パピヨンの基礎情報
・日本語表記:パピヨン
・英語表記:Papillon
・原産地:フランス、ベルギー
・発生:人為的発生
・種類:愛玩犬
・サイズ:小型犬(20cm~28cm)
・体重:オス 3.6kg~4.5kg、メス 3.2kg〜4.1kg
パピヨンの性格・特徴
パピヨンは、エレガントな容姿と、好奇心旺盛な性格が魅力的な犬種です。フランス語で「蝶」を意味する犬種名の通り、蝶が羽を広げたような大きな耳が印象的です。
パピヨンの性格
パピヨンは、飼い主や家族が大好きで愛情深い犬種です。
家の中では、常に家族の側にいたいと思っているようですが、分離不安症にならないように、時にはケージやハウスの中でそれぞれの時間を過ごすようにするといいでしょう。
見知らぬ人に対しては、興味を抱かないか、神経質な場合には、吠えることもあります。
非常に賢く、人の言葉を理解していると思うほどで、多くのことを覚えます。雰囲気や状況を感じ取り、行動することもできます。
やや神経質なところがあるため、子犬のうちから多くの刺激に触れさせるようにしてください。
パピヨンの特徴
パピヨンは、絹のような長毛と、耳と尾の飾り毛が優美で気品のある雰囲気を作り出しています。
体長は、体高よりもわずかに長く、調和が取れたボディバランスです。手足が細いため、関節に負担をかけないように注意が必要です。
蝶が羽を広げたような大きな立ち耳が特徴的ですが、多くの国では垂れ耳のパピヨンもスタンダードとして認められており、「ファレーヌ」と呼ばれます。
マズルはスカルよりも短く、細く尖っています。
しつけによって飼いやすさが決まる
パピヨンは知能が高く賢い犬種のため、しつけや訓練によって多くのことを覚えるため、飼いやすい犬種です。
子犬の頃に甘やかしてしまうと、よく吠えて神経質な成犬に育ってしまうため注意してください。
小型犬ですが、攻撃的になり歯を立てようとすることがあるため、子犬の頃の接し方が非常に大切です。
要求吠えや、子犬の頃の夜鳴きにも応えてしまうと、吠えやすくなるため対応には注意してください。
パピヨンの毛色・目の色
パピヨンの被毛は、豊かでウェービーなシングルコートです。ウェービーは波状の毛質で、しっかりと巻かれたカーリーな毛質ではありません。
やわらか過ぎず、わずかに弾力があり、絹糸のような質感です。
ボディの被毛の長さは中くらいで、首の被毛は長く、ラフ(首周りの長くて厚い毛)やウェーブして胸まで届くジャボー(顎の下や首周り、胸の長い豊富な飾り毛)を作っています。
耳と前脚の後部にも飾り毛があり、大腿の後部にはやわらかい被毛によって、豊富なキュロット(大腿の後ろ側長く豊富な被毛)が形成されています。
毛色は、白地であればすべての色が認められています。
一般的には、ホワイト、ホワイト&ブラウン、セーブル、ブラック&ホワイト、レッド&ホワイト、フォーン&ホワイトがあります。
パピヨンの目は、表情豊かなアーモンド形で、色はダーク・カラーです。目の縁の色素は濃く、目頭はスカルとマズルの交わる場所に位置しています。
パピヨンの鳴き声
パピヨンは、しつけや訓練次第で吠えやすくも、吠えにくくもなる犬種です。
鳴き声は、高く響きやすいため、吠える頻度が高くなると、騒がしく近隣トラブルになるため注意してください。
元々はやや神経質なため、吠えやすく、要求吠えもあります。
子犬の頃に、甘やかし過ぎず、さまざまな刺激に慣れさせておくことが大切です。運動量がそれほど多い犬種ではありませんが、散歩には必ず連れ出し、初めて会う人や犬と積極的に触れ合い、可愛がってもらうといいでしょう。
家族と過ごすことが好きなため、いろいろな場所に連れていき刺激に触れると、神経質さがなくなり、大らかになります。
子犬の頃の夜泣きや要求吠えに応えてしまうと、吠えることを覚えてしまうため注意してください。
パピヨンの寿命・病気
パピヨンの寿命は13歳〜15歳で平均的な寿命です。
犬種特有の遺伝性疾患がほとんどなく、健康管理や飼い方次第で、長生きさせることも可能です。中には20年以上生きたパピヨンもいるほどです。
膝蓋骨脱臼(パテラ):膝の関節が正常な位置からずれてしまう疾患。
パピヨンは脚の骨が細いため関節炎に注意が必要です。とくに膝関節を脱臼しやすいため、高いところから飛び降りたり、飛んだり跳ねたりするような激しい運動は控えるようにしてください。
飼育環境を整えることも大切で、フローリングに滑り止めマットを敷いたり、段差にスロープをつけてあげてください。
膝蓋骨脱臼は、膝蓋骨が正常な位置から外れてしまう疾患ですが、初期段階では外れたり戻ったりを繰り返し、徐々に悪化していきます。
最終的には歩けなくなってしまう犬もいます。歩き方に一時的でも異常があった場合には、まずは安静にすることが大切です。
