
イタリアン・グレーハウンドの基礎情報
・日本語表記:イタリアン・グレーハウンド
・英語表記:Italian Greyhound
・原産地:イタリア
・発生:自然発生(不明)
・種類:視覚ハウンド
・サイズ:小型犬(32cm〜38cm)
・体重:オス 3.6kg~5kg、メス 3.6kg〜5kg
イタリアン・グレーハウンドの性格・特徴
イタリアン・グレーハウンドは、古代エジプトのファラオの宮廷に存在していたグレーハウンドの末裔です。
たいへん古い歴史をもった犬種ですが、家庭犬としても人気の高い犬種です。
イタリアン・グレーハウンドの性格
イタリアン・グレーハウンドは、陽気で、愛情豊かな性格です。
非常に人懐っこく、子供のことも大好きで、一緒にたくさん遊んでくれます。頭が良く、その場の空気を察知することもでき、言葉を理解できていると思える時が多々あります。
従順で賢いため、しつけも入りやすい犬種です。
2歳頃までは、落ち着きがなくやんちゃな性格です。落ち着いている時と、急に激しく走り回る時の差が激しいことが特徴です。
イタリアン・グレーハウンドの特徴
イタリアン・グレーハウンドは、スレンダーな外見をしており、体長と体高がほぼ等しいスクエア体型をしています。
小型ですが、サイトハウンドとしての特徴である、洗練さや気品を十分に兼ね備えています。疾走する姿が非常に美しく、この犬種の最大の魅力ともいえます。
頭部の側面はやや丸みを帯び、細長く幅は狭くなっており、マズルは先細っています。首と頭部の長さは等しく、円錐の先端を切ったような形の筋肉質の首をしています。
耳の付け根は大変高く、小さく折りたたまれ、うなじと首の上部に沿って寝ています。
注意を払っているときには、耳の付け根は立ち、耳朶は側方に水平に掲げられ、「フライングイヤー」や「プロペラ形の耳」と言われる形に掲げられます。
攻撃性はまったくなく俊敏性は逃げるため
イタリアン・グレーハウンドは、他のサイトハウンドなどの猟犬と比べて、やや内気で繊細、家庭犬としては穏やかで温厚な犬種です。
心を許した相手には、従順で甘えん坊な一方で、見知らぬ人に対しては距離をおくなど、繊細な一面もあります。
やや内気で感受性が高いので、我慢強くストレスをためやすいといえます。
このような性格からもわかるように、攻撃性は決して高くなく、苦手な相手とは距離をおいたり、俊敏性を生かして、逃げることで身を守ろうとする犬種です。

イタリアン・グレーハウンドの毛色・目の色
イタリアン・グレーハウンドのボディの全体の被毛は、短くシルキー(絹糸状)です。
毛色は、ブラック、グレー、イザベラ(ペール・イエローのようなベージュ)の色調の単色で、ジャパンケネルクラブによると、原則として、ホワイトがある場合は、胸と足のみです。
イタリアン・グレーハウンドは、短毛のため目立ちませんが年間を通して、抜け毛があります。短い抜け毛は、洋服やクッションに刺さるとチクチクし、掃除機で取りづらい毛質です。
ラバーブラシで、こまめに抜け毛を取り除いたり、シャンプーで洗い流すといいでしょう。ただし、シャンプーは頻度が高すぎると皮膚トラブルになるため、月に2〜3回程度に抑えるようにしてください。
また、寒い時期は洋服を着せると、防寒にも抜け毛対策にもなるためおすすめです。
イタリアン・グレーハウンドの目は大きく、丸みがあり、正面を向いています。表情は豊かでありながら気品を感じさせます。
目の色は、ダークで目の縁は色素沈着しています。
イタリアン・グレーハウンドの鳴き声
イタリアン・グレーハウンドの鳴き声は、見た目に似合わず、大型犬のように低く野太い声をしています。
しかし、本犬種は、ほとんど鳴かないことが特徴で、都心部のマンションなどでも飼育が可能な犬種として人気があります。
見知らぬ人に対して、強い警戒心を見せたり、攻撃性を見せて吠えることがないため、番犬には向きません。
遊んでいるとき興奮して鳴いたり、甘えるときに「クーンクーン」と声を出すことはありますが基本的に、吠えにくい犬種です。
イタリアン・グレーハウンドの寿命・病気
イタリアン・グレーハウンドの寿命は12歳〜15歳で、長生きしやすい犬種の一つとして知られています。
気候の変化には弱い体質ですが、快適な飼育環境や健康管理によって、平均寿命より長生きすることはめずらしくありません。
骨折:骨の損傷全般。骨そのものが弱っている場合や、弱い力でも慢性的に加わることで骨折してしまうケースがあります。
イタリアン・グレーハウンドは、身体能力が高く、急に興奮して走り出すことがあるため、高いところから飛び降りないように注意してください。
夢中で遊んでいるときに他の犬と衝突する、転倒するなどの些細なことが原因で骨折することもあります。個体差がありますが、骨折を繰り返すことも多いため、治療費がかなりかかることが想定されます。
膝蓋骨脱臼(パテラ):膝蓋骨が外れた状態。膝蓋骨脱臼は、内側に外れる「膝蓋骨内方脱臼」、外側に外れる「膝蓋骨外方脱臼」、どちらにも外れる「両側性膝蓋骨脱臼」があります。
最初は、外れたり戻ったりを繰り返しますが、最終的には常に脱臼した状態となります。遺伝性が疑われていますが、根本的な原因は不明とされています。
初期段階では、脱臼しても普通に歩くため、気がつきにくい疾患です。普段の散歩で歩き方を観察し、気になる歩き方を見かけた時には、動画をとっておくと診察の時に役に立ちます。
堅いアスファルトやコンクリートの上で、激しい運動をしないようにしましょう。
カラーディリューション脱毛症:淡色の被毛をもつ犬の脱毛症。この疾患は、ブルーの被毛をもつイタリアン・グレーハウンドにみられる脱毛症です。
メラノサイトで作られた、毛に色をつけている物質であるメラニンが、不均等に分布されるため、被毛が非常にもろく、すぐにポキポキと折れてしまうため、その部分が脱毛しているように見える疾患です。
3〜12ヶ月で発症することが多く、遺伝性疾患で、進行性の非炎症性の脱毛です。

