イタリアン・スピノーネの基礎情報
・日本語表記:イタリアン・スピノーネ
・英語表記:Italian Spinone
・原産地:イタリア
・発生:人為的発生
・種類:ポインター/セター
・サイズ:大型犬(58~70cm)
・体重:オス 32kg~37kg、メス 28kg~30kg
イタリアン・スピノーネの性格・特徴
イタリアン・スピノーネは、非常に古い歴史をもった、どのような地形でも仕事をこなす優秀な狩猟犬です。
イタリアン・スピノーネの性格
イタリアン・スピノーネは、生まれつき社交的で忍耐強い性格です。
飼い主や家族に対しては、従順で、愛情深く接しますが、一方で防衛本能と警戒心が強い一面もあり、見知らぬ人に対しては、なかなか心を開きません。
賢く従順なことから、訓練が入りやすく、警察犬や警備犬としても優れた能力を発揮しています。屋外では優秀な使役犬として、家庭では忍耐強い伴侶犬として人気があります。
イタリアン・スピノーネの特徴
イタリアン・スピノーネは、がっしりとした体格で、強い骨格とよく発達した筋肉をもっています。
見た目はふわふわしていますが、被毛は堅く丈夫で、口髭や眉毛が特徴的です。頭部は、大きめで、マズルと脚が長く、目は円形でやや小さめです。
耳は長めの垂れ耳で、尾はふさふさして垂れており、短く断尾されることもあります。近年では、動物愛護の観点から、断尾されないことが増えています。
イタリアの銃猟用犬のなかで最も高い評価を得た犬種
イタリアン・スピノーネは、獲物を探索しハンターに獲物の所在を知らせる作業と、射撃により落ちた獲物を回収する運搬作業の、両方を担うことができる万能犬として知られています。
獣猟犬の気質を色濃く残し、どのような地形でも仕事をこなす能力があります。とくに沼地や起伏の多い森林地帯でよく働きます。
ヨーロッパのポインター種やレトリバー種と比べても、イタリアン・スピノーネの能力は群を抜いており、イタリアの銃猟用犬の中で最も高い評価を受けています。
イタリアン・スピノーネの毛色・目の色
イタリアン・スピノーネは、全身をおおうラフコートが印象的な犬種です。
被毛はふわふわしているように見えますが、堅く丈夫な毛質になっており、雨風や雪、砂埃やドロ、いばらなどから体を守る役目をしています。
恐れ知らずな性格から、トゲの多い薮の中でも容易に入り、冷たい水の中にも自ら飛び込んで仕事をこなします。
毛色は、ホワイトかミルクの単色か、ホワイト地にオレンジのマーキング、ホワイト地にオレンジの斑点、ホワイト地にブラウン(栗色)のマーキング、ローンまたはブラウン(栗色)ローン、ブラウンの望ましいシェードは「修道服の色」(カプチーノ色)です。
他にも、トライカラー、タンマーキング、ブラックなどの、あらゆるコンビネーションがあります。被毛の手入れは、1日おきにブラッシングやコーミングをしてあげましょう。
イタリアン・スピノーネの目の色は、黄土色で、被毛が恋色の場合には、より濃い色の目をしています。
イタリアン・スピノーネの鳴き声
イタリアン・スピノーネは、狩猟犬としては珍しく、それほど吠えることがないため、飼いやすいといわれている犬種です。
見知らぬ人に対しては、心を開きませんが、攻撃的になることはないため、住宅地でも安心して飼育できます。
ただし、たまに吠えぐせのある個体もいるため、無駄吠えに関しては、個体差があるようです。
獲物の所在を知らせる役割を担っていたことから、鳴き声は大きく響くため、無駄吠えさせないようにしましょう。
賢い犬種ですので、子犬の頃から、しつけることで、無駄吠えをしないように育ちます。
運動量が多いため、運動不足になるとストレスが溜まり、無駄吠えなどの問題行動が増えることがあります。
吠える機会が増えたと感じた時は、毎日の運動量を見直してみてください。
イタリアン・スピノーネの寿命・病気
イタリアン・スピノーネの寿命は12〜14歳です。
犬種としてかかりやすい病気は少なく、丈夫な犬種です。しかし、忍耐強い性格から、痛みや不調を我慢する傾向にあるため、飼い主が毎日様子を観察し、異変に早く気がつくようにしてください。
股関節形成不全症:股関節の異常から歩き方に異変が現れる疾患。主に大型犬に多く発症する疾患で、イタリアン・スピノーネにも注意が必要です。
股関節形成不全は、股関節がうまく噛み合わなくなり、歩き方に影響を及ぼします。この疾患は治ることはありませんが、適切な栄養素の摂取と姿勢をとることで、病気の進行を大幅に遅らせることができます。
また、成長期に股関節に負担がかかる運動は、発症リスクをあげると考えられています。
