
スルーギの基礎情報
・日本語表記:スルーギ
・英語表記:Sloughi
・原産地:モロッコ
・発生:自然発生(不明)
・種類:視覚ハウンド
・サイズ:大型犬(61cm〜72cm)
・体重:オス 22kg~28kg、メス 18kg〜23kg
スルーギの性格・特徴
スルーギは、砂漠地方出身で、並外れた動体視力をもっています。
高貴で澄ましたような表情をしていますが、飼い主や家族にはよく懐き、家族を守ろうとする素晴らしい家庭犬です。
スルーギの性格
スルーギは、狩猟犬としての本能がやや強く残されています。
家のなかではくつろいで過ごしますが、警戒心が強くやや神経質で、騒がしい場所での飼育はストレスを感じてしまいます。
飼い主や家族にはよく懐き、非常に優しく、いざという時には家族を守ろうとします。
用心深く、感受性も強いため、見知らぬ人には距離をおき、警戒心をあらわにしますので、子犬の頃から、社交的な性格を引き出せるように育てることが必要です。
スルーギの特徴
スルーギは別名、「アラビアン・グレーハウンド」と呼ばれています。
細くスラリと引き締まった体型と、すましたような表情が特徴的で、頭部は、やや長く上品で繊細ですが、力強さがあります。
上から見ると、頭部は非常に長いくさび形をしており、スカルが最も幅広く、鼻の先端いかけて徐々に狭くなっています。
後頭部は際立って丸く、側面はなめらかにカーブしており、ストップ(両目の間にある、スカルとマズルの接続部のくぼみ)はほとんど目立ちません。
耳は、目線よりもわずかに高くつき、頭部に沿って垂れています。過度に大きくはない三角形で、先端はわずかに丸みを帯びています。
尾は細くしまっていて、静止時には先端が強くカーブを描いていることが特徴的です。
並はずれた動体視力と身体能力で狩猟を行っていた
スルーギは、並はずれた動体視力を持っており、砂漠地帯で、遥か遠くからガゼルや野ウサギなどの獲物の姿を捕らえると、優れた脚力で、一気に追いつめる狩猟を行っていました。
肋骨が大きく深い胸をしており、広い胸腔が確保できるため、強靭な肺活量があります。そのため、長距離を全速力で走り回れる高い心肺機能をもちます。

スルーギの毛色・目の色
スルーギは、超短毛で密に生えた細い被毛です。
毛色は、明るいサンドから、レッド・サンド(フォーン)までさまざまな色合いのものがあり、砂漠地帯で狩猟していたこともあり、砂漠の色に近いものが多いです。
ブラック・マスク、ブラック・マントル、ブラック・ブリンドル、ブラック・オーバーレイはある場合もない場合もあります。
スルーギの被毛はシングルコートで抜け毛が少なく、お手入れは簡単です。しかし、毛の生え変わりが周期が短いため、年間を通して抜け毛があります。お手入れは、ラバーブラシでマッサージするようにブラッシングしてあげましょう。
月1〜2回ほどのシャンプーで常に清潔に保つことも可能です。
スルーギの目は、大きく、色はダークです。表情は優しくやや悲しげで、郷愁の情を感じさせるところが特徴的です。
スルーギの鳴き声
スルーギは、家族に忠実で、時には飼い主や家族を守ろうとするため、見知らぬ人や犬に対して警戒心をあらわにし、吠えることがあります。
大型犬で声も大きいため、むやみに吠えないようにしつけや訓練が必要です。
また、警戒心が育つ前の子犬の時期に、家族以外の人や犬とたくさん触れ合い可愛がってもらうことが大切です。
ドッグランで一緒に遊んだり、しつけ教室などを利用するといいでしょう。
また、さまざまな経験をさせて、匂いや音などの刺激に触れさせることも効果的です。週末は、郊外などに出かけ、一緒に多くの体験をしてみてください。
スルーギの寿命・病気
スルーギの平均寿命は10歳〜15歳で、やや長命な犬種です。
関節炎:関節の炎症により痛みなどを生じる疾歳。スルーギは、関節の軟骨がすり減り痛みが生じる関節炎を発症しやすい犬種です。
症状には、歩くことを嫌がったり、歩き方に異常が生じることがあります。散歩中は正常な歩き方と異常のある歩き方を見分けられるように、日常的に歩き方を観察をしておきましょう。
肥満や、過度な運動、加齢などが原因で生じることが多いといわれています。肥満にさせないことはもちろん筋肉量の維持も大切です。
高齢期に入ってからは、動物病院と相談して関節用のサプリメントを使ってもいいでしょう。
皮膚疾患:細菌感染やアレルギーなどを原因とした皮膚疾患。スルーギの体は、暑さには強いですが、冬の寒さには弱く、体の抵抗力が落ちてしまいます。
抵抗力が落ちることで皮膚のバリア機能が落ち、真菌感染による皮膚炎や、脂漏症などの皮膚疾患を発症しやすいといわれています。
皮膚疾患は、重症化すると犬のストレスにもなりますので、早期に見つけて治療してあげましょう。
骨折、関節疾患:骨が折れたり、関節に負担がかかり炎症が起こる疾患。スルーギは、他のサイトハウンドと同様に骨折リスクが高い犬種です。
手足が長くスリムな体型であること、運動能力が高いため、自分の骨格の限界を超えて動いてしまうこと、早く走ったために事故にあうなど、さまざまな原因があります。
高いところから飛び降りたり、弱い力が慢性的に加わることでも骨折することがありますので、身体能力が高いからといって、無理させないようにしてください。

