サルーキの基礎情報
・日本語表記:サルーキ
・英語表記:Saluki
・原産地:エジプト
・発生:自然発生
・種類:視覚ハウンド
・サイズ:大型犬(58cm〜71cm)
・体重:オス 18kg~27kg、メス 18kg〜27kg
サルーキの性格・特徴
サルーキは、生息している地域によって、毛質や毛色が異なるさまざまなタイプが存在しています。飼育犬の中で、おそらく最も古い歴史をもつ犬種のひとつであると考えられています。
サルーキの性格
サルーキは、知的で落ち着きがあります。
気高く威厳がありますが、寂しがりやなところがあり、飼い主や家族と常に一緒にいることを好みます。
賢く、人の言葉を理解しているかのように振る舞うことがありますが、狩猟本能が刺激されると、主人のいうことを聞かなくなるほど周りが見えなくなります。
古くから人と一緒に暮らしてきた犬種のため、人と一緒に暮らすことに適した気質をしていますが、犬らしい従順性は低く、一緒に暮らすパートナーとして接することが適切です。
サルーキの特徴
サルーキは、優雅さとバランスが取れた体をしており、際立ったスピード感と耐久性、力強さや活発さを兼ね備えています。
風に揺れる耳の被毛、スリムで無駄のないボディラインが印象的な犬種です。
長い頭部は、幅が狭く高貴な印象があります。両耳の間は適度な幅があり、ドーム状にはなっていません。
ストップは(両目の間にある叱るとマズルの間にある接続部)はわずかです。
特徴的な耳は、長いシルク状の被毛におおわれています。付け根は高くよく動き、スカルに沿って垂れており耳朶は長くなっています。
狩猟本能のスイッチが入る時は注意が必要
サルーキは、普段は穏やかで落ち着きがありますが、外で遊んでいる時や散歩に出た瞬間に狩猟本能のスイッチが入ることがあり、注意が必要です。
活発に走ったり、ネコやトリなどの動く小動物に反応してしまい、飼い主の静止命令も聞かずに走り出してしまうことがあります。
運動が不十分な時も、破壊行為などの問題行動を取ることがありますので、十分な運動は欠かせません。
サルーキの毛色・目の色
サルーキは、飾り毛のあるものと、スムースコートタイプがあります。
飾り毛のあるタイプは、なめらかでやわらかく、シルキー(絹糸状)の被毛です。脚や大腿の後ろにはフェザリング(羽毛状の飾り毛)がみられ、時々成犬の喉にもみられます。子犬は大腿と肩にわずかにウーリー(羊毛状)な被毛がみられます。
スムースコートタイプは、フェザリング(羽毛状の飾り毛)はみられません。
いずれのタイプも、寒暖差や強烈な紫外線から体を守る被毛は、速く走る際に風の抵抗を少なくするために体に張り付くように生えています。
抜け毛は特別多くありませんが、換毛期には抜け毛があります。また、飾り毛は、絹糸状で絡まりやすいため、ブラッシングが必要です。週に2〜3回のブラッシングケアを行うようにしてください。
サルーキの毛色は、全ての色や組み合わせが認められていますが、ブリンドルは好ましくないとされています。
主に、ホワイト、フォーン、クリーム、タン、ゴールド、レッドなどがあります。
サルーキの目の色は、ダークからヘーゼルで輝きがあり、大きくオーバル(卵形)です。表情は威厳があり優しく、遠くを見るような眼差しをしています。
サルーキの鳴き声
サルーキは、あまり吠えない犬種です。
これはサイトハウンドの特徴でもあり、狩りの時には一人で獲物を追いかけるため、自主性が求められ、飼い主への依存心が少ないために、吠える必要がないからといわれています。
しかし、繊細な性格をしているため、留守番の際に遠吠えをすることがあります。
サルーキが繊細で神経質に育たないように、子犬の頃からコミュニケーションを大切にしてください。飼い主や家族以外の人や動物ともたくさん触れ合う機会を作るようにするといいでしょう。
サルーキの寿命・病気
サルーキの平均寿命は10〜17歳です。
拡張型心筋症:心臓の一部の筋肉が薄くなることで、心臓の収縮機能が低下し、全身にうまく血液を送れない疾患。拡張型心筋症の、飼い主が気がつきやすい症状としては、食欲低下、疲れやすいなどです。
症状が進むと、肺水腫や呼吸困難などの症状がみられるようになります。拡張型心筋症を発症した場合、根治的な治療は無く、現れている症状に対する対症療法が行われます。
例えば、利尿剤の投与により、肺に溜まった水を抜き、強心剤を使って、循環不全を改善させます。
拡張型心筋症は遺伝性の要因が強く、予防法はありません。ブリーダーから迎え入れる時に遺伝子検査の結果や、親や兄弟犬の病歴を確認してください。
健康診断の際には、心臓のエコー検査も追加してもらうといいでしょう。
副鼻腔炎:副鼻腔まで炎症が広がった状態。鼻炎が長引き慢性化した場合、副鼻腔炎になることがあります。
原因には、鼻炎と同様にウイルスや細菌、真菌などの感染症が多く、その他にも異物や腫瘍などがあります。