異常な歩き方の動画を撮っておくと、診断の際に役に立ちますので撮影しておきましょう。
白内障:水晶体の一部もしくは全体が白く濁る疾患。
パピヨンは長生きする犬種のため、加齢性の白内障に注意が必要です。加齢による白内障の進行はゆっくりですが、初期症状がわかりづらく自覚症状を認めた時には、かなり症状が進行していることがほとんどです。
7歳頃を過ぎたら、症状がなくても目の検査を定期的に行うようにしましょう。早期発見できれば、点眼薬や内服薬によって、進行を抑える治療を行います。
パピヨンのしつけ・飼い方
パピヨンは非常に賢いため、小さな愛玩犬だからといって甘やかすことなく、しっかりとしつけや訓練を行いましょう。
また、健康管理によって長生きも望めますので、飼育方法をご紹介します。
非常に賢くしつけが入りやすい
パピヨンは、可愛らしい見た目が魅力的ですが、秘めている能力は高く、頭脳明晰で運動神経も高い犬種です。
しつけや訓練によって、この犬種の能力を引き出してあげましょう。
しつけは、迎え入れた日から始めてください。寂しがりやなので、数日はおそらく夜鳴きをしますが、かわいそうでも応えないようにすると、吠えなくなります。
ワクチンが済んだら、警戒心が芽生える前に、多くの場所に連れ出し、刺激に触れさせてください。目や耳、口の中など触られることに慣れさせておくことも大切です。
運動神経抜群で散歩は欠かせない
パピヨンは、小柄ですがアクティブな犬種です。
散歩は欠かさず連れて行くようにしてください。運動不足になるとストレスがたまり、無駄吠えなどの問題行動をすることがありますので注意してください。
1日2回30分ずつ散歩に連れていきましょう。
ドッグスポーツもできるほど、運動神経の良い犬種ですが、脚が細く関節に負担をかけないようにする必要があります。
運動などは、硬いコンクリートの上ではなく、芝生の上で行いましょう。階段を駆け上がるような動きも、控えてください。
お手入れで美しい容姿を維持する
パピヨンは、優雅な容姿が魅力的な犬種です。
シングルコートのため、抜け毛はそれほど多くありませんが、被毛が絡まったり、お腹や脚の被毛が汚れやすいため、お手入れが大切です。
ピンブラシやコームで抜け毛を取り除いたり、毛玉や絡まりをほどいてください。
トリミングしなくても、自宅での手入れで美しさを維持できますが、シャンプーなどは定期的に行い、清潔に保ってください。
パピヨンの歴史
パピヨンは、ヨーロッパに存在していたトイ・スパニエルと呼ばれていた犬の子孫です。
15世紀以降、ポンパドール夫人やマリー・アントワネットをはじめとするヨーロッパ貴族の寵愛を受けるようになり、当時の肖像画にもたびたび描かれていました。
有名なものでは、オーストリアの宮廷画家マルティン・ファン・マイテンスによる、「シェーンブルン宮殿の女帝マリア・テレジアとその家族」と題する3作の肖像画で、いずれの絵にも2頭のパピヨンとされる犬が描かれています。
フランス革命の際には、革命軍によって貴族とともに多くのパピヨンの命が奪われました。
ブルボン朝の時代までは、垂れ耳のパピヨンが一般的で、リスのように尻尾が巻かれていることから「リス犬」と呼ばれていました。
19世紀末頃に、スピッツやチワワと交配させ改良し、現在の立ち耳のパピヨンが出現しました。
立ち耳の個体は蝶を意味する「パピヨン」、垂れ耳の個体は蛾を意味する「ファレーヌ」と呼ばれるようになります。
活発で、ネズミを追いかける習性もあったことから、ネズミ捕りとしても活躍していました。
20世紀に入ると、パピヨンはさまざまな国でドッグショーに参加するようになり、人気を博します。この頃出場していた犬は、現在のパピヨンよりも若干大きく、ほとんどの個体がレッド一色でした。
現在は品種改良により、ひとまわり小さくなり、毛色も多彩になりました。
美しく気品のある容姿だけではなく、服従競技などにも参加するなど、幅広い分野で優秀さを見せてくれる犬種です。
パピヨンの値段価格
パピヨンは、日本でも人気のある小型の家庭犬で、街中やペットショップで見かけることも多い犬種です。
ブリーダーも数多く存在しており、国内で入手することは難しくありません。
ペットショップ、ブリーダー、里親などから、迎え入れができますが、犬の飼育初心者の場合は、いくつかの犬舎などをまわり、気質や性格が合っている子を選ぶといいでしょう。
子犬の価格は、15万円〜40万円と幅がありますが、チャンピオンの血統をもっていたり、珍しい毛色の場合はより高価になります。
パピヨンは、飼育方法によって飼いやすさが大きく変わりますので、迎え入れる前に本記事でパピヨンについて知っていただき、迎え入れていただければと思います。