アフガン・ハウンドの基礎情報
・日本語表記:アフガン・ハウンド
・英語表記:Afghan Hound
・原産地:アフガニスタン
・発生:人為的発生
・種類:視覚ハウンド
・サイズ:大型犬(60cm〜74cm)
・体重:オス 26kg~34kg、メス 26kg〜34kg
アフガン・ハウンドの性格・特徴
アフガン・ハウンドは、紀元前四千年前からいたと考えられている、世界最古の犬のひとつです。華やかさと優美さに加え、力強さを併せもつ、唯一無二な魅力をもつ犬種です。
アフガン・ハウンドの性格
アフガン・ハウンドは、繊細で感覚が敏感な犬種です。
威厳があり、感情を表に出さないため、よそよそしく感じることもあります。自立心と独立心が強く、毅然とした態度で、人に媚びることがないところが特徴的です。
飼い主や家族には懐き、子供にも優しいですが、一緒にはしゃいだりすることはありません。
気性は穏やかで、利口ですが、気分屋で従順とは言い難い性格です。プロのトレーナーでもしつけは難しく、指示に従うよりも自分で判断したい犬種です。
アフガン・ハウンドの特徴
アフガン・ハウンドは、力強さと威厳のある表情をしており、スピードとパワーがあります。頭部は気高く掲げられていることが特徴的です。
長すぎず狭すぎないスカルと、はっきりとしたオクシパッド(後頭部)をもち、バランスがとれ、長い冠毛があります。
ストップ(両目の間にある、スカルとマズルの接続部のくぼみ)はわずかです。
耳は低く後方に、頭部に沿ってついており、長くシルキーな被毛におおわれています。前後の脚は長く、筋肉が発達し力強さがあります。なめらかで弾力のある優雅な歩き方をしています。
尻尾の先端が巻かれ輪をつくる「リングテール」をもっています。
砂漠や山岳地方を駆け巡るのに適した体
特徴的な容姿をもつアフガン・ハウンドですが、砂漠や山岳地方を駆け巡るのに適した体型をしています。
腰の高い長い脚、寒暖差が50度にもなる気候に順応できるように、通気性と保温性を兼ね備えた独特の発達を遂げています。
脚は長く、筋肉質で、膝も柔軟で、山岳地帯を駆け回る脚力があります。
アフガン・ハウンドの毛色・目の色
アフガン・ハウンドの被毛は、あばら、前足、後ろ足、ひばら(側腹部)の部分は、長くたいへん細いです。
成犬では、肩の後ろからサドル(背の鞍部)に沿って、被毛は短く、ボディに密着しています。前頭部から後部に向かって、長く際立つシルキーな冠毛があります。
前顔部の被毛は短く、耳や脚の被毛は豊富です。
アフガン・ハウンドの被毛は、アフガニスタンの寒暖差50度にもなる厳しい気候に、順応できるように発達したもので、通気性と保温性を兼ね備えています。
美しい被毛を維持するためには、毎日の丁寧なブラッシングが欠かせません。
アフガン・ハウンドの毛色は、あらゆる色がありますが、主にクリーム、レッド、ブラックが多いです。
目の色はダークなものほど良いとされていますが、ゴールデンカラーもあります。形は、三角形に近く、目頭から目尻にかけてわずかに上向きに傾斜しています。
アフガン・ハウンドの鳴き声
アフガン・ハウンドの鳴き声は、低く威厳を感じさせます。
普段は穏やかで、感情を表に出すことが少ないため、吠えにくい犬種です。体が大きく、少し吠えただけでも迫力があるため、散歩中など、他の人に対して吠えないようにしましょう。
アフガン・ハウンドは、服従心が低く、しつけが難しいといわれている犬種のため、プロのトレーナーに訓練を依頼することも必要です。
自宅でも、根気よく訓練を行うようにしてください。
アフガン・ハウンドの寿命・病気
アフガン・ハウンドの寿命は12〜14歳で、大型犬としてはやや長い寿命です。
白内障:水晶体の一部もしくは全体が白く濁る疾患。アフガン・ハウンドは、若年性の白内障を発症しやすい犬種です。
若年性白内障は、先天的な疾患で、生まれた時から水晶体に濁りがあり、視力が著しく低くなる症状があらわれます。
生後数週間〜2歳で発症することが多い疾患です。遺伝性疾患のため、予防法はありません。子犬を迎え入れる際に、親犬の病歴や、遺伝子検査を確認するようにしてください。
股関節形成不全:股関節の異常により、歩行困難を生じる疾患。股関節形成不全は大型犬に多い疾患で、アフガン・ハウンドにも注意が必要です。
主な原因に遺伝的要因が考えられていますが、成長期の過度な運動が発症リスクをあげる可能性があります。
アフガン・ハウンドは、小型犬や中型犬と比較すると、ゆっくりと成長し、15ヶ月から18ヶ月の時間をかけて成犬になります。
