スパニッシュ・ウォーター・ドッグの基礎情報
・日本語表記:スパニッシュ・ウォーター・ドッグ
・英語表記:Spanish Water Dog
・原産地:スペイン
・発生:人為的発生
・種類:ポインター/セター以外の鳥猟犬
・サイズ:中型犬(40cm~50cm)
・体重:オス 18kg~22kg、メス 14kg~18kg
スパニッシュ・ウォーター・ドッグの性格・特徴
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、モコモコとぬいぐるみのような可愛らしい容姿と、賢く愛情深い性格が家庭犬として非常に人気な犬種です。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグの性格
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、陽気で明るく、温和な犬種です。
家族に対しては愛情深く、社会性と協調性をもち合わせています。警戒心はしっかりあるため、見知らぬ人が必要以上に近づいてきた場合には吠えたてることがあります。
賢く、高い理解力を持っており、飲み込みも早いため、比較的しつけしやすい犬種です。
人の役に立ったり、飼い主を喜ばせたり、訓練されることが大好きな性格なので、頭を使うゲームや、トレーニングを含めた運動を得意としています。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグの特徴
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、素朴な容姿でバランスが取れており、筋肉がよく発達しています。
長頭タイプで、やや長めで調和の取れた体型と魅力的な外見をしています。モコモコとしたぬいぐるみのような容姿が特徴的です。
山間部で飼育されていたことから、足腰が強く、泳ぎも得意なマルチに活躍する優秀な犬種です。
泳ぎが得意なマルチに活躍する優秀な犬種
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、その名前の通り泳ぎが得意な犬種です。
中には水中3メートルまで潜れる個体もいるといわれています。水の中で縄を引っ張ったり、水中の獲物を回収したりと、漁師に重宝されていました。
この犬種の被毛は、脂を含んだ巻き毛で、耐水性があり、すぐに乾く特徴があります。また、山間部で鍛えた強い足腰もあり、救助犬や探知犬など、どのような仕事もこなすマルチで優秀な犬種です。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグの毛色・目の色
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、モコモコとしたぬいぐるみのような被毛が特徴的です。
脂分を含んだ巻き毛は、同じような見た目のプードルとは触り心地とは異なりますが、耐水性もあり、水が乾きやすい特徴があります。
基本的にブラッシングをしてはいけないといわれていますが、脇や耳の後ろなど、絡まりやすい部分は指でほぐしてあげましょう。
抜け毛がほとんどないため、定期的なトリミングはほとんど必要ありませんが、被毛が伸びてくると縄状になり手入れが大変になるため、2〜3年に一度丸刈りにする風習があるようです。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグの毛色は、単色だとホワイト、ブラック、チェスナット、バイカラーにはホワイト・アンド・ブラックかホワイト・アンド・ブラウンが認められています。
トライカラー、ブラック・アンド・タン、ヘーゼル・アンド・タンは、ジャパンケネルクラブでは認められていません。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグの鳴き声
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、警戒心があり、見知らぬ人や犬が必要以上に近づこうとすると吠えたてることがあります。
鳴き声は、力強く甲高いため、近隣トラブルにならないようにしっかりとトレーニングが必要です。しかし、普段は温和で、賢い犬種のため、むやみに吠えることはないでしょう。
賢く、飼い主が喜ぶことをしたい欲求が強いため、しつけや訓練は行いやすいといわれています。
強い警戒心を育てないように、子犬の時になるべく多くの人に可愛がってもらうといいでしょう。初めての場所にも連れて行き、いろいろな経験をさせ、刺激に慣れさせてあげます。
社会性と協調性のある犬種のため、友好的な性格を引き出してあげましょう。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグの寿命・病気
スパニッシュ・ウォーター・ドッグの寿命は12歳〜14歳で、中型犬としては平均的な寿命です。
犬種特有の遺伝性疾患や、命に関わるような疾患は少ないことから丈夫で比較的長命な犬種です。しかし、胴長短足の体型から、関節疾患には注意してください。
股関節形成不全症:股関節の異常から歩き方に異変が現れる疾患。股関節形成不全は、大型犬に多く発症する疾患ですが、中型犬のスパニッシュ・ウォーター・ドッグも発症しやすいといわれています。
元々山間部で飼育され、起伏がある土地での移動をものともしない丈夫な足腰を持っている犬種です。ほとんどが、遺伝的に発症するといわれている疾患ですので、ブリーダーから迎え入れる際には、遺伝子検査の確認をするようにしてください。
散歩中に歩き方を観察し、「横座りをする」「腰を振るようにして歩く」「段差の昇り降りを嫌がる」「立ち上がるのに時間がかかる」などの様子が見られたら、動物病院に相談してみるといいでしょう。
