ブラジリアン・ガード・ドッグの基礎情報
・日本語表記:ブラジリアン・ガード・ドッグ
・英語表記:Brazilian Guard Dog
・原産地:ブラジル
・発生:人為的発生
・種類:使役犬
・サイズ:大型犬(60〜75cm)
・体重:オス50kg~kg、メス40kg~kg
ブラジリアン・ガード・ドッグの性格・特徴
ブラジリアン・ガード・ドッグは、典型的なモロシアンタイプの犬種です。ヒョウやジャガー、イノシシなど大型の獣を追い払うことができる屈強な体と高い身体能力をもっています。
ブラジリアン・ガード・ドッグの性格
ブラジリアン・ガード・ドッグは、決断力があり、並はずれて勇敢な気質をもっています。また、飼い主や家族に対しては従順で、小さな子供にも忍耐強く接してくれます。
非常に高い忠誠心が特徴的で、ブラジルのことわざになっているほどです。常に主人に連れ添うことを望む一方、見知らぬ人に対しては不信感が強いです。
普段家族と過ごすときは、温厚で愛情深いですが、飼い主に危険が及ぶと判断したときには、攻撃性を見せることもあります。
この犬種が元々大型獣を追い払う役割をもっていた犬種であったことを忘れてはいけません。
ブラジリアン・ガード・ドッグの特徴
ブラジリアン・ガード・ドッグは、典型的なモロシアンタイプの体型をしており、骨格は頑丈で、均整が取れています。
がっしりとしていますが、重々しくはなく、俊敏に動くことができます。
メスとオスで、性差がはっきりわかる外見をしています。メスは、腰の下部がより発達しており、後ろから見るとお尻の肉付きが十分にあり、胸の骨格とほぼ同じ広さです。
頭部は大きく重くがっしりしています。梨型を埋め込まれたような台形の外見をしていて、スカルよりマズルの方が少し短いです
耳は大きく厚く、V字型に垂れています。
優れた嗅覚で犯人を追跡していた
ブラジリアン・ガード・ドッグは、番犬や護衛犬だけではなく、鋭く優れた嗅覚を生かし、逃亡した犯人を追跡するためにも用いられていました。
ポルトガル語では「フィラ・ブラジレイロ」、また「ブラジリアン・マスティフ」とも呼ばれています。
「フィラ」とはポルトガル語の、「確保する」に由来しており、この犬種の特徴を表しています。飼い主や家族に対しては忠実で温厚な性格ですが、危険が及ぶと一転して攻撃性を見せます。
そのため、20世紀後半以降、アメリカ合衆国やヨーロッパなどにも輸出され人気がありますが、同時に危険である犬種として飼育を禁止する国もあります。
ブラジリアン・ガード・ドッグの毛色・目の色
ブラジリアン・ガード・ドッグの毛は、短くなめらかで、ボディに密着するように密に生えています。
ジャパンケネルクラブでは、失格となる毛色(ホワイトおよびマウス・グレー)(斑をもつ犬およびダップル・コート)以外のすべての単色が許容されています。
単色の地色にブリンドルが混じっている場合は、それよりも淡いストライプあるいは非常に濃いストライプをもつ場合があります。
すべての毛色において、指趾、胸部、尾の先端の白斑は容認されています。
被毛のケアはラバーブラシで行い、シワやたるみの皮膚の間には皮脂や汚れが溜まりやすいため、お湯で濡らしたタオルを固く絞り、拭き取ってあげましょう。
よだれも多く、口周りについたままだと、皮膚炎を起こしたり、ニオイの元になるため、常に清潔にしてあげます。
目は、中型から大型の大きさで、ダーク・ブラウンからイエローまでの色がありますが、被毛の色と一致しています。
皮膚のたるみが著しいため、下まぶたが垂れている個体も多いです。
ブラジリアン・ガード・ドッグの鳴き声
ブラジリアン・ガード・ドッグは警戒心が強いため、自宅にいるときに見知らぬ人や犬を見かけると吠えることがあります。
屋外で飼育する場合は、外の通りや人影が見えにくいところに犬小屋を設置するといいでしょう。
子犬の時期から、自宅にきたお客さんと触れ合い、警戒心をゆるめてあげる努力が必要です。番犬や護衛犬としての気質はなかなかなくなりませんが、少しでも、この犬種が安心して生活できる環境を整えてあげましょう。
