
スパニッシュ・マスティフの基礎情報
・日本語表記:スパニッシュ・マスティフ
・英語表記:Spanish Mastiff
・原産地:スペイン
・発生:人為的発生
・種類:使役犬
・サイズ:大型犬(72~88cm)
・体重:オス90kg~100kg、メス52kg~77kg
スパニッシュ・マスティフの性格・特徴
スペイン原産の牧畜犬の中で、もっとも大きな体を誇るスパニッシュ・マスティフは、スペインの国犬に指定されており、国内で高い人気があります。
スパニッシュ・マスティフの性格
スパニッシュ・マスティフは、優しく愛情深い性格で、家族に甘えることが大好きな犬種です。
小さい頃からきちんとしつけることで、小さな子供や小動物とも仲良く遊ぶことができます。聡明で自信があり、気高い気質です。
家族に危険が迫っていると感じた時は、果敢に敵に挑もうとする勇敢さもあります。
家族を守りたいという気持ちが強すぎて、警戒心が強くなる時があるため、小さい時からさまざまな刺激に慣れさせるといいでしょう。
スパニッシュ・マスティフの特徴
スパニッシュ・マスティフは、大きな体で、120kgを超える大きさの個体もいます。
引き締まった筋肉質な体つきで、頑強な骨格を持ち、知性を感じさせる表情が特徴的です。生後6ヶ月〜8ヶ月で45kgほどになり、成犬としての体格が完成するまでに4年〜5年かかります。
頭が大きくどっしりとした体格で、温厚な性格を表すような素朴で愛嬌のある容姿をしています。
耳は垂れ耳で、ふさふさした尾が垂れています。首元には「デューラップ」と呼ばれる皮膚のたるみがあります。
「デューラップ」と呼ばれる首のたるみ
超大型犬のスパニッシュ・マスティフは、護衛犬として優れた能力を発揮し、オオカミや泥棒から羊の群れを守り続けていた犬種です。
特徴的な外見のひとつである、喉元にある皮膚のたるみは「デューラップ」といいます。
オオカミなどの外敵と戦うこともあったため、喉などの急所を守るためにできた「たるみ」といわれています。
普段は温厚な性格ですが、超大型犬で、力も強いことから誰でもどこでも飼育できる犬種ではありません。

スパニッシュ・マスティフの毛色・目の色
スパニッシュ・マスティフの被毛はスムースコートで中くらいの長さ、毛色はどのような色でも許されています。
一般的にはフォーンやクリームの単色やブリンドル、稀にホワイトのパッチ(斑)やブラックマスクがある場合もあります。
被毛の手入れは、週に1〜2回のブラッシングで十分ですが、換毛期は抜け毛が増えるため丁寧にブラッシングをして皮膚病を予防しましょう。
シャンプーをトリミングサロンに依頼するときは、事前に大型犬の受け入れが可能か確認することをおすすめします。
スパニッシュ・マスティフの鳴き声
スパニッシュ・マスティフは番犬として活躍してきたので、遠くまで響く低い鳴き声をしています。
普段は温厚で静かに過ごしていますが、害獣や不審な人物に対しては、家族を守りたいという一心で、吠えることがあります。
訓練やしつけによって、無駄吠えをなくすことはできます。しかし、吠えるようになってしまうと、近隣トラブルになってしまうため、集合住宅地での飼育は不向きな犬種です。
子犬の頃に甘やかしてばかりいると、神経質な性格になったり、警戒心が強くなることがあります。子犬の時から、毅然とした態度で、一貫性のある指示を出し訓練を行いましょう。
吠えた時には、飼い主の指示ですぐにやめさせられるように、指示を聞ける訓練も行いましょう。
スパニッシュ・マスティフの寿命・病気
スパニッシュ・マスティフの寿命は、10歳から11歳前後で、14歳まで長生きする場合もあり、超大型犬としては長生きな犬種です。
股関節形成不全:股関節が正常に形成されず、歩行に異常が現れる疾患。大型犬に多い疾患ですが、その中でもスパニッシュ・マスティフは注意が必要です。
この疾患の原因は、遺伝性、肥満や関節に負担をかけるような激しい運動があります。スパニッシュ・マスティフは、急速に体が大きくなるため、関節に負担がかかりやすいことから発症リスクが高いです。
成長期に発症することが多いため、歩き方に異常を感じたら、動物病院へ早めに連れて行き、予防として、成長期には、肥満にさせない、激しい運動をさせないなど、気をつけてあげましょう。
関節炎:関節に負担がかかり炎症が起こる疾患。スパニッシュ・マスティフは体が非常に大きな犬種のため、関節に負担がかかりやすいです。
肥満にさせない、加齢に伴う筋力の低下も、発症リスクを高めます。関節をケアできる、サプリメントや、療法食もあるため、気になる方は、動物病院に相談しましょう。
筋肉量を維持できるように、タンパク質を摂取したり、運動量が少なくならないように気をつけてあげましょう。
外耳炎:外耳に炎症が起こる疾患。スパニッシュ・マスティフは垂れ耳のため、日常的に好発する疾患のひとつです。耳の様子は日常的に確認し、耳の穴に近い部分の汚れは拭き取ってあげます。
耳の汚れが目立つ、耳を痒がり擦り付ける、頭を振るなどは耳に違和感がある可能性があるため動物病院で診てもらいましょう。

