ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの基礎情報
・日本語表記:ノルウェジアン・エルクハウンド・グレー
・英語表記:Norwegian Elkhound Grey
・原産地:ノルウェー
・発生:自然発生
・種類:原始的な犬/スピッツ
・サイズ:中型犬(49〜52cm)
・体重:オス20kg~25kg、メス20kg~25kg
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの性格・特徴
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、「ノルウェーのオオジカ猟犬」という意味の犬種名です。猟犬以外にも、さまざまな場面で活躍している万能な犬として親しまれています。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの性格
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、勇敢で物怖じしない性格です。
意志が強く、優れた判断力をもっていることから、家畜の番犬、冬季のそり犬、猟犬としてさまざまな場面で活躍しています。
エネルギッシュで、スタミナも豊富なため、オビディエンスやアジリティなどのドッグスポーツも一緒に楽しめるでしょう。
不審な人物が家や自分のテリトリーに近づいた時には、大きく吠え威嚇することがありますが、家族に対しては温厚で愛情深く、子供にも優しく接してくれます。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの特徴
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーはノルウェー毛原産の犬種ですが、顔つきや背上の巻き尾が日本犬と似ており、日本人にとって馴染みやすい外見をしています。
体つきは典型的なスピッツ系で、短いボディをもつスクエア体型です。「しっかり立った立ち耳」「厚く豊富な被毛」「巻き尾」「ダーク・マスク」も特徴的です。
そり犬として活躍していたノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの脚は筋肉質で力強く、豊富なスタミナを感じさせます。
また、鋭い嗅覚を持ち、鳥猟犬としても活躍していました。
主人と生涯を共に過す愛された犬種
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、猟犬として使われるだけではなく、バイキングの航海に同行していたことでも有名な犬種です。
主人に忠実で、常に近くに寄り添い主人を守ってきました。
その証として、主人と共に棺に入ったこの犬種の遺骨が多く発見されており、これはこの犬種が古くから存在していたことを証明するきっかけにもなりました。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの毛色・目の色
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの被毛は、中くらいの長さで、厚く粗く、豊な上毛と、やわらかい下毛をもつダブルコートです。
頭部と脚の前側の毛は短くなめらかです。首、大腿、脚の後ろ、尾においてもっとも被毛が長くなっています。
毛色は、上毛の毛先が黒いことによるグレーで、さまざまな色調があります。
胸、腹、脚、尾の裏側、尾の付け根の下ならびに「ハーネス・マーキング」と呼ばれる部位では、上毛の毛先は黒くなり、毛色はより明るくなります。
耳とマズルの前方はダーク(ダーク・マスク)となっていることも特徴的です。
非常に厚く豊富な被毛は、極めて防寒性が高く、密度が高いため防水性もあります。換毛期には、抜け毛が非常に増えるため、毎日ブラッシングが必要です。
スリッカーブラシで余分な下毛を取り除いた後は、コームで毛並みを整えてあげましょう。ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの目の色は、ダーク・ブラウンです。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの鳴き声
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、繊細な注意力と観察力を兼ね備えています。
初対面の人に対しても危険ではないと判断すると、人懐っこく愛嬌を振りまきますが、一度警戒心が働くと、よく通る甲高い声で吠え続けます。
飼い主に異常や危険を知らせようとする行動ですので、番犬として非常に優秀な犬種です。
一般家庭で、家庭犬として飼育する場合には、大きな響く声で吠えますので、近隣トラブルには注意しましょう。
人懐っこい気質を伸ばすように、子犬の頃から家族以外の人にも、たくさん可愛がってもらいましょう。
また、屋外で飼育している場合、見知らぬ人が多く通る場所に犬舎があると、警戒心が強まる可能性があります。安心して過ごせる環境を、整えてあげるといいでしょう。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの寿命・病気
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの平均寿命は、12〜15歳です。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、基本的に丈夫な犬種で、犬種特有の命に関わるような遺伝性疾患はありません。
寒さには強いですが、反対に暑さには非常に弱いため、夏場の熱中症には注意してください。
進行性網膜萎縮症:網膜の異常により、次第に光を感知できなくなってしまう疾患。ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは遺伝的に進行性網膜萎縮症を発症しやすい犬種です。
この疾患のほとんどが遺伝的に発症しており、予防法や根治的な治療法が確立していません。そのため、早期に発見し、なるべく進行を抑えることが重要です。
