キースホンドの基礎情報
・日本語表記:キースホンド
・英語表記:Keeshond
・原産地:ドイツ
・発生:自然発生
・種類:原始的な犬/スピッツ
・サイズ:中型犬(43〜55cm)
・体重:オス14kg~18kg、メス14kg~18kg
キースホンドの性格・特徴
キースホンドは、ドイツのウルフ・スピッツを改良した犬種です。「宝石の犬」と評されるほど非常に可愛らしい外見が魅力的です。
キースホンドの性格
キースホンドは、飼い主への忠誠心が非常に強く、学習能力が極めて高いため、訓練しやすい犬種です。
常に注意深く、生まれつき他人に対して不信感が強いため、番犬には向いています。臆病でも攻撃性もないため、家庭犬としての適性もあります。
飼い主や家族の前では、甘えん坊で遊び好きな性格をしており、優しく子供の遊び相手にもぴったりです。
キースホンドの特徴
キースホンドは、「用心深い目をもつキツネのような頭部」「小さく尖った耳」というスピッツ独特の特徴をもっています。
「たてがみのような被毛」「愛らしい瞳」「口角の上がった笑っているような口」が人々を魅了する可愛らしさを作り出しています。
背は短く真っすぐで力強く、胸は十分に深く十分に張っており、よく発達しています。正方形に近い頑丈な胴を持っています。
ドイツで生まれオランダで改良されたオランダの国犬
オランダでは理想的な家庭犬として知られ、一度飼育した人はその魅力のとりこになってしまうといわれている魅力的な犬種です。
名前の由来は2通りあります。ひとつめは噛むという意味のオランダ語の「ケーゼン」からきたという説。
ふたつめは18世紀のオランダ愛国党・党首キース・デ・ギーセラエルの愛犬だったことから「キースの犬(キースホンド)」と名付けられたというものです。
キースホンドは、オランダでは18世紀の紛争の際に愛国者のシンボルとなり、その後オランダの国犬となりました。
キースホンドの毛色・目の色
キースホンドの被毛は、長く真っすぐな開立した(立って開いた)上毛と、短く厚く綿毛のような下毛をもつ、ダブルコートです。
頭部、耳、前後の脚の前面、足は短く厚いベルベットのような毛でおおわれています。ボディの他の部分は、長く豊かな被毛に、首と肩は厚いたてがみ(メーン)におおわれています。
前脚の後ろ側、後脚の臀部からホック(くるぶし)まで豊かな飾り毛があります。
毛色は、先端が黒いシルバー・グレーでマズルと耳はダークになっています。目ははっきりとした「スペクタクルズ(メガネをかけているような模様)」になっています。
長毛なうえ毛量が多いので、シャンプーとドライは非常に大変ですが定期的に行ってあげてください。
抜け毛も多く、毛玉になりやすい毛質ですので、ブラッシングは週に3〜4回以上行う必要があります。被毛が厚いため、暑さには弱い犬種です。温度管理のできる、室内で飼育してください。
可愛らしい目は、中くらいの大きさで、わずかに傾斜しており、色は暗褐色です。まぶたはブラックになっています。
キースホンドの鳴き声
キースホンドは、警戒心が強いため、比較的よく吠える犬種です。
船を守る番犬として用いられていたことから、聞きなれない音や見知らぬ人に対して警戒する習性があります。
他人に対しての不信感は、生まれつきあるといわれており、子犬の頃から吠えやすい可能性があります。
子犬のうちに多くの人と触れ合ったり、さまざまな音などの刺激に慣れさせ社会性を身につけてあげましょう。
日常的に、家族としか触れ合う機会がない場合には、しつけ教室に通うと、他の犬たちと触れ合うことで、訓練ができます。
キースホンドの寿命・病気
キースホンドの寿命は、12歳〜15歳で、中型犬としては平均的で、基本的には、丈夫で病気に強く長生きしやすい犬種といわれています。
てんかん:脳内の神経回路に異常が起こり、痙攣発作が起きる疾患。キースホンドは先天的な要因でてんかんを発症しやすく、注意が必要です。
親犬や兄弟犬にてんかんの病歴がないか、確認するといいでしょう。てんかん発作が起きた時には、飼い主は慌てて揺すったり、大きな声を出さないようにしましょう。
犬の周りをクッションや毛布などで囲み、発作が起きている時に怪我をしないようにしてあげます。
可能であれば、発作の様子を動画で撮ったり、発作が起きている時間を記録すると、診察の時に大変役に立ちます。
