
アザワクの基礎情報
・日本語表記:アザワク
・英語表記:Azawakh
・原産地:マリ共和国およびニジェール北部国境
・発生:人為的発生
・種類:視覚ハウンド
・サイズ:大型犬(61cm〜74cm)
・体重:オス 15kg~25kg、メス 15kg〜25kg
アザワクの性格・特徴
アザワクは、ガゼルや野ウサギ、ダチョウなどを狩り、ハイエナやライオンなどを撃退するサイトハウンドとして活躍していました。
遊牧民の家族の生活にとって非常に重要な存在だったと考えられています。
アザワクの性格
アザワクは、俊敏で用心深く、警戒心が強い気質です。
家族や心を許した人に対しては、穏やかで愛情深いですが、それ以外の人に対しては、無関心で距離をおこうとします。
独立心が旺盛で、プライドが高く、自由に生活することを好むため、狭い空間での飼育はストレスが溜まってしまいます。
アザワク同士、サイトハウンド同士で一緒にいると、優位に立とうとするため喧嘩になることがあるため、注意してください。
アザワクの特徴
アザワクは、サイトハウンド特有の体型をしています。頭部が小さく、脚や尾が長くスリムな体ですが、体の筋肉は非常に発達しています。
垂れ耳と、サーベル形の垂れ尾で、被毛は短毛です。
砂漠地帯で暮らしていたアザワクは、暑さに強く、寒さには弱い特徴があります。しかし、日本の高温多湿な気候には合わず、湿度が高いと体温調節がうまくできないため、湿度管理も重要です。
クールな表情と、近寄り難いオーラがあり、非常に豊富な体力と俊敏性がこの犬種の最大の特徴です。
非常に体力を要する狩猟スタイル
アザワクは、狩りの際に飼い主と一緒にラクダに乗り移動していました。というのも、非常に体力を要する狩猟スタイルであったことから、移動では体力を温存する必要があったのです。
アザワクの狩猟方法は、優れた視覚で獲物を探し出し、発見すると仲間と獲物を追い回して体力を消耗させます。
獲物が弱ったところで、飼い主であるハンターが仕留めます。
ドッグレースでは、時速65kmに達するスピードを出すほど足が早く、加えてスタミナもあるため、このような狩猟スタイルが採られていました。
この狩猟スタイルをとるために、アザワクの徹底した犬質管理が行われ、何千年もの間スタミナと容姿を崩すことなく、現代まで維持されました。

アザワクの毛色・目の色
アザワクの被毛は、短毛で密に生えており、毛色は、フォーンで、ブリンドルの縞がある個体もいます。
また、前後の脚にホワイトの斑を伴い、クリア・サンドからダーク・フォーン(マホガニー)までのあらゆる色調があります。
ブリンドルの縞は、ブラックで、マズルはブラック・マスクの個体もいます。
シングルコートの短毛種ではありますが、年間を通してコンスタントに抜け毛が発生し、換毛期には大量の抜け毛があります。
お手入れは簡単ですが、週に2回程度ラバーブラシで、ブラッシングをしてください。体が汚れた時には、蒸しタオルで体を拭き取ってあげましょう。
砂漠地帯で飼われていたため、暑さには非常に強いですが、寒さには弱いです。また、湿度が高いと体温調節ができなくなるため、日本の高温多湿な気候は苦手です。
冬は毛布を置いたり、洋服を着せてあげるといいでしょう。夏場は、湿度管理が重要です。
アザワクの鳴き声
アザワクは、穏やかなうえ、見知らぬ人には興味を示さないクールな性格のため、吠えることがほとんどありません。
しかし、不審な人物や、運動不足でストレスが溜まっている時などには、吠えることがあります。
アザワクの鳴き声は、遠くまで響く大きな声をしていますので、むやみに吠えると近隣トラブルになるため、注意してください。
運動量は、1日2回、1回1時間ずつの散歩でも不十分なことがあります。かなり広いスペースで飼育し、自由に走り回れる環境が、理想的です。
アザワクの寿命・病気
アザワクの寿命は10歳〜12歳で、大型犬としては平均的な長さです。
病気に強く比較的丈夫な犬種です。十分な運動量を確保し、ストレスを溜めないことが、アザワクの健康管理には重要です。
寒さに弱いので、冬場は風邪をひかないように、暖かく過ごせるようにしてください。室温管理と、毛布などの用意、洋服を着せるなどの対策が必要です。
骨折、関節疾患:骨が折れたり、関節に負担がかかり炎症が起こる疾患。アザワクをはじめとする、サイトハウンドは骨折リスクが非常に高い犬種です。
手足が長くスリムな体型や、運動能力が高いため自分の骨格の限界を超えるまで動いてしまう、早く走ったために事故に合うなど、さまざまな原因があります。
高いところから飛び降りたり、弱い力が慢性的に加わることで骨折することがありますので、身体能力が高いからといって、無理をさせないようにしてください。また、長い尻尾がドアに挟まる事故もありますので、気をつけてください。

