ラポニアン・ハーダーの基礎情報
・日本語表記:ラポニアン・ハーダー
・英語表記:Lapponian Herder
・原産地:フィンランド
・発生:自然発生
・種類:原始的な犬/スピッツ
・サイズ:中型犬(43~54cm)
・体重:オス 15kg~31kg、メス 15kg~31kg
ラポニアン・ハーダーの性格・特徴
数百年もの間、トナカイの牧畜犬として活躍し、運動神経に優れエネルギッシュな犬種です。
ラポニアン・ハーダーの性格
ラポニアン・ハーダーは、飼い主に従順で穏やかな性格をしています。
番犬としても使われていたことから、やや神経質なところがあり、見知らぬ人や犬に対して警戒します。
牧畜犬として働いていた時は、吠えながら作業をしていたため、やや吠えやすい傾向にあります。子犬の頃から、無駄吠え対策のしつけや訓練が欠かせません。
運動が大好きで、飼い主の指示で作業や動くことを得意とするため、アジリティなどのドッグスポーツもおすすめです。
ラポニアン・ハーダーの特徴
ラポニアン・ハーダーは、ピンと立った立ち耳をもち、スピッツ犬種ながら、尾は巻かないことが特徴的です。
体は丈夫で、やや胴が長いです。
運動神経に優れ、訓練を得意とするため、仕事を与えると熱心にこなしてくれます。活発で運動欲求が強いことから、集合住宅などの飼育には向いていません。
三つに分かれたラップフンド
ラポニアン・ハーダーは、もともとはトナカイの牧畜犬として働き、ラップフンドと呼ばれていました。
ラップフンドには、スウェディッシュ・ラップフンド、フィニッシュ・ラップフンド、ラポニアンハーダーがいました。
同一犬種として見なされているフィニッシュ・ラップフンドとは見た目がよく似ていますが、ラポニアン・ハーダーの方が被毛が短く、尾が巻いていないといった違いがあります。
ラポニアン・ハーダーの毛色・目の色
北極圏原産のラポニアン・ハーダーは、厳しい寒さに耐えることができる、厚いダブルコートです。
日本の高温多湿な気候では、皮膚が蒸れやすく、また抜け毛が溜まると通気性が悪くなるため、ブラッシングが必要です。
普段は抜け毛が多くないため、週に1回程度、換毛期は週に2〜3回程度を目安にブラッシングしてください。
ラポニアン・ハーダーの毛色は、頭部や身体の下部、脚には基調になるカラーよりも明るめのグレーやブラウンの斑があり、脛や胸、脚にある白い斑は許容されています。下毛の色はグレーがかったブラックや、ブラウンがかったブラックです。
ラポニアン・ハーダーの目の色は、被毛に馴染んだダークカラーです。
ラポニアン・ハーダーの鳴き声
ラポニアン・ハーダーは、やや神経質で吠えやすい犬種です。
トナカイの牧畜犬として働いていた頃は、作業中吠えながら行っていたため、大きく甲高い声で鳴きます。
集合住宅地では近隣トラブルになる可能性があるため、吠えても迷惑にならない環境で飼育をするか、子犬の頃からしつけや訓練をする必要があります。
見知らぬ人や犬に対して警戒心を抱くこともあるため、子犬の頃から、家族以外の人にもたくさん可愛がってもらう経験をさせるといいでしょう。
普段の生活で、他の犬と触れ合う機会がない場合には、しつけ教室に通うことで、社会性を身につけることができます。
飼い主には従順で、訓練も得意なので、必要以上に吠えることがないようにトレーニングを行ってください。
ラポニアン・ハーダーの寿命・病気
ラポニアン・ハーダーの寿命は10〜14歳といわれており、やや短命の傾向にあります。
発症しやすい疾患には命に関わるものはなく、犬種特有の遺伝性疾患も少ないため、飼育環境や健康管理によって平均よりも長生きが望める犬種です。
股関節形成不全:股関節の異常により、歩行困難を生じる疾患。一般的に大型犬に多い疾患で、ラポニアン・ハーダーにも注意が必要です。
遺伝的に発症することが多く予防が難しいとされていますが、成長期に過度な運動により股関節に負荷をかけることも、発症の引き金になります。
ラポニアン・ハーダーは、成長期が10〜12ヶ月程度といわれています。