イタリアン・グレーハウンドのしつけ・飼い方
イタリアン・グレーハウンドは、賢く従順な性格でしつけやすく、吠えにくい気質のため、家庭犬として飼育しやすい犬種です。
少しでも長く元気に過ごせる、飼育方法をご紹介します。
しつけしやすいが子犬の時に甘やかさないように
イタリアン・グレーハウンドは、温和で従順なことが多く、しつけしやすい犬種です。
ただし、子犬の時に甘やかしてしまうと、わがままで指示を聞かない犬に育ってしまうおそれがあります。
2歳まではやんちゃで落ち着きがありませんが、毅然とした態度でしつけをするようにしてください。
臆病で内気な性格のため、しつけの時に怒鳴ったり乱暴に行わないず、できたことをたくさん褒めてあげましょう。
運動量は多いが骨折には注意
イタリアン・グレーハウンドは、小型犬ですが運動量が多い犬種で、1日2回、1回60分ずつの散歩が欠かせません。
走ることが好きなため、ドッグランや、広い場所で自由に走る時間も必要です。
ただし、骨折しやすいので激しい運動は控えるようにしてください。急に走り出したり、興奮することがありますが、高いところから飛び降りたりしないように注意が必要です。
運動をする時には、堅いコンクリートやアスファルトの上ではなく、やわらかい芝生の上で行うといいでしょう。
寒さに非常に弱い体
イタリアン・グレーハウンドは、脂肪が少なく、被毛が短いことから、寒さに非常に弱い犬種です。
冬場は、洋服を着せたり、毛布を用意してあげましょう。室温管理も重要です。快適に過ごせる環境を整えてあげてください。
夏場は冷房で冷やしすぎてしまうと、風邪を引いてしまうため注意してください。

イタリアン・グレーハウンドの歴史
イタリアン・グレーハウンドの起源ははっきりとはわかっていませんが、祖先犬はグレーハウンドと考えられています。
数千年前の古代エジプトに、本犬種によく似た犬が描かれており、その時代のものと思われる犬のミイラが、イタリアン・グレーハウンドと酷似していることから、起源は非常に古いと推測されています。
エジプトから、トルコ、イギリスに入り、紀元前5世紀頃のローマでは上流階級の愛玩犬として飼育されていました。
その後、16世紀のイタリアを中心とした南ヨーロッパなどで大変な人気を博し、「イタリア・ルネッサンスの誇り」と呼ばれていました。
とくに現在では、各国の王族が好んで飼育しており、世界的な人気犬種として高い知名度を誇っています。
日本に輸入されたのは古く、江戸時代頃と言われています。
18世紀から19世紀頃に小型化のために無理な交配を繰り返し、第二次世界大戦後には数が大幅に減少してしまいました。
しかし、1800年にアメリカに持ち込まれていたこの犬種は絶滅を免れ、ヨーロッパでの頭数は徐々に回復していきました。
イタリアン・グレーハウンドの値段価格
イタリアン・グレーハウンドは、ペットショップで見かけることもあるほど、日本の愛玩犬として定着している犬種です。
国内でブリーディングも多く行われており、子犬の価格は30万円〜40万円ほどです。
この犬種の最大の魅力は走る姿とも言われており、野外で体を動かすことが好きな人にとっては最良のパートナーとなってくれるでしょう。
イタリアン・グレーハウンドに興味をもたれた方は、ぜひ本記事を参考に本犬種について知っていただければと思います。