ポリッシュ・ローランド・シープドッグの基礎情報
・日本語表記:ポリッシュ・ローランド・シープドッグ
・英語表記:Polish Lowland Sheepdog
・原産地:ポーランド
・発生:自然発生(不明)
・種類:牧羊犬/牧畜犬
・サイズ:中型犬(42~50cm)
・体重:オス14kg~16kg、メス14kg~16kg
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの性格・特徴
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、優れた牧羊犬だけではなく、ドッグショーに常に出品され、都会でも飼育が可能な犬種です。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの性格
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、落ち着いた気質で平和主義な性格をしています。
飼い主や家族が大好きで、小さな子供や子犬にも優しい寛容さをもっています。また、利口で覚えがよいので、しつけもしやすいといわれています。
牧羊犬らしく、用心深く知覚が鋭い面もありますが、警戒心が強すぎない穏やかな気質が都会でも飼育がしやすいと言われている所以です。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの特徴
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの特徴は、全身を覆う長い被毛です。
被毛に隠れている体は、コンパクトながら筋肉が発達しており、がっしりとしたスクエア型です。
耳も被毛に覆われていますが、大変よく動きハートの形をしています。垂れ耳で大きさは中くらいで付け根はどちらかというと高く、耳朶の前縁は頬に接しています。
尾は、断尾されて非常に短いか、無尾です。断尾されていない場合は、非常に長く被毛が豊富です。静止時、尾は垂れていますが、警戒している時は、背の上に掲げます。
人懐っこく家庭犬としても愛される犬種
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの特徴は、人懐っこさと友好的な性格です。
そのため、牧羊犬やショードッグとして活躍しているポリッシュ・ローランド・シープドッグですが、家庭犬としての適性も素晴らしいものです。
寛容な性格であるため、家族に小さな子供や、他の犬がいても、トラブルになることは少ないです。
抜け毛も気になるところですが、毛玉にならないように毎日のブラッシングは必要ですが、抜け毛はそこまで多くありません。
しつければ無駄吠えもほとんどしなくなるため、日本の住宅地でも飼育できます。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの毛色・目の色
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、ホワイト&ブラック、ホワイト&グレー、ホワイト&ブラウンやこれらの単色などさまざまで、すべての色が認められています。
長毛の直毛かややウェーブがかったダブルコートで、毛量が多く毎日ブラッシングしなければ、すぐに毛玉ができてしまいます。下毛はやわらかいです。
額から垂れている被毛が目をおおい、この犬種の特徴となっています。
被毛が厚いため、夏の暑さでは熱がこもりやすく、皮膚が蒸れやすくなります。熱中症のリスクも高まりますし、皮膚疾患の原因にもなるため、空調の効いた室内で飼育してあげましょう。
目は中くらいの大きさで、オーバル(卵形)、出目ではなく、色はヘーゼル色です。快活で鋭い眼差しをしており、目縁は暗色です。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの鳴き声
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、広大な土地で牧羊犬として働いていたことから、甲高く遠くまで聞こえるように、よく響く鳴き声をしています。
警戒心もあるため、子犬の時から社会性や、しつけを行わなければ、知らない人や怪しい物音がしたときに吠えることがあります。
しかし、他の牧羊犬の中では、警戒心が低く、穏やかで寛容な性格であることから、しつけをすることで、無駄吠えをなくすことは可能です。
吠えることがあれば、何に対して吠えているのか確認しその音に慣れさせ、外の人影に反応するようであればカーテンなどで見えないように、環境を整えてあげるといいでしょう。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの寿命・病気
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの寿命は、12歳から14歳前後で平均的な寿命の犬種です。
皮膚病:最近感染やアレルギーによって皮膚に炎症が起こる疾患。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、長毛が密生しているため、ブラッシングが不十分であったり、シャンプーの後しっかり乾かさずにいると、皮膚が蒸れて、アレルギー疾患などで痒みが生じたり、アトピー性皮膚炎になることがあります。
また細菌感染を起こすと、膿皮症になります。この疾患は、再発しやすいため、症状が軽いうちにしっかり治すことが大切です。
痒みは、命に関わる症状ではありませんが、不快感が強いため、ストレスが溜まりますし、自分で掻いたり、噛むことで悪化してしまうことがあるため、早めに治療を行い、痒みをとってあげましょう。
股関節形成不全:股関節が正常に形成されず、歩行に異常が現れる疾患。
大型犬に多いこの疾患は、中型犬のポリッシュ・ローランド・シープドッグにも注意が必要です。成長期に発症することが多いため、歩き方に異常を感じたら、動物病院を受診しましょう。
たまに歩き方がおかしいという場合は、前、横、後ろの三方向から動画を撮り、病院に持って行くと、適切な診断がされやすいです。
進行性網膜萎縮症:最悪の場合失明に至る疾患。網膜の異常から視覚障害を起こし、徐々に視力が落ちていきます。
一般的な症状としては、目が見えづらくなり、物にぶつかったり、まっすぐ歩けない、穴や溝に落ちるようになります。外出を嫌がるようになったり、時折ストレスを感じているような曇った顔をするようになります。
その結果元気がなくなり、運動失調になったり、二次的に、白内障を併発することもあります。様子が普段と違うと思うことがあれば、動物病院に相談してみましょう。