活発で運動欲求の高い犬種ですが、成長期は飛んだり跳ねたりなどの過度な運動は控えるようにしましょう。
進行性網膜萎縮症(PRA):網膜が萎縮し徐々に視力が低下していく疾患。遺伝性の疾患ですので、予防法はありません。
ブリーダーから迎え入れる際には、遺伝子検査の結果や、親犬、兄弟犬の病歴を確認するようにしてください。
発症すると、最終的に失明する疾患ですが、完治のための治療法はなく、進行を遅らせる内科的治療しかありません。早期に発見し、治療を開始することが重要です。
初期段階では、暗い場所での視力の低下がみられます。夕方や薄暗い部屋で物にぶつかるようになったり、動きたがらないなどの症状があれば、早めに動物病院を受診してください。
ラポニアン・ハーダーのしつけ・飼い方
ラポニアン・ハーダーは、飼い主に忠実で仕事熱心な犬種です。訓練をしっかり行うことで、頼もしいパートナーになってくれるでしょう。
暑さに弱く原則室内飼育
北極圏原産のラポニアン・ハーダーは、暑さに非常に弱いため、日本で飼育する場合には室内飼育が推奨されています。
活発な犬種ですので、フローリングで滑り関節を痛めないように滑り止めマットを敷きましょう。夏場は常に温度と湿度を調整し過ごしやすい環境を整えてあげてください。
また、ラポニアン・ハーダーは非常に従順で訓練が得意です。常に飼い主のそばでトレーニングが行えるため、良いパートナーとなってくれるでしょう。
十分な運動で欲求を満たして
仕事熱心な気質のラポニアン・ハーダーは、エネルギッシュで運動欲求が強いです。
毎日30分〜60分程度の散歩を2回行うようにしてください。それ以外にもドッグランで自由に走ったり、郊外の自然を感じられる場所で走ることもおすすめです。
アジリティなどのドッグスポーツも楽しんで行えるため、挑戦してみてください。
無駄吠え対策は子犬のうちから
ラポニアン・ハーダーは、無駄吠え対策のしつけをしっかり行わなければ吠えやすい犬種です。
警戒吠え以外にも、コミュニケーションの一つで吠えるため、子犬のうちから不必要に吠えることがないように教えてあげましょう。
急に吠える回数が増えた時には、運動不足などストレスが溜まっている可能性があるため、運動量を見直してみるといいでしょう。
ラポニアン・ハーダーの歴史
およそ1万年ほど前、フィンランドのラップランドに、ロシアからトナカイが移動してきました。そのトナカイをサーメ人とスピッツ犬が追いかけるようにやってきました。
このスピッツ犬が、のちのラップフンドと呼ばれる犬種です。ラップフンドとは、トナカイの牧畜犬のことで、その中にラポニアン・ハーダーがいました。
その後、ラポニアン・ハーダーは数百年もの間、ラップランド人にトナカイの牧畜犬として飼育されていました。
非常に賢く仕事熱心な上、寒さに強く丈夫で強い体を持ったラポニアン・ハーダーは、牧畜犬だけではなく番犬としても活躍しました。
この犬種の登録は1950年代に開始されましたが、当時フィニッシュ・ラップフンドとラポニアン・ハーダーは同一犬種として見なされていました。
牧畜の機械導入が進み、1960年代には数を減らしてしまいますが、1966年12月10日にラポニアン・ハーダーが独自の犬種として分けられたことにより、保護活動が始まりました。
ラポニアン・ハーダーの値段価格
ラポニアン・ハーダーは、日本では非常に珍しい犬種で、ブリーディングは行われていません。
ラポニアン・ハーダーを飼育したい場合には、海外からの輸入が必要になります。
ペット輸入代行業者を利用すると、諸経費を含めて50万円以上かかります。
現地のブリーダーとのやりとりを代行してくれますので、遺伝子検査や親犬の病歴などは確認するようにしましょう。
ラポニアン・ハーダーは日本の高温多湿の環境に適さないため、国内の寒冷地や、飼育環境が整った場所での飼育が望ましい犬種です。
訓練への反応性が非常に良い犬種ですので、訓練に時間や体力を当てられる人が飼い主に向いているでしょう。
ラポニアン・ハーダーに興味をもたれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。