ファロー四徴症:心臓の形状に異常があるために、低酸素血症を引き起こしてしまう疾患。キースホンドは、まれにファロー四徴症を発症することがあります。
先天性の疾患ですので、親犬の病歴や、遺伝子検査を確認するといいでしょう。
放置すると、命にかかわる疾患ですので、早期発見することが大切です。貧血、呼吸困難などの症状がみられた時は、早めに動物病院を受診してください。
キースホンドのしつけ・飼い方
キースホンドは優秀な番犬として活躍してきた犬種です。友好的な部分を引き出してあげるように育てていきましょう。
学習能力が高くトレーニングが得意
キースホンドは、飼い主に忠実で、指示にはよく従う犬種です。
学習能力が極めて高いため、しつけや訓練は行いやすいでしょう。
番犬としての適性は高いですが、日本の住環境で家庭犬として飼育するためには、無駄吠えや警戒吠えに対するしつけが必要です。
子犬の頃は、静かな環境で育てるよりもさまざまな音を聞かせ、刺激に慣れさせることも大切です。
たくさんの人や犬と触れ合い、一緒に遊ぶことで、友好的な性格を引き出してあげましょう。
遊ぶことが大好きなアクティブな犬種
キースホンドは家族が大好きな甘えん坊で、遊び好きな犬種です。
運動量も一般的な中型犬よりも多く、1日1時間程度の散歩が必要です。散歩以外に、ボール遊びなど一緒に体を動かして遊んであげるといいでしょう。
ドッグランなどの広い場所で、思いっきり走らせてあげることも大切です。
運動不足になると、ストレスが溜まり、さらに吠えやすくなってしまいます。吠えることが増えたと感じた時には、普段の運動量を増やしてみてください。
暑さに弱いため室内飼育
キースホンドは、牧場のような広い敷地で飼育されていたことも、荷船のような歩き回れない狭い場所で飼育されていたこともある歴史から、どのような環境でも適応できる犬種です。
体も丈夫で、環境への適応能力が強いことから、オランダでは理想的な家庭犬として愛されています。
日本の夏は高温多湿で、熱中症リスクが高いため、室内飼育で飼育してあげましょう。夏場は、常にエアコンで温度や湿度を管理し、いつでも水が飲める環境を整えてあげてください。
キースホンドの歴史
キースホンドは、数百年に渡ってオランダ人に愛されてきた犬種ですが、ドイツでは「ジャーマン・スピッツ」と呼ばれ、石器時代の「Peat Dog」「Canis familiaris palustris」の子孫です。
中欧における最も古い犬種で、多くの他の犬種がこの犬種から発展していったといわれています。この犬種は、オランダで改良され、運河の船泊まりの番犬として使用されていました。
フランス革命期(18世紀後半)にはオランダ国内における愛国派と国王派の争いに巻き込まれ、一時は絶滅の危機に瀕しますが、バン・ハルデンブルック夫人などの尽力によりその血統が現代まで受け継がれました。
1920年、ハルデンブルック夫人は国内に残るキースホンドについて調査を開始し、正しい系統のキースホンドを多数発見しました。
その後10年以上かけてキースホンドの再生に尽力し、個体数の回復に努めました。
その結果、1926年にはイギリスケネルクラブに公認され、犬名が現在の「キースホンド」に定められました。
イギリスでは、キースホンドの毛色がオオカミに似ていることから、「ウルフ・スピッツ」と呼ばれていたこともあります。
キースホンドの値段価格
キースホンドは、日本では大変珍しい犬種でペットショップや街中でも見かけることは、ほとんどありません。
見た目は大きなポメラニアンのようで親しみやすいですが、国内のブリーダーを探すのは大変難しい状況です。
2016年頃までは、ブリーディングが行われていた記録がありますが、現在ブリーダーは存在していません。当時は30万〜40万円で取引されていました。
現在、キースホンドを迎え入れたい場合には、海外からの輸入になります。
現地のブリーダーとのやりとりをしてくれるペット輸入代行会社を利用した場合、諸経費や送料を含め50万円程度かかります。
キースホンドは、オランダでは理想的な家庭犬と称されるほど、可愛らしく魅力的な犬種です。キースホンドの飼育について検討されている方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。