外耳炎:外耳に何らかの要因で炎症が起こる疾患。ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、長毛で耳が垂れていることから、耳が蒸れて外耳炎になりやすい犬種です。
耳を痒がる、汚れがついている、臭いがする、頭をよく振るなどの症状があれば、耳に違和感がある可能性が高いため、動物病院を受診しましょう。
症状がなくても、定期的に耳の様子を見てもらうことで、耳の検査に慣れてもらうこともできます。
溶血性貧血:自分の免疫によって赤血球が破壊されて起こる貧血。赤血球数が、健康な犬の半分以下まで減る場合があり、重度の貧血を起こし命に関わる疾患です。
同時に血液凝固系にも異常をきたし、全身のショック症状を起こすこともあります。初期症状は、元気や食欲がなくなります。
血液検査で貧血の有無は確認できるため、同じ動物病院で定期的に検査を行い、経過を追っておくと、病気の発症に気がつきやすいでしょう。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグのしつけ・飼い方
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、被毛の管理ができれば初心者でも飼育しやすいと言われている犬種ですが、注意点がいくつかあります。
たくさんの運動が必要
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは体を運動や遊びが大好きで、活動的な犬種です。
1日2回の30分は散歩に時間を確保してあげましょう。
散歩の他にも、ボール遊びやフライングディスク(フリスビー)で一緒に遊んだり、ドッグランなど広々した環境で、自由に走らせてあげましょう。
個体によっては、あまり活動的ではない場合もあるため、肥満には注意しましょう。
特に避妊、去勢手術以降は、代謝が落ちるため、それ以前の食生活を継続していると、どんどん適正体重を上回ってしまいます。
遊びを取り入れて体を動かすようにしたり、他の犬とも仲良くできる犬種なので、他の犬と遊ばせてもいいでしょう。
被毛ケアは皮膚の健康維持にもつながる
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、毛が絡まりやすく、すぐに毛玉ができてしまいます。
この犬種を飼ったら、ブラッシングは日課にしてあげましょう。長毛の犬には、ピンブラシやコームを使うとうまく抜け毛が取れます。
獣毛ブラシを使うと、毛に艶が出ますし、皮膚のマッサージにより血行が良くなることで皮膚疾患を予防することができます。
またスリッカーブラシはできてしまった毛玉をうまく取ることができるため、おすすめです。
子犬の頃は甘やかしすぎない
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、大変物覚えがよく、飼い主に対し従順であることから、しつけや訓練には苦労しない犬種です。
しかし、甘え上手な性格なので、子犬の時に甘やかしすぎてしまうと、この犬種の賢いよい面が損なわれてしまうかもしれません。
子犬の時から、甘やかすことなく、一貫した態度でしつけを行いましょう。家族が大好きなので、高圧的に叱るのではなく、褒めながら行うしつけをしてあげましょう。
攻撃的な面が極めて少ないことから、家族の中の小さな子供とも仲良く遊ぶことができます。子供を守ろうとすることもあるといわれています。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの歴史
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは、オールド・イングリッシュ・シープドッグの基礎となったビアデッド・コリーの基礎になった犬種です。
古い記録では13世紀には存在していたといわれています。
ポーランドを原産とした牧羊犬で、ポーランドでは別名「ポルスキー・オフチャレク・ニジンニ」と呼ばれるため、愛好家の中では頭文字をとって「PON」という愛称で親しまれていました。
祖先犬は、プーリーやコモンドールなど中央アジアに古い起源を持つ犬たちと、共通していたのではないかと推定されています。
この祖先犬はアジアの遊牧民と共に移動し、東欧に流れ着いた祖先犬の子孫とポーランド土着の犬が掛け合わされたものが、初期のポリッシュ・ローランド・シープドッグの基礎となったという説があります。
やがて、世界大戦が始まると、物資の不足から多くの犬たちの飼育が難しくなり、ポーランドの田舎で飼われていたポリッシュ・ローランド・シープドッグにも戦争の影響が迫ってきます。
賢く勇敢なこの犬種は、軍用犬として戦場に赴くことになりますが、たくさんの犬たちが命を落とし絶滅の危機に瀕しました。
終戦後の1950年代、愛好家たちにより150頭のポリッシュ・ローランド・シープドッグの中から、犬種標準に準じた、育種にふさわしい犬を選んで繁殖が開始されます。
さらにポーランドから海外に輸出されるようになったのは1960年代以降になります。
1980年代以降は海外のドッグショーに出展されるようになり、徐々に人気が高まっていきました。現在では、ドッグショーの常連となり、多くの家庭でも愛されています。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグの値段価格
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは日本ではまだ珍しい犬種であるため、ペットショップで販売されることはありません。
国内ブリーダーも少なく、この犬種を飼育したいと思われている場合は、早めにブリーダーに予約を入れる必要があります。
また、この犬種は、遺伝性疾患もあるため、親の病歴の確認と遺伝子検査を行うといいでしょう。
子犬の販売価格は20万円前後ですが、血統や、毛色によって高価になります。
海外では1000ドル〜2000ドル前後で取引されることが多い犬種です。
輸入代行業者に依頼した場合、手数料や送料がかかるため、安くても30万円は見積もっておきましょう。
ポリッシュ・ローランド・シープドッグは被毛のケアや熱中症などの注意点はありますが、素晴らしい家族の一員になってくれる犬種です。
この犬種に興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考に、ポリッシュ・ローランド・シープドッグについて学んでいただければと思います。