スタンダード・ダックスフンドの基礎情報
・日本語表記:スタンダード・ダックスフンド
・英語表記:Standard Dachshund
・原産地:ドイツ
・発生:人為的発生
・種類:ダックスフンド
・サイズ:中型犬(24~27cm)
・体重:オス9kg~12kg、メス9kg~12kg
スタンダード・ダックスフンドの性格・特徴
スタンダード・ダックスフンドは、ドイツ語で「アナグマ猟犬」といわれる犬種です。
日本では、ミニチュア・ダックスフンドが人気ですが、ヨーロッパではスタンダードのダックスフンドが人気で、狩猟犬としても家庭犬としても親しまれています。
スタンダード・ダックスフンドの性格
スタンダード・ダックスフンドは、生まれつきフレンドリーな性格で活発な犬種です。
穴を掘ったり、小さなものを追いかけることや、嗅覚に優れていることなど、猟犬としての気質が残されています。
被毛タイプによっても性格の傾向が異なっており、スムースコートは頑固で負けず嫌い、ロングコートは明るく友好的、ワイアーコートは協調性に富んだ性格であることが多いようです。
スタンダード・ダックスフンドの特徴
スタンダード・ダックスフンドは、脚が短く胴が長い、引き締まった体をしており、非常に筋肉質で、短い足ながら、しなやかに素早く動くことができる運動能力の高い犬種です。
頭部は上や横から見ると、細長く、鼻の端に向かって均一に先細りになっています。眉のリッジ(逆毛)がはっきりしていて、鼻の軟骨と鼻筋は長細いです。
手足は十分に筋肉が発達しておりたくましく力強いです。
サイズは3種類に分類されています。
・スタンダードダックスフンド:胸囲35cmを超えるもの、体重9kg
・ミニチュアダックスフンド:生後15ヶ月を経過したとき胸囲30〜35cm
・カニーンヘン(カニンヘン)ダックスフンド:生後15ヶ月を経過したとき胸囲30cm
ミニチュア・ダックスフンドとは違うスタンダード・ダックスフンド
スタンダード・ダックスフンドは、大型犬のような落ち着いた面持ちと、パワーのある強さのある犬種です。
飼い主がしっかりと毅然とした態度でしつけを行わなければ、コントロールできない犬になる可能性もあります。
飼い主がリーダーシップをとり、しつけを行うことで、非常に人懐っこく、賢く勇敢な犬に成長します。
飼い主や家族に対しては甘えん坊で、物覚えも良く従順な犬種です。
スタンダード・ダックスフンドの毛色・目の色
スムース・ヘアー:短く、密に生えた被毛は光沢があり、なめらかな質感です。尾の被毛は細かく、豊富に生えています。
毛色は、単色の場合レッド、レディッシュ・イエロー、イエローがあります。いずれの色においても、黒毛が散らばっている(シェーデッド)がいます。
2色の場合は、地色は濃いブラック、またはブラウン(チョコレート)でそれぞれにタンまたはイエローの斑が目の上、マズル、下唇の側面、耳朶に縁の内側、前胸部、脚の内側、後部、足の上、肛門周り、尾の下側の3分の1か半分にみられます。
その他、ダッフル、タイガー・ブリンドル、ブリンドルがあります。
ロング・ヘアー:なめらかで光沢のある長毛で、ボディにぴったり接した下毛のあるダブルコートです。
喉の部分と、ボディの下部はさらに長くなっています。脚の後部にも明らかな飾り毛があり、尾の下側の毛がもっとも長く、フラッグ(尾を背と水平に上げると長い毛が三角旗のように垂れ下がるもの)を作ります。
毛色は、スムース・ヘアーと同じです。
ワイアー・ヘアー:マズル、眉、耳朶を除き、均一に密着しているワイアー(針金状の堅い被毛)の被毛が密に生えた上毛をもっています。下毛のあるダブルコートです。
顔には髭と眉がはっきりわかるように生えています。耳朶の被毛はボディよりも短く、ほぼなめらか、尾は均一に被毛が密に生えています。
毛色は、ワイルドボア(イノシシ色、明るい色から濃い入りまで)、枯葉色(ドライ・リーフ、デッド・リーフ)、さらにスムースヘアーのすべての色
スタンダード・ダックスフンドの鳴き声
スタンダード・ダックスフンドは、吠えぐせがつきやすい犬種です。
元々アナグマ猟のために生み出された犬種で、アナグマを見つけたら大きな鳴き声で、主人に知らせる役割でした。そのため、声が非常に大きく、室内で吠え続けるとうるさく感じます。
自己主張が強く頑固なところがあるので、地道にしつけを行う必要があります。
子犬の頃はやんちゃで落ち着きがないですが、年齢とともに気質は落ち着いていきます。子犬のうちに飼い主や家族以外の人と触れ合い、警戒心が強くならないように気をつけましょう。
日常生活で、他の犬と触れ合う機会がない場合には、しつけ教室に通うことで、社会性を身につけることができます。
スムースコートとワイアーコートのスタンダード・ダックスフンドは、ロングコートのスタンダード・ダックスフンドと比較すると、より自己主張が強く頑固なため、しつけが難しいといわれています。
スタンダード・ダックスフンドの寿命・病気
スタンダード・ダックスフンドの寿命は14歳〜17歳です。
元々長生きしやすい犬種ですが、最近では飼育環境や健康管理によって、平均よりも長生きすることも珍しくありません。
ワクチンアレルギー:ワクチン接種によってアレルギーを起こすこと。スタンダード・ダックスフンドは、他の犬種と比較して、ワクチン接種によりアレルギーを発症する頻度が高い犬種です。
一番多いアレルギー反応は、ムーンフェイスといった蕁麻疹による顔面の腫脹です。接種後5〜10分以内に発症するアナフィラキシーショックは、呼吸困難や血圧低下、ぐったりするなどの症状があります。