スルーギのしつけ・飼い方
スルーギは、砂漠地帯で生まれた優秀な狩猟犬でした。家庭犬として飼育するための飼育方法をご紹介します。
暑さに強く寒さに弱い
スルーギは、砂漠地方で生まれたため暑さには比較的強い犬種です。
しかし、日本の高温多湿な気候の、湿気は体温調節ができなくなるため、注意が必要です。湿度管理も欠かさず行うようにしてください。
また、スルーギは他のサイトハウンドと同様に、体脂肪が少なく寒さには弱い犬種です。
冬場は、洋服を着せたり、毛布をベッドに置いて、いつでも温まれる環境を整えてください。家でくつろぐことが好きな犬種ですので、快適に過ごせるようにしてあげましょう。
散歩に加えて野山に出かけて
スルーギは、身体能力が高く、運動量も豊富な犬種です。
毎日の散歩は1日2回、1回60分ずつ行うようにしてください。散歩はジョギングや自転車の並走がおすすめです。
散歩のみでは、スルーギの運動欲求や狩猟欲求を満たせない可能性があります。もともとは、砂漠地帯や山を駆け巡って狩猟を行っていたルーツをもつ犬種です。
週末は郊外の野山や広い場所に出かけ、体を十分に動かしてあげてください。
しつけや訓練はしっかり行って
スルーギは、神経質な気質で感覚も鋭いため、知らない人や音などの刺激に対して興奮することがあります。
子犬のうちに、興奮しても静止できるようにコマンドを覚えさせるなど、しつけや訓練が必要です。
スルーギは、飼い主には従順で、賢いためしつけを覚えることを得意としています。子犬の時から、信頼関係を築き、トレーニングを重ねるようにしてください。

スルーギの歴史
スルーギは、約2000年〜3000年前から存在していた犬種ですが、生い立ちに関してははっきりとわかっていません。
サルーキとは近縁と考えられています。
もともとは、北アフリカに住むベルベル人によって飼育されており、ウサギやガゼル、ダチョウなどの狩りに使われていました。
また、イスラム教において、犬は不浄な生き物として扱われ軽視されていますが、スルーギは例外でした。
飼い主の家族として扱われ、スルーギが亡くなると遺族は冥福を祈り、魂を天に送るために家族全員の頭髪、体髪をすべて剃り落として喪に付す儀式が行われていました。
現在では、この儀式は一部地域を除いて行われていませんが、このことにより、スルーギがいかに大切にされていたかがわかります。
2度の世界大戦によって頭数が激減してしまい絶滅寸前となりましたが、戦後わずかに生き残ったスルーギを集め保護したことで犬種を存続させました。
以降、年々頭数は回復していますが、依然として頭数は少なく原産地以外では、あまり見かけることのない犬種です。
スルーギの値段価格
スルーギは、日本においては非常に希少で、ほとんど見かけることがない犬種です。
ジャパンケネルクラブによると、2004年に6頭の犬責登録が行われて以降、登録は行われていません。ブリーダーを探すことも難しく、国内でスルーギを購入することは難しい状況です。
世界的にも難しい犬種ですので、輸入するとしても時間がかかる可能性がありますが、ペットの輸入代行業者を利用することで、現地のブリーダーとのやりとりを代行してくれます。
費用は一般的には、諸経費を含めて50万円程です。
スルーギは、高い身体能力と動体視力を備えた優秀な狩猟犬であり家庭犬です。興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。