
チベタン・スパニエルの基礎情報
・日本語表記:チベタン・スパニエル
・英語表記:Tibetan Spaniel
・原産地:チベット(中華人民共和国)
・発生:自然発生(不明)
・種類:愛玩犬
・サイズ:小型犬(19cm~25cm)
・体重:オス 4kg~7kg、メス 4kg〜7kg
チベタン・スパニエルの性格・特徴
チベタン・スパニエルは、飾り羽根のような尾を背負っているように見え、ネコのように気まぐれで飼い主を振り回す性格が憎めない、可愛らしい家庭犬です。
チベタン・スパニエルの性格
チベタン・スパニエルは、明るく陽気で社交的な性格です。
家族の小さい子供の良い遊び相手にもなってくれますが、見知らぬ人に対しては、よそよそしい態度をとります。
プライドが高く、自分で判断し行動するため、番犬向きの性格です。
しかし、初めて会った人や犬に対して警戒心を抱きやすく、強く吠えることがあるため、子犬のうちから社会性を身につけさせるようにしてください。
チベタン・スパニエルの特徴
チベタン・スパニエルは、背中に背負った飾りバネの尻尾、垂れ耳、厚みのあるずんぐりとしたマズルが特徴的です。
また、胴長短足の体のバランスで、頭部は体の大きさの割には小さくなっています。小さな頭に小さめのマズル、わずかなアンダーショットといった独特な顔つきをしています。
首は適度に短く、力強く、付け根がしっかりしています。
猫のような性格の犬
多くの犬は、群れでの生活に慣れているため、集団行動を好んでとりますが、チベタン・スパニエルは単独行動を好みます。
また気まぐれなところもあることから、ネコのような性格と形容されることが多く、飼い主は振り回されますが、それも可愛らしく憎めないという愛好家も多いです。
賢く、物分かりも良い犬種ですが、気分によっては指示に従わないことがあります。
そういった意味で若干のしつけにくさがありますが、子犬の頃から根気よくトレーニングを繰り返し行うようにしてください。

チベタン・スパニエルの毛色・目の色
チベタン・スパニエルの被毛は、上毛がシルキー(絹糸状)で頭部と足の前側の被毛はスムースで、ボディは適度な長さがありますが、どちらかというと平伏毛(平たく伏せた被毛)です。
細かく密に生えた下毛がある、ダブルコートです。
耳と前足の後ろ側の飾り毛は豊富で、尾と尻も長く豊富な被毛に覆われていますが、過度な毛量は好ましくないとされています。
メスの方がオスよりも被毛やメーン(首の後ろと横にある長く豊富な毛)が少なくなっています。
毛色は、あらゆる色が認められており、代表的な色は、フォーン、レッド、セーブル、ブラック、ゴールド、ブラック&タン、トライカラーがあります。
またこれらの色がミックスされた個体もいます。
チベタン・スパニエルの目は、色がダーク・ブラウンで、オーバル(たまご形)をしています。輝きがあり、表情が豊かです。
目はかなり離れてついていますが、しっかり前方を見据えており、目の縁はブラックです。
チベタン・スパニエルの鳴き声
チベタン・スパニエルは、警戒心が強く見知らぬ人や、初めて会う犬に対して強く吠えることがあります。
しかし、忠実で賢いため、普段はむやみに吠えることはなく、無駄吠えも少ない犬種です。
警戒心が強くならないように、子犬のうちから家族以外の人と触れ合う機会を作ることが大切です。散歩中に出会った人や、自宅の来訪者などにたくさん可愛がってもらい、社交的な性格をどんどん引き出してあげましょう。
他の犬と、触れ合う機会が少ない場合には、社会性を身につけるためにも、しつけ教室に通うこともおすすめです。
子犬の時はフレンドリーでも、成長と共に警戒心が強くなる傾向がありますので、しつけや訓練は継続して行うようにしてください。
チベタン・スパニエルの寿命・病気
チベタン・スパニエルの寿命は12歳〜15歳で、比較的遺伝性疾患が少ない健康的な犬種です。
軟口蓋過長:喉の手前にある軟口蓋が生まれつき長いために呼吸が妨げられる疾患。
「大きないびき」「口を開けたままの呼吸」「フードや水が飲み込みにくい」などの症状があり、重症の場合には、呼吸困難になります。
内科的治療では根治できず、重症の場合には手術で軟口蓋の一部を切除します。
この疾患は先天的な形態異常が原因であることが多く予防が難しいとされています。肥満になると軟口蓋が厚くなることがあります。
気管虚脱:気管支軟骨の変形によって呼吸が荒くなったり咳をする疾患。チベタン・スパニエルは、潰れたマズルのため、生まれつき呼吸器が弱い犬種です。
丸い管状をしている気管の周りを軟骨が取り巻いており、通常は、この軟骨が丸い筒状を維持しています。
気管虚脱になると丸い筒状を維持できなくなるため、咳が出たり、ガーガーという異常な呼吸音がなります。また、場合によっては呼吸困難を起こすこともあります。
興奮したり、運動時に悪化することが多く、呼吸困難になると舌が真っ青になるチアノーゼがみられるため注意してください。
ほかにも肥満によって発症リスクが上がります。治療法には、気管支拡張剤を使用したり、重症の場合には手術を行うこともあります。