アレルギーの発症頻度は低く、一時的なものが多いため、よほどの理由がない限り、ワクチン接種が推奨されます。
アレルギーが心配な場合は、午前中の早い時間に接種し、15分程度は病院や病院の駐車場で体調の変化がないか観察してから帰宅するといいでしょう。
椎間板ヘルニア:椎間板が変形して突出し、脊椎の上にある太い神経を圧迫することで起こる疾患。スタンダード・ダックスフンドは、軟骨異栄養犬種であることから、椎間板ヘルニアに罹患しやすいといわれています。
軟骨異栄養犬種とは、遺伝性疾患により手足が極端に短く生まれてくることがあり、この遺伝子を元々もっている犬種のことをいいます。
そのため、スタンダード・ダックスフンドは、椎間板の早期編成を起こしやすく、一般的には老化で発症する椎間板ヘルニアが若いうちに発症したり、何ヶ所もの椎間板が同時に変性して症状を多すことで知られています。
椎間板ヘルニアの詳しい検査は、CTやMRI検査が必要になり、軽度の場合は、鎮痛剤などの投薬と安静にすることで症状の安定を図ります。重度で麻痺を起こしているときは、外科手術が行われますが、術後管理やリハビリが必要になります。
少しでも発症リスクを下げるためには、「肥満にさせない」「無理な姿勢を取らせない」「滑りにくい床材にする」などがあります。二本足で立たせたり、仰向けで抱いたり、脇だけを抱えて抱くことも控えましょう。
スタンダード・ダックスフンドのしつけ・飼い方
スタンダード・ダックスフンドは、日本でよく見かけるミニチュア・ダックスフンドとは異なり、非常にパワーのある優秀な元猟犬です。
腰に負担をかけないように運動は十分に
スタンダード・ダックスフンドは、非常に活発な犬種で、運動欲求が強い犬種です。
1日2回それぞれ60分程度を目安に散歩や運動をさせてあげましょう。椎間板ヘルニアのリスクが高い犬種ですので、背中や腰に負担がかからないように注意してください。
階段や段差を避けて歩くことも大切です。
狩猟欲求を満たすために、ボール遊びなどもおすすめです。十分な運動で欲求を満たしてあげると、家の中でも落ち着いて過ごせるようになります。
室内の飼育環境を整える
スタンダード・ダックスフンドは椎間板ヘルニアになりやすいため、飼育環境を整えてあげましょう。
ソファなどの段差になるものには、スロープを作り登りやすくします。普段歩き回る場所には、滑り止めのマットを敷いてあげます。
また、スタンダード・ダックスフンドは落ちているものを拾い食いしやすいところがあります。口にすると危険なものは下に置かず、薬なども十分に気をつけましょう。
日常ケアで健康管理
垂れ耳のスタンダード・ダックスフンドは、耳が蒸れやすく汚れも溜まりやすい犬種です。
ブラッシングの際に、耳も一緒にケアしてあげるといいでしょう。手前についている汚れは拭き取り、奥に見える汚れは、なるべく動物病院で掃除してもらうようにしましょう。
また、歯が大きくマズルが長いことから歯周病になりやすい傾向があります。長生きしやすい犬種ですので、いつまでも健康的な歯を保てるように、ケアをしてあげましょう。
耳も口元も、子犬のうちからケアすることで、嫌がらずに触らせてくれますので、動物病院の受診の際にも役に立ちます。
スタンダード・ダックスフンドの歴史
スタンダード・ダックスフンドは、別名「ダッケル」「テッケル」とも呼ばれ、中世の時代より知られていた古い犬種です。
古来より、小動物が住む地下での狩猟に適した犬が繁殖されていきましたが、スタンダード・ダックスフンドは、それらの短脚の犬たちから進化した犬種です。
祖先犬と推測されている犬種は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインター、ミニチュア・ピンシャー、バセット・ハウンドなどです。
最初に誕生したスタンダード・ダックスフンドは、短毛かつ大柄な体格をしていました。
スタンダード・ダックスフンドは、アナグマをヤブや穴から追い出したり、負傷したアナグマの捜索や追跡を行ったりするなど、非常に重宝されました。
1874年にドッグショーデビューした時には、「German Badger Hounds」という犬種名でした。その後犬種協会がイギリス、ドイツ、アメリカで次々と設立されました。
たちまち人気が高まると、「ロングヘアータイプ」「ワイヤータイプ」「ミニチュアタイプ」「カニンヘンタイプ」などが生み出されました。
スタンダード・ダックスフンドよりも小柄なミニチュア・ダックスフンドは、アナグマよりも小さな狐やうさぎの狩猟のために改良し作られたといわれています。
スタンダード・ダックスフンドの値段価格
スタンダード・ダックスフンドは、ミニチュア・ダックスフンドや、カニンヘン・ダックスフンドと比べると、日本では人気がないため、ペットショップで見かけることはありません。
また、街中でもあまり見かけない犬種です。
しかし、ブリーディングは国内で行われており、迎え入れることが可能です。
子犬の価格は、30万円前後で、ドッグショーのチャンピオンの血統も持つと40万円を超えることも珍しくありません。
販売されているスタンダード・ダックスフンドは、ロングコートが多いようです。
スタンダード・ダックスフンドは、アウトドアで体をたくさん動かしたい人や、大きな体に触れ合いたい人にぴったりの犬種です。
賢く、人懐っこいところは、ミニチュア・ダックスフンドと変わりませんのでスタンダード・ダックスフンドとの生活に興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。