初期段階であれば、運動方法の指導や、サプリメントの処方などの栄養指導によって進行を遅らせたり、症状の改善が期待できます。他の関節疾患と同様に、肥満は発症リスクを高めますので、十分に注意してください。
皮膚炎:細菌や真菌感染やアレルギーなどが原因で発症する皮膚疾患。スパニッシュ・ウォーター・スパニエルは、脂の含んだ被毛をもち、また、抜け毛が重たく抜け落ちずに残ることがあります。
そのため、皮膚が蒸れることで皮膚のバリア機能や免疫力が低下し、元々皮膚に常在している黄色ブドウ球菌などが皮膚に侵入し、増殖することで細菌感染を起こします。
他にも、かゆみや炎症を伴うアレルギー性皮膚炎など、命には関わりませんが、治療が長期化する慢性的な皮膚疾患になることもあります。
外耳炎:鼓膜から耳の穴までの外耳の炎症。スパニッシュ・ウォーター・ドッグは垂れ耳に加え、被毛に覆われていることから、耳が蒸れやすい犬種です。
「頭をよく振る」「耳の後ろ側をよく掻く」「耳から臭いがする」などの症状があると、外耳炎を発症している可能性があります。
水に入ることが好きな犬種ですが、入った後も耳などもよく拭いて清潔に保ってあげましょう。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグのしつけ・飼い方
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、マルチに活躍する優秀な犬種です。被毛が特徴的であったり、警戒心も持っているため、家庭犬として適した飼育方法をご紹介します。
仕事が好きでエネルギッシュな犬種
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、牧羊犬や災害救助犬など、過酷な環境でも仕事をこなす優秀な犬種です。
山間部で飼育されていたことから、強い足腰を持ち、体力もありエネルギッシュです。家庭犬として飼育する場合、豊富な運動量の確保に加え、仕事をこなしたい欲求を満たしてあげることが必要です。
散歩は毎日朝夕30分〜60分ずつと、ドッグランなどで自由に走る時間を作ってあげてください。週末は、アウトドアなど、野山や登山など一緒に楽しむこともおすすめです。
理解力が高く飲み込みが早い
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、賢く、飼い主の指示を理解する力に富んでおり、しつけや訓練しやすい犬種です。
飼い主のために仕事をしたり、喜ばせることが好きなため、仕事を与えて上手にできたら褒めてあげると喜ぶでしょう。
やや警戒心が高く、吠えやすいところもあるので、子犬のうちからしつけをするようにしましょう。
名前の通り泳ぎや水場が大好き
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、名前の通り水や泳ぐことが大好きな犬種です。
水辺で遊べないと、ストレスが溜まってしまうことがあるようです。とくに夏場は自宅にドッグプールを設置したり、週末は河原に遊びに行くといいでしょう。
ただし、水遊びの後は、耳に水が残っていないかチェックして、外耳炎のケアをしてください。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグの歴史
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、イベリア半島に大昔からいる犬種で、起源については、ほとんどのことがわかっていません。
この犬種はアンダルシア地方に多く生息しており、ここでは牧羊犬として使用されていました。何世紀もの間、トルコの犬として知られていました。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、さまざまな仕事をするために使われていました。
牧羊犬としては羊やヤギなどを誘導し、季節によってはスペインの北と南を行き来し、牧草地を移動する際に、1日に何キロメートルもの距離をかけつづけました。
また、その際は、家畜がはぐれないように的確に誘導していた、優秀な犬種です。
農場では、泥棒や害獣から作物を守るために番犬として働いていました。猟犬種ではないため、狩猟本能は決して高くはなく、ネズミやウサギなどは仕留めることができました。
漁師には、水中作業犬として使われました。泳いで網を設置したり、水中に落としてしまったものを回収することから、潜水も上手にできました。さらに、海上で撃ち落とされた鳥を、泳いで回収することもできます。
このほか近年では災害救助犬としても活躍している、非常にマルチな能力を発揮している犬種です。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグの値段価格
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、可愛らしい容姿と、高い作業能力を持った優秀な犬種ですが、スペイン以外ではめったに見かけることのない珍しい犬種です。
日本においても、2005年にわずか1頭犬籍登録されたのみの希少な犬種です。
この犬種を日本で飼育したい場合には海外からの輸入が必要です。
ペット輸入代行業者を介して輸入する場合、現地のブリーダーとやりとりを代行してくれますが、費用は一般的に諸経費を含めて50万円程度といわれています。
ただし、本犬種のように希少な場合、迎え入れるまでの期間や費用が異なる可能性があります。
スパニッシュ・ウォーター・ドッグは、その特徴的な容姿からドッグショーでも活躍しています。
興味をもたれた方は、ドッグショーに足を運ばれてもいいかもしれません。その際には、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。