キング・チャールズ・スパニエルの基礎情報
・日本語表記:キング・チャールズ・スパニエル
・英語表記:King Charles Spaniel
・原産地:イギリス
・発生:人為的発生
・種類:愛玩犬
・サイズ:小型犬(26cm~31cm)
・体重:オス 3.6kg~6.4kg、メス 3.6kg〜6.4kg
キング・チャールズ・スパニエルの性格・特徴
キング・チャールズ・スパニエルは、ビクトリア王朝時代に誕生し、チャールズ1世から寵愛を受けた犬で、その名の通り「国王チャールズのスパニエル犬」という意味の犬種名です。
キング・チャールズ・スパニエルの性格
キング・チャールズ・スパニエルは、愛情深く穏やかで、飼い主の足元で落ち着いて過ごすことを好む性格です。
やや内気ですが、幼犬期から散歩中などに他の犬や動物と触れ合い社会性を身につけることで、仲良く遊べるようになります。
子供にも寛容で、安心して一緒に遊べますが、騒々しい環境は苦手で、ストレスが溜まってしまいます。静かにゆっくりと愛犬と過ごしたい人に向いている犬種です。
キング・チャールズ・スパニエルの特徴
キング・チャールズ・スパニエルは、洗練されたコンパクトな体型をしており、「つぶれたマズル」「飾り毛」「ずんぐりした体」「少し大きめの頭部」が特徴的です。
体のサイズの割に大きめな頭部と、スカルは目の上から張り出した立派なドーム形をしています。
スカルと鼻の間のストップ(両目の間にあるスカルとマズルの間にあるくぼみ)は非常にはっきりしています。
鼻はブラックで、たいへん短く、スカルの方向に上向きになっています。大きく開いた鼻腔をもち、マズルはスクエアで幅広く厚く、十分にターン・アップしています。
いびきが大きく熱中症にも注意
キング・チャールズ・スパニエルは、特徴的なつぶれたマズルのため、いびきが大きい犬種です。
小さな体ですが、迎え入れる前に家族の了承をとっておいた方がいいといわれるほどのいびきです。
また、本犬種のように鼻がつぶれている犬種は、いびきをしやすい以外にも、体内の熱を逃すことが苦手で、熱中症になりやすい犬種です。
運動量はそこまで必要ない犬種ですので、夏場は涼しい時間に短めに散歩するようにしてください。
キング・チャールズ・スパニエルの毛色・目の色
キング・チャールズ・スパニエルは、長くシルキー(絹糸状)で、まっすぐもしくはわずかなウェーブがかった被毛です。
脚、耳、尾は豊かな飾り毛でおおわれています。下毛のあるダブルコートで、抜け毛が多く、ブラッシングは欠かせません。
毛色は4種類あり、ブラック&タン、トライカラー、ブレンハイム、ルビーです。
ブラック&タンは、鮮やかな光沢のあるブラックの地色に、明るいマホガニーのタン・マーキングが、マズル、脚、胸、耳の裏側、尾の裏側にあり、目の上にはスポット(斑)があります。
「チャールズ王」と呼ばれることもある毛色です。
トライカラーは、地色が、パーリー・ホワイトで、ブラックの斑がよく分布しており、頬、耳の裏側、尾の裏側には光沢のあるタン・マーキングがあり、目の上にはタン・スポットがあります。
目の間から前頭部にかけて幅広いホワイトのブレーズ(鼻筋の白斑)があります。この毛色は、「チャールズ王子」とも呼ばれています。
ブレンハイムは、地色がパーリー・ホワイトで、チェスナット・レッドの斑がよく分布しています。
幅広く、明確なブレーズがあり、スカルの中心にスポットをもっています。スポットはおよそ1ペニー硬貨の大きさで、鮮明なチェスナット・レッドの斑です。
ルビーは、鮮やかなチェスナット・レッドの単色で、ホワイトの斑などはまったくありません。
キング・チャールズ・スパニエルの鳴き声
キング・チャールズ・スパニエルの鳴き声は、穏やかで、争うことを避けようとする性格のため、吠えたてることが少ない犬種です。
無駄吠えもしにくく、滅多に吠えないため、都市部の集合住宅地でも飼いやすいでしょう。
やや内気で、初対面の人や犬が苦手な個体もおり、子犬の時から、家族以外に人に可愛がってもらったり、他の犬と遊ぶようにして、社交的な性格を引き出してあげましょう。
運動量がそこまで多くないため、散歩は短くても大丈夫ですが、家の中で走り回れるからといって、散歩に行かず自宅にいると怖がりで神経質な性格になってしまうため注意してください。
キング・チャールズ・スパニエルの寿命・病気
キング・チャールズ・スパニエルの寿命は10歳〜12歳です。
軟口蓋過長症:軟口蓋が通常よりも長いことで呼吸が妨げられて起こる呼吸器系疾患。軟口蓋とは、口腔内の天井部から後方に伸びたやわらかい部分のことです。
キング・チャールズ・スパニエルは頭蓋骨幅に対して、マズルが短いため、発症リスクが高く、他の短頭種でも多く見られる疾患で、「短頭種症候群」とも呼ばれています。
呼吸時の雑音や大きないびき、嚥下時の努力性呼吸、開口呼吸などの症状があります。
さらに気管に慢性的に負担がかかることから、気管虚脱を発症することもあります。肥満の改善や、外科手術などによって治療を行います。
気管虚脱:気管の軟骨がやわらかくなり、呼吸するたびに変形してしまう疾患。
キング・チャールズ・スパニエルは、軟口蓋過長症を発症し、慢性的に気管支に負荷がかかることで、気管虚脱を発症しやすい犬種です。
よく気がつく症状としては、ガーガーという乾いた咳をすることです。気道が過敏になり、少しの刺激で咳が出たり、体温が高くなったり、酸素が不足がちになります。