「階段を駆け降りる」「硬い地面でのジャンプ」は、股関節を圧迫し、摩耗や損傷を大きくしますので控えるようにしてください。
運動をするときは、芝生の上などやわらかい地面がおすすめです。
外耳炎:鼓膜から耳の穴の間(外耳)に炎症が起こる疾患。イタリアン・スピノーネは、垂れ耳な上豊富な被毛が耳をおおっているため、蒸れやすく外耳炎を発症しやすい耳をしています。
とくに高温多湿の夏場は発症リスクが高くなるため、こまめに耳の様子を確認しましょう。
「しきりに頭を振る」「耳の後ろ側を掻く」「耳のニオイが強くなった」などの症状があれば、なるべく早く動物病院を受診してください。
外耳炎は、最初はかゆみや違和感がありますが、症状が進むと痛みが出てきますので、早期発見早期治療が大切です。
イタリアン・スピノーネのしつけ・飼い方
イタリアン・スピノーネは、大型の狩猟犬の中では穏やかで従順な性格から飼育しやすいといわれています。
しかし、体が大きく力が強いので、なるべく早くしつけや訓練を開始しなければ、コントロールが難しくなりますので注意してください。
繊細なため優しく訓練する
イタリアン・スピノーネは、やや頑固な性格であると同時に繊細なところがあります。
しつけや訓練には、毅然とした姿勢で行うことが大切ですが、厳しくしすぎないことも重要です。怒ったり、無理やりすることも控えましょう。
ネガティブな言葉を使うよりも、褒めて行う訓練が、この犬種の性格には適しています。
散歩に行けるようになったら、リードトレーニングを開始してください。体が大きくなる前に、リードを引っ張ることなく、飼い主のそばを歩くようにしましょう。
運動量が非常に豊富な犬種
イタリアン・スピノーネは、非常に運動量が豊富で、通常の散歩だけでは満足できないでしょう。
散歩は、ランニングや自転車で並走するなど、早足で行いましょう。股関節を痛めないように、階段を駆け上がることは控えましょう。
また、コンクリートを走るよりも、芝生や自然を感じられる場所を走ることを好みますので、ときには郊外など森林のなかを散歩してもいいでしょう。
狩猟本能を満たすゲームや、ボール投げなどもおすすめです。
日常ケアで健康管理を行う
イタリアン・スピノーネは、顎ひげや、眉毛が特徴的な犬種です。
被毛のケアは簡単ですが、日常ケアは欠かさず行うようにしてください。例えば、水を飲んだ後は、顎ひげが汚れやすいため、こまめに拭いて清潔に保ちましょう。
眉毛も整えなければ、目の中に入り、眼疾患を引き起こします。
垂れ耳は、外耳炎を発症しやすいため、かゆみを感じていないか日常的に観察しましょう。何か違和感や異常を感じた時には、早めに動物病院を受診してください。
イタリアン・スピノーネの歴史
イタリアン・スピノーネは、少なくとも13世紀には犬種として存在していた古い犬種で、バルビーやグージョ・イタリアーノ・ア・ペロ・フォルテ、グリフォン種の犬などを交配して作られました。
紀元前500年頃、この犬種に似た剛毛のポインター種が存在した記録が残されていたり、15〜16世紀のイタリアの美術品に、イタリアン・スピノーネによく似た犬種が描かれていたりと、正確な起源ははっきりとはわかっていません。
のちに暗い場所でも見つけやすいように、ホワイトの被毛を取り入れるために、ボルスレーヌの血も若干加えられて、現在の姿になりました。
1950年になると無計画な交雑の影響により、純血個体が減少し希少な犬種となりました。
現在イタリアン・スピノーネの大半は、イタリア国内で飼育されており、他の国で見かけることはほとんどありません。
イタリアでは、猟犬としてだけではなく、家庭犬やショードッグとしても飼育されており、この犬種の有能性と穏やかな気質から、今後さらに注目される可能性があります。
イタリアン・スピノーネの値段価格
イタリアン・スピノーネは、ヨーロッパ以外では非常に希少な犬種で、日本国内ではブリーディングが行われていません。
2013年にジャパンケネルクラブで1頭登録されたのみで、以降は登録が行われていません。
穏やかな気質で丈夫なイタリアン・スピノーネは飼いやすい犬種ではありますが、ヨーロッパ以外の国では知名度があまり高くありません。
この犬種を迎え入れたい場合には、海外からの輸入が必要になります。
ペット輸入代行業者を介して輸入する場合、諸経費を含め50万円程度かかりますが、希少な犬種の場合、さらに高額になる可能性があります。
今後は、世界的にさらに知名度が上がることで人気が出るといわれていますので、イタリアン・スピノーネに興味をもたれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。