この期間は、股関節に負担をかけるような飛んだり跳ねたり、高いところから飛び降りるような運動を控えるようにしてください。
拡張型心筋症:心臓の筋肉に異常が起こることで心臓の昨日が低下する疾患。
拡張型心筋症も、体の大きな大型犬に多くみられる疾患です。比較的オスの方が発症率が高いといわれています。
初期症状はほとんどなく、動物病院の受診時に心雑音が聞こえる程度ですが、次第に元気や食欲がなくなります。運動を嫌がるようになったり、咳が出ることもあります。
重症化した場合は、胸水によって胸を大きく膨らませる呼吸をしたり、肺水腫によって呼吸困難やチアノーゼが認められます。
最終的には、心臓の機能が衰え命に関わる疾患です。高齢期に入る前から、健康診断のタイミングで、心臓エコーや胸部レントゲン検査を行うと、早期に発見できるでしょう。
アフガン・ハウンドのしつけ・飼い方
アフガン・ハウンドは、唯一無二の美しく優雅な容姿が魅力的な犬種ではありますが、犬に珍しく服従心が低いため、飼い主には高い訓練レベルが求められる犬種です。
抜け毛は少ないがお手入れには時間も費用も要する
アフガン・ハウンドは、長毛ですがシングルコートのため、抜け毛は少なく、換毛期でもそれほど多くの抜け毛はありません。
しかし美しい被毛を保つためには毎日のブラッシングが欠かせず、シャンプーも自宅で行うことが難しいため、トリミングサロンを利用することになります。
大型犬で、時間も費用もかかりますので、十分に理解した上で迎え入れる必要があります。
運動量が非常に多く毎日の散歩が必須
アフガン・ハウンドは、かつては猟犬として砂漠や山岳地帯で獲物を追いかけていました。そのため、運動量は非常に豊富で、走ることも大好きです。
散歩は1日2回、1回につき1〜2時間ほどかけランニングも加えながら行ってください。
広い場所を自由に走ることが好きですが、猫などの小動物を見ると反射的に追いかけることがあるため、オフリードにしない方がいいでしょう。
運動不足により、ストレスが溜まると、猟犬としての本能がでやすくなり、問題行動を起こすことがあるため、十分な運動を欠かさないようにしてください。
服従心がなく訓練は難しい
アフガン・ハウンドは、独立心が旺盛で服従心が低く、自分で判断して行動することを好む犬種です。
しつけや訓練をしても、人に従わないことが多いため「世界一頭の悪い犬」という不名誉な異名をもちますが、これは知能というよりも服従心の問題です。実際に、アフガン・ハウンドは賢く利口な犬種です。
意に反した命令に従うことを嫌うため、根気よく時間をかけてしつけをするようにしてください。
アフガン・ハウンドの歴史
アフガン・ハウンドの祖先犬は、ペルシャのサルーキであると推測されています。
北方の山岳地帯の寒冷な気候に適応し、長く分厚い被毛をもっています。山岳地帯で、ウサギやガゼル、ヒョウなどを狩るほか、遊牧民の家畜を外敵から守る番犬として活躍していました。
現在でも、アフガニスタンでは、実用犬として狩猟や護衛に用いられています。しかし、近年では戦争による影響でアフガン・ハウンドの減少が危惧されています。
1900年初旬に初めてアフガン・ハウンドがイギリスに到着しました。
そのうちの1頭である「Zardin」という名前の犬は、1907年にロンドンで開催されたドッグショーに出場し、その華々しいスタイルによって人々を魅了しました。
実際に、その後のアフガン・ハウンドの基となったのは、1920年代にイギリスにきた「ガズィーニ」という犬です。
1920年代以降、人気が高まり、1926年にケネルクラブに登録されています。
現在では、美しく優雅な被毛を持ったショードッグタイプと、実用性を求められる狩猟タイプが存在しています。
アフガン・ハウンドの値段価格
アフガン・ハウンドは、日本でも数は少ないですが飼育されており、ジャパンケネルクラブによると、毎年50〜100頭ほどの犬籍登録が行われています。ブリーダーもいますので、国内で購入できる犬種です。
子犬の価格は40万円前後で、チャンピオンの血統をもっているとさらに高価になります
特徴的な被毛やサイトハウンドの特性をもつ、アフガン・ハウンドの飼育には、お世話に費やせる時間や労力、犬の訓練に関する高い知識が求められます。
迎え入れる際には、親犬の気質や兄弟犬とのふれあい方など、確認するといいでしょう。
アフガン・ハウンドに興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考に本犬種について知っていただければと思います。