症状は、ドロッとした粘り気のある膿性の鼻汁や、くしゃみなどです。炎症がひどい場合、犬の鼻筋が腫れて熱を保つことがあります。症状が悪化し、鼻汁の排出が妨げられると、蓄膿症になります。
この場合には、呼吸しにくくなるため、口を開けてゼーゼーと喘ぐような呼吸の症状がみられることもあります。
予防するためには、鼻炎の段階で治療を行うことです。鼻水、くしゃみの症状は放置せずに、通院、治療するようにしてください。
皮膚疾患:細菌感染やアレルギーなどを原因とした皮膚疾患。サルーキは、皮膚炎に注意が必要な犬種です。
サルーキの体は、熱を効率的に外に逃がす仕組みをしており、暑さには強いですが、冬の寒さには弱く、体の抵抗力が落ちてしまいます。
抵抗力が落ちると皮膚バリア機能が落ち、真菌感染による皮膚炎や、脂漏症などの皮膚疾患を発症しやすいといわれています。重症化する前に、動物病院を受診しましょう。
サルーキのしつけ・飼い方
サルーキは美しく優雅な容姿が魅力的ですが、やや繊細な気質がありますので配慮した方法で飼育しましょう。
暑さに強く寒さに弱い体
サルーキは、体脂肪が少なく、熱を逃しやすい体をしているため、暑さには強いですが、寒さには弱い犬種です。
日本の寒さが苦手なため、冬場は洋服を着せたり、温度管理された室内で過ごすようにしましょう。また、毛布をベッドに置いておくことで、いつでも自分で温まれる環境を整えてください。
サルーキの体は脂肪が少なく、堅い床に寝転んでいると、床との接触部分にタコができることがあります。サルーキがくつろぐ場所には柔らかいマットやクッションを設置してあげてください。
元狩猟犬の高い身体能力をもつ
サルーキは、狩猟犬として高い身体能力をもっており、必要な運動量も非常に多い犬種です。
散歩は、1日2回、1回1時間以上行うようにしてください。力が強く、動く物に反応して急に走り出すことがあるため、子供や、力の弱い女性はリードを持たない方がいいでしょう。
走ることが好きな犬種ですので、散歩はランニングや自転車での並走がおすすめです。また、週末は郊外の自然豊かな場所へ出かけ、たくさん運動してください。
子犬の頃からさまざまな経験をさせて
サルーキは、やや繊細で感受性が豊かなところがありますので、成長してから新しい刺激に対してストレスを感じないように、子犬の頃からさまざまな経験をさせるようにしてください。
いつも同じ散歩コースを歩くよりも、さまざまな場所に出かけて多くの経験をさせるといいでしょう。匂いや音、初めての人や動物と、たくさん触れ合い、さまざまな刺激に触れることが大切です。
サルーキの歴史
サルーキは、現存している全ての飼育犬の中で最も古い犬種の一つです。
紀元前6000年以前の遺跡からサルーキとよく似た犬の彫刻が見つかっており、紀元前2100年頃の古代エジプトのファラオの墓からはサルーキのミイラが見つかっています。
サルーキはエジプト王家の犬で、王族と一緒に埋葬されていました。
犬は不浄の動物とされる中東諸国でも、アラーの神から遣わされた特別な犬として、サルーキは常に人と同じ場所で眠ることを許された存在でした。
さらに、サルーキは、アラビアの遊牧民と共に狩りをしながら旅をして、各地に子孫を残していました。
2004年、アメリカの研究者によって、サルーキはDNAの解析によりオオカミに最も近い犬と発表されました。
その後の別の研究では、サルーキと遺伝的に共通点をもつ古い犬種が中東、ヨーロッパ、アフリカを中心に多く存在していることがわかりました。
サルーキと交雑し、独自の発展を遂げた犬たちもいれば、その地域の暮らしに適応しながら同じ犬種と交配し純血として生き続けたサルーキもいました。
数千年の長い時間をかけて、サルーキは同じ犬種の中に地域的特色のある、バリエーションをもつことになったのです。
12世紀にサルーキは、ヨーロッパに渡りました。
16世紀初頭には、ドイツのハインリッヒ4世の肖像画で、足元にサルーキとよく似た犬が描かれています。
イギリスに渡ったのは1840年とされていますが、この犬はサルーキだったのか、近縁のスルーギだったのかは定かになっていません。
1923年には本犬種の最初のスタンダードが作られ、イギリスのケネルクラブに登録されました。1929年にはアメリカンケネルクラブに登録されます。
サルーキの値段価格
サルーキは、日本でも愛好家のいる犬種です。
俊敏で無駄のないスリムな体と、愛らしい飾り気のある顔つきが魅力で多くはありませんが根強い人気があります。
価格は、45万円以上で、チャンピオンの血統を保つ子犬は65万円〜80万円ほどの価格となっており、高価な犬種です。
サルーキに興味を持たれた方は、ドッグショーでも出会うことができます。
十分な運動や、広い飼育スペースを確保する必要がありますが、外では体を十分に動かし、家では愛犬とのんびりくつろぎたい人にとっては、素晴らしい家族の一員となってくれる犬種です。
サルーキに興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。