メス38.5kg~50kg
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの性格・特徴
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、ウォッチ・ドッグおよびドラフト・ドッグ(荷物運搬犬)を務めていた、力持ちの犬種です。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの性格
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、温厚で、家族以外でも面識のある人には愛情深い性格です。
温和で家族思いなところがあり、子供にも優しく接してくれます。
見知らぬ人に対しても物怖じせず、怖がったり警戒心をみせることはありません。用心深いところもありますが、あらゆる状況下で恐れを知らず、自信に満ちています。
賢く従順なため、しつけ自体は難しくはありませんが、とても力のある超大型犬に属する犬種なので、大型犬専門の訓練士のアドバイスをもらうといいでしょう。
大きくなる前に、しっかりコントロールできるようにしておかなければなりません。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの特徴
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの外見は、短毛のバーニーズ・マウンテン・ドッグのようです。
頑健で、骨量が重く筋肉質な体をしています。大きさを含め、オスとメスで見た目の違いが顕著です。
超大型犬といわれる大きさと体重であるにもかかわらず、機敏さと持久力を兼ね備えている、パワーのある犬種です。
圧倒的な威圧感と、堂々とした威厳があり、目を引く外見が魅力的です。
非常に力持ちなため大きくなる前にしっかりコントロール
グレート・スイス・マウンテンは重い荷物を運んでいたことから、大変力持ちです。
とくに散歩の時には、リードを引っ張ることなく、飼い主の横について歩くことができるようにトレーニングが必要です。
頑固な一面もあるので根気よくトレーニングを行い、うまくできたらたくさん褒めてあげましょう。リードや首輪は強く引っ張られても大丈夫なように、頑丈なものを選んでください。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの毛色・目の色
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは典型的なトライカラーです。
主にブラックで、左右対称のレディッシュ・ブラウン(タン)のマーキングとホワイトのマーキングがあります。
顔は、眉間から鼻先にかけてホワイトマーキングがあり、頬、目の上、耳の内側、前胸の両側に、レディッシュ・ブラウンがあります。
ジャパンケネルクラブによると、ホワイトマーキングは、足および尾の先にもあり、フレーズと目の上のタンマーキングの間にはブラックの被毛部分が残っていなければなりません。首のホワイトパッチまたは、首回りのホワイトカラーは許容されています。
目の色は、被毛の色に馴染むダークカラーです。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの鳴き声
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、個体差はありますが、大きく堂々とした吠え声です。
無駄吠えをすると、近隣トラブルになりますので、しっかりとしつけを行いましょう。
警戒心はそれほど高くはなく、神経質な面や攻撃性はないため、警戒吠えは牧畜犬と比べると多くはありません。
吠えることが多い時は、どのような場面で吠えるのか確認をしましょう。運動不足によるストレスの場合は、運動量を増やします。
インターホンなどの決まった音で、吠える場合は、危険な音ではないことを伝えて変わらない場合は、インターホンの音を変えたり小さくしてみましょう。
いずれにしても、吠えたときは、すぐに止めることができるように訓練をするといいでしょう。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの寿命・病気
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの寿命は、8歳から11歳前後で大型犬の平均寿命と比較すると少し短いです。
皮膚炎:皮膚に発疹や痒み、炎症を起こす疾患。被毛の影響で肌が蒸れやすく、皮膚炎を起こしやすいです。普段から、通気を良くしてあげるなど、ケアが大切です。
熱中症:暑さにより、正常な体温を保てなくなり、脱水や高熱といった症状が出る疾患。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグはスイスの涼しい地域が原産のため、日本で飼育する場合、気温が、22度〜23度、湿度が60%を超えてきたら熱中症に気をつけてあげましょう。
夏場の散歩は夜に行い、こまめな水分補給と、首に巻きつける犬用の保冷剤なども効果的です。症状が現れたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
股関節形成不全:股関節が正常に形成されず、歩行に異常が現れる疾患。大型犬に多いこの疾患は、グレート・スイス・マウンテン・ドッグにも注意が必要です。
多くは遺伝が原因の疾患ですが、成長期の関節への過度な負荷や、肥満も発症リスクを上げてしまいます。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは激しい運動を好むタイプではありませんが、子犬の時期はやんちゃなため、過度な運動をすることがないようによくみてあげましょう。
この犬種は、成長期が他の犬と比べても4年〜5年と大変長いです。成長期に発症することが多いため、歩き方に異常を感じたら、動物病院を受診しましょう。受診する前に、前、横、後ろの三方向から歩く様子の動画を撮り、病院に持って行くと、適切な診断がされやすいです。