チベタン・スパニエルのしつけ・飼い方
チベタン・スパニエルは、元気で陽気な性格ですが、家族以外にもフレンドリーになるよう育てることが、飼いやすさのポイントです。
成長と共に警戒心が強まる
チベタン・スパニエルは、子犬の時にはフレンドリーで警戒心を抱きにくい犬種です。
明るく陽気で可愛らしい見た目なので、甘やかしてしまったり、あまり散歩に連れて行かなかったり、家族以外の人や犬と触れ合う機会が少ないと、神経質な性格になります。
成長とともに警戒心が強まると、小さな刺激にも反応して吠えやすくなります。
子犬のうちから、さまざまな経験をさせ、刺激に慣れさせること、家族以外の人や犬と積極的に触れ合うことが大切です。
しつけ教室に通うことを検討してもいいかもしれません。
運動量は多くないがたくさん触れ合って
チベタン・スパニエルは、運動量がそれほど多くはなく、関節も弱いため、毎日の散歩は朝夕15分〜30分ずつ行ってください。
しかし、活発な性格のため、家の中でおもちゃやボールで一緒にたくさん遊んであげてください。
関節に負担をかけないように、室内の飼育環境は、滑り止めマットを敷いたり、段差にはスロープをつけてあげるといいでしょう。
肥満を予防して健康管理
チベタン・スパニエルは、短頭種特有の潰れたマズルをもつ犬種で、このマズルのために、呼吸器疾患になりやすいので注意が必要です。
肥満は、さまざまな疾患の発症リスクをあげますが、呼吸器疾患も同様です。
また体重が増えることで、関節への負担も増えるため、肥満を予防することが健康管理の上で重要な犬種です。
年齢ごとに必要な栄養バランスやカロリーが異なりますので、それぞれの時期にあったフードを与えるようにしてください。
とくに、避妊、去勢手術の後は代謝が下がり、太りやすくなります。体重が増えてきたら、動物病院と相談しながら、ダイエットフードに変更することを検討してみてください。

チベタン・スパニエルの歴史
チベタン・スパニエルは紀元前から存在していたと考えられている、非常に古い歴史をもった犬種です。
一説によれば、紀元前1000年前から存在していたのではないかと推定されています。
容姿が仏の化身である獅子に似ていることから、所有者に福をもたらし、魔除けなる犬として、チベットの僧院で飼われ、大切にされてきました。
伝説によると、チベタン・スパニエルは、回すことで功徳を得られるとされる「マニ車」を回し続けるようにしつけられたともいわれています。
また、外交の贈り物や、高貴な人への贈り物にも使われてきました。
こうして、チベタン・スパニエルは門外不出の犬の犬として大切に飼育され、他犬種との交雑が起こることなく、純粋に血統が守られてきました。
初めて、ヨーロッパに輸出されたのは1898年のことでした。
しかし、発情期が少ない特徴をもつチベタン・スパニエルの繁殖は難しく、20世紀半ばまで世界的に希少種とされてきました。
門外不出の犬として飼育されてきた背景から、歴史が古いにもかかわらず公認を受けたのは遅く、イギリスでは1960年代、アメリカでは1980年代のことでした。
現在、ペギニーズやシー・ズーに人気はおよびませんが、安定した人気と個体数を維持している犬種です。
チベタン・スパニエルの値段価格
チベタン・スパニエルは、日本ではまだ数が少ない犬種ですが、毎年犬籍登録は行われており、例年30〜50頭ほどが登録されています。
ブリーダーも少ないですが、存在しています。ただし、チベタン・スパニエルは、発情期が少ないことから繁殖が難しく、購入可能な子犬の数は少ないです。
早めの予約などで、迎え入れる準備をするといいでしょう。
価格は25万円〜40万円ほどで、チャンピオンの血統をもつ場合はさらに高価になります。
チベタン・スパニエルは、街中でもよく見かける代表的な犬種で、気温的には初心者でも飼育しやすい犬種です。
チベタン・スパニエルは、日本では数が少ない犬種ではありますが、潰れたマズルと大きな瞳と垂れ耳は、日本人にとっては馴染み深い容姿で、親しみをもちやすいのではないでしょうか。
興味を持ち飼育を検討されている方は、迎え入れる前にぜひ本記事を参考にしていただければと思います。