コーイケルホンディエの基礎情報
・日本語表記:コーイケルホンディエ
・英語表記:Kooikerhondje
・原産地:オランダ
・発生:自然発生(不明)
・種類:ポインター/セター以外の鳥猟犬
・サイズ:中型犬(35cm~40cm)
・体重:オス 9kg~11kg、メス 9kg~11kg
コーイケルホンディエの性格・特徴
コーイケルホンディエは、鴨の好奇心を煽るといった方法で誘い寄せる一風変わった猟を行う猟犬です。現在も、原産国のオランダで大切に育種されています。
コーイケルホンディエの性格
コーイケルホンディエは、陽気で明るく活発な犬種です。
飼い主には愛情深く接し、服従心が強い特徴があります。子供や他の犬とも仲良くできるため、安心して一緒に遊ばせることができます。
普段は、穏やかな気質でおおらかなところがあり、猟犬らしくありません。しかし、ひとたび猟に出ると、注意深く鋭敏で、熱心に作業を行う優秀な狩猟犬でもあります。
コーイケルホンディエの特徴
コーイケルホンディエは、すっきりと細い手足に、頭部を高く掲げる気品のある歩き方が特徴的な犬種です。
厚すぎず長すぎないマズルと、垂れ耳、調和の取れたスクエア型の体をもった、小さめの中型スポーティング・ドッグです。
適度な長さの頭部で、輪郭がはっきりしています。ストップ(両目の間にあるスカルとマズルの接続部の窪み)は、はっきりしていますが深すぎていません。
耳は、適度に大きく、頬に沿って垂れ、飾り毛も豊富です。
美しい容姿と家庭犬としての高い適性のある犬種
コーイケルホンディエの、美しい飾り毛のある容姿と、コンパクトな体、フレンドリーで穏やかな気質は家庭犬として非常に高い適性があります。
現在、オランダ以外では飼育犬数がまだまだ少ないですが、ほとんどは家庭犬として飼育されています。
オランダでは、犬籍簿によってしっかりと繁殖管理がおこなわれ、近親交配を避け遺伝性疾患を発症しないように大切に育種されています。
コーイケルホンディエの毛色・目の色
コーイケルホンディエの被毛は、やわらかく、ややウェーブ状か真っすぐな毛質です。
中くらいの長さで、ボディにぴったりと生えています。前脚、後脚、耳や腹に飾り毛があり、とくに尾には豊富な飾り毛をもっています。耳のイヤリング(先がブラックの長い飾り毛)があることが望ましいとされています。
毛色は、ホワイトの下地に鮮明なオレンジレッドの明瞭な斑があります。
オレンジレッドにブラックの毛がいくらか混じっているもの、およびティッキング(白地にブラックなどの小斑が拡散しているもの)がわずかにみられる個体もいます。
被毛は、ダブルコートで毛量が多いため、美しい被毛を維持するためには、手入れに時間をかける必要があります。
飼い主によっては、美しい被毛を維持するためにフードやサプリメントを活用していることがあります。
コーイケルホンディエの目は、アーモンド形で、色はダーク・ブラウンです。友好的で注意深い表情をしています。
コーイケルホンディエの鳴き声
コーイケルホンディエは、やや神経質なため、飼い方次第で、吠えやすくも無駄吠えをしないようにもなります。
子犬の頃に、さまざまな経験を丁寧に積ませて、恐怖心を取り除くことが大切といわれています。
子犬の頃に恐怖心を抱いてしまうと、乗り越えることが難しくなるため、飼い主が優しく手本を見せながら体験をさせることが必要です。
非常に賢く、物覚えも良いため、飼い主が犬の行動について学び、実践することで、多くのことを学ぶ犬種です。
コーイケルホンディエの寿命・病気
コーイケルホンディエの寿命は12〜14歳です。
オランダでは、遺伝疾患を予防するために、繁殖管理が厳しくおこなわれていますが、日本では、希少な犬種で、ブリーダーも限られているため、注意して迎え入れる必要があります。
セロイド・リポフスチン脳症:運動障害、知的障害、視力障害などの症状を発言し症状が進行すると死にいたる疾患。
セロイド・リポフスチン脳症は遺伝性疾患で、脳内の老廃物を除去する酸素が欠損していることが原因と考えられています。
老廃物が蓄積されることにより、中枢神経障害を引き起こします。1歳以上になってからの発症が多く、発症後は徐々に脳内に老廃物が蓄積し症状が悪化していきます。
症状には「極度の不安や恐怖」「視力の異常」「足元のふらつき」「異常な興奮」「激怒や錯乱」「方向感覚を失う」「トイレのしつけを忘れる」などがあります。
治療法や予防法はないため、遺伝子検査を行っているブリーダーから迎え入れることが大切です。
フォンビレブランド病:血が止まりにくくなる遺伝性血液疾患。止血の最初の過程で、血小板が集まってくる際にフォンビレブランド因子が止血因子として重要な役割をしています。
