コーカシアン・シェパードの基礎情報
・日本語表記:コーカシアン・シェパード
・英語表記:Caucasian Shepherd
・原産地:ロシア
・発生:自然発生
・種類:使役犬
・サイズ:大型犬(62~65cm)
・体重:オス55kg~100kg、メス45kg~80kg
コーカシアン・シェパードの性格・特徴
コーカシアン・シェパードは、オオカミの血を引いた大型犬を超える大きさをしており、日本はもちろん海外でも、家庭犬としての飼育例は少なく希少な犬種です。
コーカシアン・シェパードの性格
コーカシアン・シェパードは、番犬としての適性があり非常に用心深く、防衛本能が働いたときには、攻撃的な面を見せることがあります。
普段は、穏やかで、安定した気質をしていますが、意志の強さも持ち合わせています。
独立心が旺盛のため、しつけや訓練を行うには犬の訓練に慣れていなければ難しく、初心者には向いていません。
信頼関係を築いた主人に対しては、忠実で温厚です。
コーカシアン・シェパードの特徴
コーカシアン・シェパードを含む、コーカサス地方の牧羊犬は、大型犬を超える大きさでがっしりとしており、体のつくりは荒々しく野生的な印象を受けます。
体躯だけではなく、首周りや、足回りも太く非常に筋肉質です。
首周りの豊富な被毛が特徴的で、これはオオカミやクマに襲われた時にダメージを少なく抑える役目があったといわれています。
短いマズルと、大きな頭部を持ち、額には皺が刻まれています。
耳は垂れていますが、オオカミに襲われたときに大怪我をしないように、外耳をほぼ全て断耳していた時代もありました。現在は動物保護の観点から、ほとんど行われていません。
優秀な護畜犬で家庭犬にも注意
コーカシアン・シェパードは、オオカミやチベタン・マスティフの血を引くといわれている屈強な犬種です。
羊や家畜をオオカミや泥棒から守るための護畜犬で、家畜や家族に危険が迫ると勇敢に戦い、原産国では人気がありました。
護畜犬としてはたいへん優秀で、見栄えも評価されており、ショードッグとしても活躍する一面をもっています。
しかし、原産国においても、家庭犬として飼育されているケースは少ないです。
しっかりと、訓練を行うことで家庭での飼育も可能ではありますが、小さな子供がいる場合は、目を離さない方がいいといわれています。
コーカシアン・シェパードの毛色・目の色
毛色は、バンドのあるグレー被毛で、さまざまなシェードがあります。
通常は明るい毛色で、ジンジャー(ラスティ)、ストロー、ホワイト、レディッシュ・ブラウン、ブリンドルになる傾向があります。
また、パイド(地色に一色または二色の明確な斑を構成するもの)および斑の散ったものもあります。
被毛は、ゴワゴワとしてボリュームのあるロングコートと、少し短めでサラリとしたショートコートの2タイプが存在しています。
どちらも、厚いダブルコートで、防寒性が高く、ロシアの寒い気候にも耐えることができます。
ドッグショーにおいては、ライオンのような堂々とした風格を持つロングコートタイプが好まれており、多く出場しています。
目は小さく、瞳の色はブラックまたはブラウンもしくは琥珀色です。
コーカシアン・シェパードの鳴き声
コーカシアン・シェパードは、普段は穏やかな犬種のため鳴き声が気になることはほとんどありません。
優秀な番犬であったことから、縄張り意識が強く、自分のテリトリーに見知らぬ人が突然入ってくるなど危険を感じたときには、激しく吠えることがあります。
訓練やしつけ次第でもありますが、外で散歩をしている時など、見知らぬ人や犬に対して吠えることはほぼないでしょう。
警戒吠えや威嚇吠えをしたときに、「やめ」の指示で、吠えを止めることができるように、子犬の時から、服従訓練としつけを行っておきましょう。
コーカシアン・シェパードの寿命・病気
コーカシアン・シェパードの寿命は、10歳から12歳前後です。
超大型犬としては比較的長い寿命で、命にかかわる疾患が少なく健康で丈夫な犬種です。
肥満:適正体重を超えること。運動を好まない個体もおり、犬種としても必要としている運動量はそれほど多くはありません。
そのため、意識して散歩など運動をさせなければ、肥満になりやすいため注意しましょう。関節を痛めやすい犬種でもあるため、肥満によって関節に負担をかけてしまいます。成長期を過ぎたら、カロリー管理を行いましょう。
股関節形成不全:股関節が正常に形成されず、歩行に異常が現れる疾患。大型犬に多い疾患で、超大型犬であるコーカシアン・シェパードにも注意が必要です。
ほぼ遺伝的に発症するといわれていますが、他にも関節に負担のかかる激しい運動や肥満も発症リスクになります。コーカシアン・シェパードは、肥満になりやすい犬種ですので、歩き方に異常を感じたら、動物病院を受診しましょう。
受診する前に、前、横、後ろの三方向から動画を撮り、病院に持って行くと、適切な診断がされやすいのでおすすめです。