この疾患は、暗い場所での視覚異常が特徴的です。夕方の散歩や、暗い部屋でのいつもと違う動きが見られた時には、動物病院を受診しましょう。遺伝子検査によって、この病気の遺伝子の有無を確認できます。
ブリーダーから迎え入れる前に、親の病歴や、遺伝子検査の結果を確認するようにしましょう。
皮膚疾患:高温多湿の夏場に発症しやすい膿皮症。ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、被毛が豊富で長いため、皮膚が蒸れやすい特徴があります。
皮膚表面にはマラセチア菌やブドウ球菌、ニキビダニなどの多種多様な微生物が存在しています。この微生物は「常在微生物叢」といい、通常皮膚の健全性を保つためになくてはならない存在です。
しかし、蒸れなどにより皮膚状態が悪化すると、この常在微生物叢のバランスが崩れ増殖してしまい、皮膚状態を悪化させてしまうことがあります。
膿皮症は、細菌が感染したことで皮膚に生じる化膿性の皮膚疾患の総称で、犬によく見られる皮膚疾患です。
とくに高温多湿の夏場、暖房の効きすぎた冬の室内は、症状が悪化しやすいため、早めに動物病院を受診するようにしてください。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーのしつけ・飼い方
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、古くから主人に寄り添い、守ってきた、頼もしいパートナーとなってくれる犬種です。
スタミナ抜群満足できるまで運動を
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、非常にスタミナのある犬種です。
運動量は、1回30分〜60分の散歩を1日2回から始めて、様子を見ながら徐々に増やしていくといいでしょう。
ドッグランで自由に走らせたり、ボールのとってこいの遊びもおすすめです。従順で物怖じしない性格のため、アジリティにも向いている犬種です。
船上で生活したり、猟犬として野山を駆け回ることもでき、適応能力に優れた犬種のため、登山やキャンプなどのアウトドアも一緒に楽しんでくれる最高のパートナーになってくれるでしょう。
リーダーシップを発揮して訓練する
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、主人に対して非常に従順で愛情深いため、リーダーと認められれば、しつけ訓練がしやすい犬種です。
一方で、意志が強く自分で考えて行動することもできるため、飼い主のことを頼りないと判断すると、いうことを聞かなくなってしまうため注意が必要です。
飼い主はしっかりとリーダーシップを取るようにしてください。散歩に行けるようになったら、すぐにリードトレーニングすることも大切です。
夏の過ごし方に注意
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、寒さに強い被毛を持っているため、夏の暑さが苦手です。
とくに日本の夏は高温多湿のため、熱中症や皮膚疾患に十分注意してあげましょう。可能であれば、常に空調が管理された室内で飼育します。
屋外の場合は、日陰を作り、常に新鮮な水を飲める環境を整える必要がありますが、熱中症のリスクが高いため、十分に注意してください。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの歴史
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、超古代犬種のひとつと考えられており、8世紀頃からノルウェーにいたノルマン人が、スカンジナビア山脈のエルク(大型シカ)の狩りやクマ狩りに使用していました。
6000年前にはすでに犬種としてノルウェーに存在していたとも考えられています。古来は猟犬として使われるだけではなく、バイキングに同行し主人を守ってきました。
当時のバイキングでは、主人が死ぬと、来世でも主人を守ることができるようにと、愛犬と一緒に棺で眠りにつく風習がありました。
主人と生涯を共にしたこの犬種の遺骨が棺から多く発見されています。
勇敢な性格と優れた嗅覚は狩猟の場面でも、大いに活躍しました。エルク(大型のシカ)だけではなく、トナカイ、ヘラジカ、クマ、オオカミ、ヤマネコ、アナグマ、鳥などさまざまな獣を狩る優秀な猟犬でもありました。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、獲物を見つけると吠えて詩人に知らせ、すぐに獲物に向かい相手を撹乱させたり、自分で倒してしとめる、動けないように噛み留め主人が仕留めるのを待つといった、獲物に合わせた狩猟を行っていました。
そのため、吠え声は大きく、自分で考え行動のできる気質が身についているのです。
狩猟のシーズンが過ぎると、番犬としても活躍し、寒いノルウェーでも屋外で飼育できる丈夫な体は、非常に人気となりました。
現在でも、ノルウェーにおいて人気の高い犬種で国犬にも指定されています。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーの値段価格
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーは、ノルウェーのみならず、ヨーロッパにおいても比較的知名度が高く人気のある犬種です。
日本においては、稀に輸入されている程度で、飼育されている数は非常に少なく、極めて珍しい犬種です。
日本の気候に適していないことが主な理由と考えられていますが、主人に寄り添う忠実な性格や、日本犬のような顔つきと立派な巻き尾は、日本人に非常に馴染みやすい犬種です。
日本でブリーディングは行われていないため、迎え入れたい場合には、輸入が必要です。
ペットの輸送代行業者を利用する場合は一般的に50万円程度かかります。
ノルウェジアン・エルクハウンド・グレーに興味がある方は、ノルウェーなどではよく見かける犬種ですので、旅行の際に触れ合ってみてはいかがでしょうか。
日本では簡単に飼育のできない犬種ですが、ぜひ本記事を参考にさらにノルウェジアン・エルクハウンド・グレーについて知っていただければと思います。