アザワクのしつけ・飼い方
アザワクは、豊富なスタミナと、俊敏性が特徴的なサイトハンドで、一般家庭で飼育するには、飼い主の時間的および体力的余裕と、広い飼育環境が必要です。
豊富なスタミナで多くの運動が必要
アザワクは、非常に豊富な運動量が必要な犬種です。
1日2回、1回60分の散歩が不可欠で、歩くだけの散歩では満足しない可能性があります。ランニングや自転車で並走するといいでしょう。
広い場所を自由に走り回ると喜びますが、小さな動物を執拗に追いかける習性があるため、他の犬がいるドッグランには注意する必要があります。
また、アザワク同士、サイトハウンド同士では、ケンカすることが多々あるため、自由に走らせる時はしっかり周囲を確認してください。
散歩中の逸走に注意
アザワクをはじめとする、サイトハウンドは急に走り出す「逸走」に十分な注意が必要です。
散歩中に見かける自転車やバイクを、獲物と勘違いして追いかけてしまうようです。散歩中はしっかりとリードを持ち、できればダブルリードにしておくといいでしょう。
力も強く、脱走すると追いかけることが困難で、事故にもなりかねないため、リードトレーニングなどの訓練は徹底して行う必要があります。
しつけや訓練には信頼関係が重要
アザワクは、心を許した信頼できるリーダーのいうことにしか従いません。
もともと独立心が旺盛で、自分で判断して行動することも好むタイプですので、飼い主はリーダーとして認められることが非常に重要です。
また、主人と認めた飼い主以外の、家族や子供に対しても厳しい態度を取ることがありますので、気をつけてください。

アザワクの歴史
アザワクの祖先犬は、アフリカのサハラ南部で、遊牧民たちと共に暮らしていたサイトハウンドです。
何千年も前に、サハラ砂漠中央の壁画に描かれていた犬の子孫といわれており、トゥアレグ・スルーギという別名を持っています。
アザワクはもともと、アフリカのマリ共和国に住んでいるトゥアレグ族のみが飼育していた犬種です。
このトゥアレグ族がアザワクを生み出したことはわかっていますが、どのような犬種を使って作り出したかはよくわかっていません。
トゥアレグ族にとってアザワクは大切な存在で、家族でもあり宝でした。そのため、他の地域へは一切出されることはありませんでした。
アザワクは、トゥアレグ族と寝食を共にするなど、人間と同じ待遇を受けていました。
1970年代に、トゥアレグ族を襲う凶暴なアフリカゾウをユーゴスラビアの医師が倒し人命を救ったことにより、お礼として数頭のアザワクが贈られました。
この犬たちを、ユーゴスラビアに持ち帰り繁殖を行ったことで、この子孫が世界各地に広まっていきます。
1981年に国際畜犬連盟FCI ( Fédération Cynologique Internationale ) に公認されました。
アザワクの値段価格
アザワクは、日本においても希少で、珍しい犬種です。
ジャパンケネルクラブによると、日本においては、2021年と2019年に1頭ずつ登録されたのみでした。
アザワクを購入する場合には海外からの輸入が必要になります。
ペットの輸入代行業者を利用すると、現地のブリーダーとやりとりを代行してくれますが、一般的な費用は50万円程度です。
アザワクは、現在でも希少な犬種であるため、費用がさらに高額になることもあるため迎え入れる時期や金額は直接確認してください。
トゥアレグ族にとって、家族であり宝でもあったアザワクを、日本で飼育するためには、十分な環境や、飼い主の器量が求められます。
アザワクに興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考に本犬種について知っていただければと思います。