スパニッシュ・マスティフのしつけ・飼い方
スパニッシュ・マスティフは、温厚で優しい性格ですが、すぐに大きくなってしまう犬種です。体が大きく、力が強いため、家に迎え入れたらすぐにしつけを開始しましょう。
体力があり散歩が好き
スパニッシュ・マスティフは、広い農場や牧場の護衛犬として働いていたルーツを持っています。
そのため、スタミナが豊富で散歩が大好きです。毎日1日2回1時間ずつ散歩に連れていってあげましょう。
スパニッシュ・マスティフは、牛や羊を追いかけるような仕事ではなく、護衛を行っていたため、活発に走り回るようなことはしていませんでした。
そのため、激しい運動は必要としておらず、時間をかけて歩く散歩を好みます。散歩の時には、リードトレーニングにより服従訓練を行いましょう。
成犬になると大人の男性でも、コントロールが難しくなるため、小さいうちに訓練は完了させておいた方がいいでしょう。
ブラッシング以外の日常ケア
スパニッシュ・マスティフの被毛ケアは、普段は週に1〜2回程度のブラッシングなので、比較的簡単です。
しかし、よだれが垂れやすい犬種ですので、こまめに拭くなど、口元を清潔にしなければ、ニオイのもとになってしまいます。常に清潔に保ってあげましょう。
また、垂れ耳なので、耳に汚れや匂いがこもりやすいため、定期的な掃除が必要になります。
奥の方は無理して掃除すると、耳を痛める可能性があるため、動物病院で掃除してもらった方がいいでしょう。
関節に負担をかけないように注意
スパニッシュ・マスティフの特徴に、成長スピードの速さがあげられます。
一般的に、超大型犬や大型犬は、中型犬以下の犬種よりも早いスピードで成長します。
この犬種は、さらに早いスピードで成長するため、生後半年で成犬と変わらないほど大きくなり体重も45kgまで増加します。
急速に体重が増加すると、膝や股関節に負担がかかります。そのため、股関節形成不全や関節炎に注意が必要です。
とくに生後6〜10ヶ月の間は、激しい運動をしないようにしましょう。
成長期なので適切な食事量を与える必要はありますが、肥満にならないように気をつけましょう。関節炎のリスクがさらに高まります。

スパニッシュ・マスティフの歴史
スパニッシュ・マスティフの起源は、紀元前2000年頃にフェニキア人がイベリア半島に持ち込んだ犬種といわれています。
この犬種はモロサスタイプの犬で、護畜犬として改良したあと、土着犬と交配させて作られたと考えられています。
古代ローマ人の詩人であるウェルギリウスの詩集にスパニッシュ・マスティフに関する記述が残っています。
主な仕事は、牛や羊などの家畜をオオカミや泥棒から守る護衛犬でした。
家畜をオオカミや泥棒から守るために働いていましたが、力が強いという特徴を活かして、イノシシ狩りにも使われるようになりました。
第二次世界大戦の戦禍によって他の犬種同様に大きな被害を受けましたが、愛好家たちの手によって保護されていたため、絶滅することはありませんでした。
戦後には、優しい性格をより引き出すための改良が行われ、コンパニオンドッグやショードッグとして飼育されるようになります。
国際畜犬連盟FCI ( Fédération Cynologique Internationale ) に公認されると、スペイン以外の国に輸出され、世界各地で犬種クラブが設立されました。
現在では、スペインの国犬に指定されています。
体の大きさや力の強さから、家庭犬として飼育されることが少なく、スペイン以外の国々では、あまり多くは飼育されていません。
スパニッシュ・マスティフの値段価格
スパニッシュ・マスティフは、世界的に見ても希少な犬種です。日本においても、大変珍しい犬種で、ブリーダーも限られています。
ブリーダーから子犬を購入する場合には、価格はおよそ13万円〜30万円といわれていますが、おそらく簡単には入手できないでしょう。
どうしてもこの犬種を購入したい場合は、海外のブリーダーから輸入する形になります。
諸経費や送料を含め、30万円〜50万円ほど見積もっておくといいでしょう。
スパニッシュ・マスティフに興味がある方は、まずはジャパンケネルクラブが開催するドッグショーで情報を集めてみるといいかもしれません。
体が大きく力もあることから、簡単には飼育できる犬種ではありませんが、性格は優しく賢く魅力的な犬種です。ぜひ本記事を参考にスパニッシュ・マスティフについて学んでいただければと思います。