シャー・ペイの基礎情報
・日本語表記:シャー・ペイ
・英語表記:Shar Pei
・原産地:中華人民共和国
・発生:自然発生
・種類:使役犬
・サイズ:中型犬(44~51cm)
・体重:オス18kg~23kg、メス18kg~23kg
シャー・ペイの性格・特徴
筋肉質な体と、シワだらけの個性的な顔をしたシャー・ペイは狩猟犬や警備犬として活躍しており、家庭犬としても愛されています。
シャー・ペイの性格
シャー・ペイは、冷静沈着で落ち着いた気質の犬種です。
疑い深いところがあり、見知らぬ人や犬に対しては心を開きません。警戒心を示し、時には攻撃的な一面を見せることがあります。
飼い主に対しては、内気なところがありますが、忠実で愛情深く献身的に接してくれます。
狩猟犬や警備犬として働いていた名残か、独立心が強いため、飼い主はしっかりとリーダーシップを発揮しなければなりません。
シャー・ペイの特徴
シャー・ペイは、スカルとキ甲をおおうシワと、小さな前に折れた耳が印象的な犬種です。
筋肉質でがっしりした胴体に、先細りで背中まで巻き上がった尻尾をしています。頭部に関しては、ボディに比べてかなり大きく、額と頬にシワがあり、デューラップ(喉の下の皮膚のたるみ)を形成しています。
スカルは平らで、幅広く、鼻は大きく幅広の形をしています。
マズルはこの犬種独特の特徴があります。幅は広く、先細りになることはなく、唇とマズルの上部は肉付きがよいです。
50年ほど前までは闘犬だったシャー・ペイ
わずか50年ほど前までは、闘犬として繁殖していました。
闘犬として使われなくなってからは、穏やかな気質になるように繁殖されていますが、まだ闘犬の気質が残っています。
見知らぬ人や犬に対して疑り深さをみせ、攻撃的になる一面がその名残でしょう。
元々、頑固で自立心が強く、しつけが難しいといわれている犬種ですので、飼い主は子犬の頃から、しっかりとリーダーシップを取りコントロールしていくことが大切です。
シャー・ペイの毛色・目の色
シャー・ペイの被毛は、短く、粗く、剛毛です。
被毛はまっすぐで、ボディに対して毛が立って開いて生えていますが、四肢においては平らです。下毛はなく、被毛の長さは1〜2.cmの長さがよいとされており、トリミングの必要はありません。
毛色は、ジャパンケネルクラブによると白以外のすべての単色が認められており、ブラック、ブラウン、フォーンなどが一般的な毛色です。
斑やスポットは好ましくありませんが、全身の色調の変化は許容されます。
被毛の手入れは、難しくはなく、定期的なシャンプーとブラッシングを行うのみで大丈夫です。シワの間の汚れは、適宜きれいに拭き取り清潔に保ってあげましょう。
目の色は、ダークで、アーモンド形で顔をしかめた表情を作っています。
シャー・ペイの鳴き声
シャー・ペイは、普段は冷静であまり感情を出さないため、吠える機会は少ない犬種です。
しかし、しつけや訓練が不十分で社会性が身についていなかったり、自分がリーダーだと思ってしまった場合は、吠え癖がついてしまいます。
子犬の時から、さまざまな刺激になれさせ、たくさんの人に可愛がってもらい社会性を身につけさせましょう。
吠えてしまった時も、すぐにやめさせられるように、飼い主が服従訓練を行いリーダーシップを取ることが大切です。
子犬の頃に吠えなかったとしても、成犬になるにつれて警戒心が強くなることもあるため、甘やかすことなく毅然とした態度でしつけを行いましょう。
シャー・ペイの寿命・病気
シャー・ペイの寿命は、8歳から11歳前後です。他の中型犬と比べると比較的短い寿命です。
家族性シャーペイ熱:劣性遺伝の自己炎症性疾患。シャーペイシンドロームや、かかとが腫れる病気です。
ストレスが引き金になって発症することが多く、「原因不明の発熱」「関節、かかとの腫れ」「倦怠感・ぎこちない歩き方」「体重減少」「食欲不振」「腹痛」「嘔吐」「下痢」「貧血」「胸痛」「不整脈」「マズルの腫れや痛み」など、症状は多岐にわたります。
不明なことが多く、治療法や予防についてわかっていないことが多い疾患です。命の危険がある「アミロイドーシス」という病気を引き起こす危険があるため、症状があればすぐに動物病院を受診しましょう。
眼疾患:緑内障・眼瞼内反症・チェリーアイ・乱生まつげ。緑内障は、遺伝による先天性疾患である、ぶどう膜炎・前房出血・水晶体脱臼・眼球内腫瘍などの病気が原因で発症します。
眼瞼内反症と乱生まつげは顔のシワによりまぶた(眼瞼)が内側に入り込むことが原因で怒ります。放っておくと、結膜炎になり目を擦って症状を悪化させることもあるため、動物病院で、まつ毛を抜くなど処置を行なってもらいましょう。
チェリーアイは、第三眼瞼腺が瞬膜よりも外に飛び出してしまう疾患で、先天性または怪我などによってできたできものが原因で発症します。重度の場合は、手術も可能ですが、再発する可能性のある疾患です。