首を刺激しないハーネスを使用したり、咳を鎮める薬を内服するなどの治療が行われます。重症になると、外科的手術が必要になるため、初期のうちに動物病院を受診することが大切です。
膝蓋骨脱臼:膝の関節が正常な位置からずれてしまう疾患。
キング・チャールズ・スパニエルは関節が弱く、膝蓋骨を脱臼しやすい犬種です。激しい運動は必要ない犬種のため、膝関節に負担をかけるような動きは控えるようにしてください。
フローリングで滑って転んだり、段差から落ちるなどが原因で膝蓋骨脱臼や骨折をしやすいといわれています。
膝蓋骨脱臼は、膝蓋骨が正常な位置から外れてしまう疾患で、外れたり戻ったりを繰り返しながら、徐々に悪化していきます。適切な処置を行わないと、脱臼しても元に戻らなくなり、最終的に歩けなくなってしまうケースもあります。
歩き方に異常があった場合には、できるだけ安静にして早めに動物病院を受診してください。歩き方の動画を撮影しておくと、診察の際に役に立ちますので、動物病院を受診し相談してみましょう。
キング・チャールズ・スパニエルのしつけ・飼い方
キング・チャールズ・スパニエルは、穏やかに室内で過ごし、そっと飼い主に寄り添ってくれるような、魅力的な家庭犬です。
一緒に健康的に過ごす、飼育方法をご紹介します。
散歩は社会性を身につけるためにも欠かさず行う
キング・チャールズ・スパニエルは、おっとりした気質で、激しい運動や豊富な運動は必要ない犬種です。
散歩は1日15分から30分程度で満足してくれますので、毎日連れて行ってあげましょう。
キング・チャールズ・スパニエルは、やや内気なところがあり、初対面の人には緊張してしまう性格です。
散歩によって、家族以外の人にも可愛がってもらったり、他の犬とコミュニケーションを取ることで、社会性を身につけますので、積極的に外に連れ出してあげましょう。
関節に負担のかけない飼育環境を整える
キング・チャールズ・スパニエルは、関節が弱い犬種のため、関節に負担をかけない飼育環境を整えてあげましょう。
フローリングなどの滑りやすい床材は、膝蓋骨脱臼をはじめとする関節炎を発症する心配があります。滑り止めのマットを敷き、歩きやすい環境を作ってあげてください。
他にも挟まりやすいドアや、高さのある段差など、安全面にも気をつけてあげましょう。
こまめなブラッシングで美しい被毛を維持する
キング・チャールズ・スパニエルは、ツヤのあるやわらかな被毛をもっています。
ダブルコートで抜け毛が多いことに加え、やわらかく細い被毛は、絡まりやすく毛玉ができるため、ブラッシングが欠かせません。
スリッカーブラシや、ピンブラシで抜け毛を取り除いた後、コームで整えてあげてください。
ブラッシングは、コミュニケーションを兼ねて毎日行っても良いですが、週に3.4回を目安にブラッシングしましょう。
キング・チャールズ・スパニエルの歴史
キング・チャールズ・スパニエルは、ビクトリア王朝時代に誕生しました。
ピーラム・スパニエルというスパニエル犬種を、狆などとの交配によって、マズルをつぶし、さらに小型化させたものが本犬種です。
狆の血が入っているため、この犬種の顔つきが「東洋人の顔つき」と表現されることもあります。
古くからイギリス王室で飼育されている由緒ある犬種です。17世紀にイギリスのチャールズ1世や2世に愛されたことは有名な話です。
1920年になると、改造が進みすぎて、健康を害する個体が増え、いびきがうるさいなどの呼吸医系疾患などの理由により、マズルが長く大きめのサイズの犬種が求められるようになります。
そうして生まれたのが、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルです。
健康面や性格面でも、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルが大きく上回ってしまい、人気が奪い去られてしまいました。
さらにドッグショーなどでは、次第にキング・チャールズ・スパニエルが排除されるようになります。
一定の移行期間の間はマズルが最も長く、サイズが最も大きいものが好ましいものとしてチャンピオン犬として選出された時期もありました。
その後も、キング・チャールズ・スパニエルの人気は低いままで、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの方が圧倒的に多く飼育されています。
キング・チャールズ・スパニエルの値段価格
キング・チャールズ・スパニエルは、呼吸器系の疾患には注意が必要ですが、気質や性格は家庭犬として適性があり、穏やかに愛犬と暮らしたいと考えている人や、高齢者にとってはぴったりの犬種です。
しかしながら、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの方が圧倒的な人気を誇っており、ブリーダーや販売ルートを探すことが難しく、価格も不明です。
ジャパンケネルクラブによると、以前は毎年数頭の犬籍登録が行われていましたが、徐々に数を減らし2012年に1頭登録されて以降、登録が行われていません。
海外から輸入することについては、短頭種の場合、飛行機に搭乗する上で制限がかかる可能性があり、航空会社に確認が必要です。
キング・チャールズ・スパニエルに興味を持たれた方は、本犬種となかなか出会うことが難しいため、本記事を参考にこの犬種について知っていただければと思います。