白内障:病的に水晶体の透明度が低下する疾患。先天性と、老化に伴う後天性があります。
シェパードは遺伝性の先天性白内障の発症リスクが高いため、コーカシアン・シェパードにも注意が必要です。ブリーダーから迎え入れる際には、親犬の病歴や、遺伝子検査結果を確認しましょう。
コーカシアン・シェパードのしつけ・飼い方
コーカシアン・シェパードは、普段は温厚な犬種ですが、攻撃性をみせると力が強いことから、コントロールが難しくなります。
迎え入れたらすぐに躾と訓練を開始する
大きくなると、成人男性でもコントロールが難しいほど力が強くなりますので、小さいうちにしつけと訓練は完了させましょう。
飼い主に対しては、忠実なので、まずは信頼関係を築いていきましょう。一緒に過ごす時間に比例して信頼関係は強くなるため、なるべく長い時間触れ合うようにします。
子犬の時には甘やかしすぎず、毅然とした態度で指示を出すことが大切です。
警戒心が高いため、子犬のうちから、たくさんの人に会わせて遊ばせたり、さまざまな刺激に慣れさせましょう。
警戒心の強さは、大切な家族を守りたいという保護意識の裏返しですので、この犬種のよさを伸ばしながら育ててあげましょう。
換毛期は春から夏にかけての1回のみ
通常犬は、換毛期が年に2回ありますが、コーカシアン・シェパードは春から夏にかけての1度のみです。
被毛は大変豊富で長毛なため抜け毛も多く、ブラッシングは時間をかけて毎日行います。
日本の高温多湿な夏は、ロシア原産のこの犬種にとって大変過酷なものです。夏場は、室温と湿度が管理できる環境で過ごさせてあげましょう。
日が当たるところに長時間つないでおくこともたいへん危険です。日影のスペースを作り、新鮮な水が常に飲めるような環境を整える必要があります。
激しい運動は好まない犬種
コーカシアン・シェパードの運動量はそれほど多くありませんが、肥満防止のためにも散歩は1日2回の30分から1時間ずつ欠かさず行ってあげましょう。
激しい運動は、関節に負担をかけてしまうので、必要ありません。
散歩もハイキングのようにのんびり時間をかけて行う方法がいいでしょう。夏場は、涼しい時間帯に行うようにします。
コーカシアン・シェパードは非常に力のある犬種なので、子犬の頃からリードトレーニングが必須になります。
成犬になる前に、飼い主のペースに合わせリードを引っ張ることなく、散歩ができるようにしておきましょう。
コーカシアン・シェパードの歴史
コーカシアンという名前は、原産地のロシアにあるコーカサス地方からきています。
コーカサス地方は、中央アジアにかけての広い地域で、牧畜に適した気候として知られており、昔から牧畜犬と人が一緒に暮らしていました。
コーカシアンシェパードの生い立ちは、あまりよくわかっていませんが、15世紀から存在していた犬種として知られています。
しかし、セントラル・アジア・シェパードなどの大型犬は紀元前から活躍していたことから、さらに古い歴史を持った犬種ではないかと推測されています。
オオカミやチベタン・マスティフの血を引く牧畜犬で、羊や羊飼いの家族を、オオカミなどから守る護畜犬でした。
コーカシアン・シェパードは、ロシア全土に活動の範囲を広めていきますが、ヨーロッパとの交流が始まると、新たな大型犬種が流入してくるようになります。
それがセントバーナードです。
やがて、セントバーナードと交配されるようになったコーカシアン・シェパードは、純血種が徐々に減少していき、絶滅の危機に瀕していきます。
そこで種として保存を行い、純血を取り戻し絶滅を回避するための犬種クラブが設立されました。
この協会の活動により、コーカシアン・シェパードの頭数と知名度は年々上昇しており、国際畜犬連盟FCI ( Fédération Cynologique Internationale ) にも公認犬種として登録されたことをきっかけに広く知られるようになりました。
現在では使役犬やショードッグとして活躍しています。
コーカシアン・シェパードの気質として、家庭犬としての適性が低いことから、ペットとして飼育されているケースは少ないです。
コーカシアン・シェパードの値段価格
コーカシアン・シェパードは、日本では大変珍しい犬種であるため、ペットショップではもちろん街中でも見かけることはほとんどありません。
国内ブリーダーもいないため、どうしても購入をしたい場合は、海外から輸入することになります。
費用は、一般的には諸経費と送料を含めて50万円を見積もっておいた方がいいでしょう。
血統や毛色などによっては、高価になります。
コーカシアン・シェパードドッグは、ロシア原産の犬のため、気候としても住環境としても日本での飼育は向いていないかもしれません。
ショードッグとして活躍している犬種のため、コーカシアン・シェパードに興味がある方は、ドッグショーに足を運んでみてください。
ぜひ本記事を参考にコーカシアン・シェパードについて学んでいただければと思います。