皮膚疾患:アトピー性皮膚炎、全身性毛包虫症、突発性皮膚ムチン症。シャー・ペイは、皮膚のシワの間が蒸れ、細菌感染を起こしやすく、アトピー性皮膚炎疾患や、寄生虫が皮膚に寄生する全身性毛包虫症の発症リスクが高いです。
また、シワの中に含まれるムチンが大量に作られることで、首、胸、腹、足などの皮膚に水疱ができ「かゆみ」「脱毛」などの症状が見られる、突発性皮膚ムチン症にも注意が必要です。
汚れを溜めないように皮膚を清潔に保ち、寄生虫に関しては駆虫薬を使用するなど対応していきましょう。
短頭種機動症候群:加齢や肥満による気道の狭まりが原因で発症する疾患。シャー・ペイのように鼻の低い短頭種によく発症する疾患です。
「いびき」「開口呼吸」「吸気時の呼吸困難」「意識消失」「チアノーゼ」などの症状がみられます。
治療は、外科的治療になりますが、短頭種は麻酔のリスクが高いため、獣医師としっかり相談の上治療方針を立てるようにしましょう。
シャー・ペイのしつけ・飼い方
シャー・ペイは、大変賢く、温厚で魅力的な犬種です。シャー・ペイと一緒に過ごす際のポイントをご紹介します。
飼い主がリーダーシップをとる
シャー・ペイが問題行動を起こさないようにするためには、飼い主のリーダーシップが重要になります。
もともと、自立心が旺盛で、自信満々の気質なので、飼い主が頼りないと自分がリーダーだと思い込んでしまいます。
そうなると、攻撃性が高まり、吠えぐせがついたり、コントロールが難しくなってしまいます。子犬の頃から、甘やかしすぎず一貫した毅然とした態度で、訓練をしていきましょう。
シワの間は常に清潔に
シャー・ペイは、皮膚を清潔にしておくことで、予防できる皮膚疾患も多いため、ケアは日常的に行ってあげましょう。
シワの間には、汚れが溜まりやすく、臭いの原因にもなります。皮膚が弱いため、強く擦らず、濡れタオルで優しく拭き取ってあげてください。
その際は、皮膚を持ち上げて、シワの奥の方までしっかり拭いてあげることが大切です。
いつもと違う様子はないか観察する
シャー・ペイは、発症リスクの高い疾患が多い犬種です。
中には、命に関わる病気や、日常生活に影響を与えかねない病気もあります。早期に発見し、治療につなげるためにも、日頃から病気について把握しておき、小さな変化も見逃さないことが必要です。
普段とは違う気になる様子があれば、すぐに動物病院を受診しましょう。症状がない時にも、定期健診を年に1回〜2回は行っておくと、さらに病気を見つけやすくなります。
シャー・ペイの歴史
シャー・ペイは中国南部の広東省原産の犬種で紀元前200年には誕生していたとされる、古い歴史のある犬種です。
「シャー・ペイ」とは砂のような(ザラザラとした)皮という意味があります。1200年代には、最初の記録が見つかっています。
その外見から、チベタン・マスティフやナポリタン・マスティフなど、古いマスティフ系の犬との近縁ではないかと推測されています。
もともと、この犬種は40〜70kgほどの体重があり、闘犬や番犬として活躍していました。中国では1949年に、犬の飼育は贅沢であるとされ、多くの個体が殺処分されてしまいます。
その思想統制から逃れたシャー・ペイは、香港で飼育されていきます。この時、シャー・ペイの数はわずか60頭ほどまで減っていました。
1973年位なると、絶滅を危惧したシャー・ペイの繁殖をおこなっていた香港のブリーダーが、この状況を世界に発信しました。その結果、アメリカの愛犬家たちに反応があり、100頭以上を輸入し繁殖をはじめました。
1974年には、アメリカンケネルクラブでも新しい犬種として登録されることになります。
遺伝性疾患の改善、闘犬としての気質を抑えることを目的に他の犬種と交配をし、次第に祖先犬と比べ小柄で穏やかな性格のシャー・ペイとなりました。
シャー・ペイの値段価格
シャー・ペイは、日本では大変珍しい犬種であるため、ペットショップで見つかることはほぼありません。
日本国内のシャー・ペイのブリーダーは非常に少ないため、購入を検討している場合は、早めに予約を入れるといいでしょう。
子犬の相場は30万〜40万円ほどで、ドッグショーでチャンピオンになった血統の子犬は約55万円です。
シャー・ペイはまだ家庭犬として飼育されている数が少ないことから、疾患などの情報が少ない犬種です。
ブリーダーから購入する場合には、遺伝子検査や、親の病歴の確認を行い、ブリーダーからもさまざまな情報を教えてもらうといいでしょう。
シャー・ペイは唯一無二の個性的な外見が魅力ではありますが、気質に合った訓練や、皮膚の日常ケアなど、気をつけなければならない点が多い犬種です。
シャー・ペイに興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考に学んでいただければと思います。