このフォンビレブランド因子が血中に先天的に少ない、もしくはない、十分に機能しない状態をフォンビレブランド病といいます。
血液検査や、診察でも診断ができるため、去勢避妊手術など受ける前に必ず検査してもらいましょう
股関節形成不全症:股関節の異常から歩き方に異変が現れる疾患。股関節形成不全は、大型犬に多く発症する関節疾患ですが、コーイケルホンディエは関節が弱いため、注意が必要です。
発育の段階で、股関節が形態的な異常を起こしてしまう疾患で、生後4〜18ヶ月頃の成長期といわれる時期に症状が出始めることが多いといわれています。
原因のほとんどは遺伝的要因と考えられていますが、成長期の過度な運動や、肥満が股関節に負担をかけ発症リスクをあげています。
コーイケルホンディエは、太りやすい体質のため肥満に注意が必要です。
「横座りをする」「腰を振るようにして歩く」「段差の昇り降りを嫌がる」「立ち上がるのに時間がかかる」などの症状があれば、この疾患の可能性があるため動物病院を受診しましょう。
コーイケルホンディエのしつけ・飼い方
コーイケルホンディエは、やや神経質なところがありますが、賢くフレンドリーな性格が家庭犬として非常に魅力的な犬種です。
活発で運動量が豊富
コーイケルホンディエは、非常に活発で、とくに幼い頃は走り回ることが大好きです。
他の犬と比較しても運動には時間と体力を費やす必要がある犬種です。1日2回の駆け足での散歩を1時間ずつ行う必要があります。
山や海などさまざまな環境にも対応できるたくましい犬種のため、アウトドア好きな人にはぴったりです。
関節が弱いため、成長期の間は堅い地面で飛んだり跳ねたり、階段を駆け上がるなどの運動は避けましょう。
子犬の頃にさまざまな経験をさせて
コーイケルホンディエは、やや神経質なことでも知られる犬種です。
非常に賢く、記憶力も良いため、一度恐怖心や怖い思いをすると、忘れられないことがあります。そのため、子犬の頃に、さまざまな経験をさせる必要がありますが、飼い主がそばで付き添い丁寧に新しい体験の手伝いをしてあげましょう。
時には、見本を見せたり、ゆっくりと楽しめるように配慮してあげましょう。
この時期をたくさんの経験を通して過ごすことで、成犬になったとき、小さなことで物怖じしたり、無駄吠えをしなくなります。
ドッグスポーツを楽しんで
コーイケルホンディエは頭がよく、飼い主にも忠実なため、アジリティなどのドッグスポーツに挑戦することをおすすめします。
泳ぎも得意なため、夏は川や池など安全な環境で水泳を楽しんでください。
成長期は関節を痛めやすいことから、運動はやわらかい芝生の上で行い、無理せずに様子を見ることが大切です。
コーイケルホンディエの歴史
コーイケルホンディエの歴史は古く、16世紀のオランダではすでに鴨猟に使われていたことがわかっています。
鴨猟において、この犬種が担っている仕事は、大変ユニークで、ふさふさした尻尾を揺さぶって囮にし、鳥を誘き寄せるという内容でした。
コーイケルホンディエという名前は、「カモ猟の犬」という意味のオランダ語からつけられたものです。また、この犬種はオランダを代表する画家であるレンブラントの絵画にも何度も描かれています。
第二次世界大戦中に数が激減し、絶滅の危機に瀕しますが、その後再興されました。
オランダで犬種登録が行われたのは、1971年と最近のことで、そこからようやく海外に輸入されるようになりました。
イギリスでは1996年に犬種として登録され、日本やアメリカに初めて輸入されたのは1991年のことでした。
コーイケルホンディエは、世界的に数がまだ少ない、珍しい犬種です。
コーイケルホンディエの値段価格
コーイケルホンディエは、その可愛らしい容姿と賢さから、一部の愛犬家には人気のある犬種ですが、一般的には知名度が低く珍しい犬種です。
徐々に犬籍登録数が増えており、2021年には161頭の登録がなされました。
ブリーダーも徐々に増えてきていますが、この犬種は、遺伝性疾患が多いため、遺伝子検査の実施や、遺伝性疾患を発症させない繁殖が行われている優良なブリーダーなのか、見極めることが大切です。
また、徐々に人気が出ている犬種のため、出産後すぐに買い手が決まってしまうことが多いため、予約は早めにしたほうがいいでしょう。
子犬の価格は安くても30万円、チャンピオンの血統をもつ場合には50万円を超えることもあります。
容姿が可愛らしくコンパクトな体で、高い運動能力と知性が魅力的な犬種ですが、運動やグルーミングには、十分な時間と労力が必要です。
十分に理解した上で、この犬種を迎え入れるようにしてください。コーイケルホンディエに興味をもたれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。