脾臓捻転:脾臓がなんらかの理由で捻れてしまう疾患。飼い主が気が付きやすい症状は、抱き上げた時にキャンと鳴くようになった、急に元気がなくなる、ぐったりするなどです。
腹部エコーで診断できますが、開腹してみないとはっきりとわからないこともあります。治療は、外科的な手術になります。
胃捻転:胃が他の臓器や血管を巻き込んで捻転してしまう疾患。大型犬に多い疾患です。早食い、食べた後すぐに激しい運動をするなどふとした事がきっかけで起ることもあります。
すぐに治療をしなければ、命を落とすこともある大変危険な症状です。予防法としては、食後にすぐに運動をさせない。食事は可能であれば3回に分けて少量ずつゆっくり食べさせる。食器の高さを上げるなどがあります。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグのしつけ・飼い方
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、ウォッチドッグやドラフトドッグとして人のそばで仕事をしていましたが、素晴らしい家庭犬としての一面ももっています。
人のそばで過ごすことが好き
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは家族想いで甘えん坊なため、なるべく一緒に過してあげられるように、室内での飼育が推奨されています。
また、この犬種は涼しいスイスが原産のため、日本の高温多湿の夏は熱中症に注意しなければなりません。夏場は、家の中でも室温と湿度を管理してあげましょう。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、心身ともに成熟するのが他の犬と比較して遅く、4〜5年かかるといわれています。
それまでは、子犬のようなヤンチャさと活発さがあり落ち着きがありませんので、家の中でのトラブルには注意が必要です。
ハウスも、金属製の頑丈なものがいいでしょう。
胃捻転には十分注意して
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは、胃捻転を起こしやすい犬種です。
胃捻転は、命を落とす可能性のある症状のため、胃捻転を起こさない生活習慣を心がけましょう。食器は、早食いを防止する食べにくい形状のものを選び、屈まなくても食べられるように高さを上げてあげるといいでしょう。
食後は、すぐに運動などの激しい動きをさせない、食事の回数を3回に増やし1回量を減らすなどを習慣化し、胃捻転を予防しましょう。
ハイキングのような散歩
散歩は1日2回の1時間ずつ、涼しい時間帯に行いましょう。
関節を痛めやすい犬種のため、走ったり飛んだりするハードな運動よりも、ハイキングのようにゆったりと長い時間行う散歩をしてあげましょう。
また、グレート・スイス・マウンテンドッグは、重い荷物を運ぶことを仕事にしていたことから、大変力持ちです。
散歩の時にリードを引っ張るクセがついてしまうと、成犬になった時にコントロールできなくなるため、リードトレーニングはしっかり行っておきましょう。
さらに首輪とリードは、念のため頑丈なものにしておきます。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの歴史
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの起源は、スイス原産の山岳犬として知られていますが、その歴史は紀元前まで遡るほど、古い歴史をもっています。
スイス原産の山岳犬は4種類存在しており、その中でも最も古く歴史が長い犬種です。
もともとグレート・スイス・マウンテン・ドッグは、古代ローマ時代にマスティフ系の犬がアルプス地方に持ち込まれ、土着の犬と交配が続けられ誕生したといわれています。
その後、ヨーロッパ各地へ広まっていったと考えられています。
アルプスでは、牧畜のための番犬や運搬犬として活躍していました。しかし、19世紀後半、運搬などの仕事は車や鉄道にとってかわり、徐々に活躍の場が減っていくことになります。
20世紀に入るまで、グレート・スイス・マウンテン・ドッグという犬種の認識はされていませんでした。
1908年にスイス・ケネル・クラブの創立25周年を記念して開催されたドッグショーにおいて、2頭の短毛タイプのバーニーズ・マウンテン・ドッグが披露されました。
これがきっかけで、この犬種がかつて護衛犬、荷物運搬犬、またキャトルドッグとしてヨーロッパ山岳犬の典型的な犬種であるとして知られるようになりました。
そして1909年に初めて固有の犬種として、スイス・ケネル・クラブに公認されます。
1912年には、グレート・スイス・マウンテン・ドッグクラブが設立され、最初のスタンダードは国際畜犬連盟FCI ( Fédération Cynologique Internationale ) によって1939年以降に公表されます。
その後アメリカに渡り、1995年にアメリカにおいても公認を受けました。
現在では、この犬種は、ヨーロッパ諸外国でも繁殖されており、その穏やかで信頼できる気質から、とくに家庭犬として高く評価されています。
グレート・スイス・マウンテン・ドッグの値段価格
グレート・スイス・マウンテン・ドッグは日本ではペットショップでは見かけることはない珍しい犬種です。国内ブリーダーは大変限られており金額は不明です。
飼育を希望している場合は、早めに予約を入れるといいでしょう。
この犬種は遺伝性の疾患は知られていませんが、親犬の病歴や気質の確認をすることをおすすめします。
日本の気候の問題、室内飼いの場合はスペースの確保と、環境の整備など迎え入れる前に準備が必要です。
大変温厚で賢く、家庭犬として優秀な犬種ではありますが、力の強い大型犬であることは十分に理解した上で、迎え入れましょう。
素敵な家族の一員になってくれるグレート・スイス・マウンテン・ドッグに興味を持たれた方はぜひ、本記事を参考にしていただければと思います。