飼い主がしっかりリーダーシップを取り、服従訓練を行うことも、警戒吠えや無駄吠えの対策になります。
子犬の頃から、あらゆるしつけや訓練を行うといいでしょう。
ブラジリアン・ガード・ドッグの寿命・病気
ブラジリアン・ガード・ドッグの寿命は、9歳〜11歳前後で、大型犬としては平均的な寿命といえます。
股関節形成不全:股関節が噛み合わないことで関節が炎症を起こす疾患。この疾患は遺伝的な要因により発症することも多いですが、成長期に過度な運動により関節に負荷がかかりすぎることでも発症すると考えられています。
ブラジリアン・ガード・ドッグは約18ヶ月〜24ヶ月かけて成犬になります。その間は、過度な運動を行うと関節に負担がかかり、この疾患の発症リスクが高くなります。
成犬になると、穏やかで温厚な性格になり、散歩も嫌がるほどのんびりと生活をするようになりますが、本来は俊敏に動くこともできる犬種ですので、急な運動や、子犬のやんちゃな時期は気をつけてあげましょう。
室内で飼育する場合には、必ず、滑り止めのシートを設置しましょう。
胃捻転:胃が捻転しショックなどの症状を起こす疾患。なんらかの原因で胃がねじれてしまう疾患です。放置するとガスが溜まり続け胃が拡張し、周りの血管を圧迫してしまいます。
最悪の場合、循環不全が起き、胃も壊死してしまうことがあります。ブラジリアン・ガード・ドッグは、体が大きく胸が広い体型のため、胃捻転を起こしやすいです。
発症しやすいタイミングは夕食後が多く、食事後にすぐに運動させることが原因と考えられています。胃捻転が起きると、すぐに動物病院で処置を行わなければ、命に関わります。
対策として、一回の食事量を少なくする、食事の回数を3回に分ける、早食い防止の食器を使う、食器の高さを上げるなどがあります。食事後はすぐに運動しないように、ゆっくり過ごさせてあげましょう。
眼瞼内反症:まぶたが内側に巻き込まれ、まぶたの縁が眼球に接する状態。まつ毛が眼球にあたり、刺激が慢性的に続いてしまいます。
飼い主が気がつく症状としては、目が涙目になっている、目を眩しそうにする、まぶたが痙攣している、結膜の充血、目脂が増えるなど、目に関するあらゆる症状です。
この疾患は、犬種によって発症しやすさが変わるため、ブラジリアン・ガード・ドッグは日常的に目の症状は確認してあげましょう。
ブラジリアン・ガード・ドッグのしつけ・飼い方
ブラジリアン・ガード・ドッグは、しつけや訓練次第で忠犬にも猛犬にもなる犬種です。
飼い主や、この犬種の飼育を希望している場合は、この犬種について十分な理解をすることが必要です。
あやゆる訓練を行い攻撃性を出させない
ブラジリアン・ガード・ドッグは、忠実かつ勇敢な犬種で、頼もしいパートナーになってくれるでしょう。
しかし、日本の住環境で飼育するためには、十分なしつけや訓練を行う必要があります。
飼い主や家族には、穏やかな姿を見せてくれますが、元々は、大型の肉食獣と戦うことができるほど勇敢で、攻撃的な面がある犬種であることを忘れてはいけません。
そのような気質が残っている以上、何かのきっかけで事故を起こしてしまうこともあるため、飼い主にはしつけや訓練の高い技量が求められます。
この犬種がストレスを溜めないように、生活習慣と住環境を用意しなければなりません。
運動は規則正しく行い肥満防止とストレス解消
ブラジリアン・ガード・ドッグは、体力のあるタフな犬種ですが、やや怠け癖があり、散歩を嫌がることがあります。
しかし、体力はありますので、運動をしなければストレスが溜まり、問題行動の引き金となる可能性があるため、規則正しく散歩に連れ出しましょう。
激しい運動は必要ありませんし、他の大型犬と比べると短い時間の散歩でも大丈夫です。1日2回の30分〜1時間の散歩に連れて行ってあげましょう。
散歩の時はリードトレーニングをしっかり行い、決して引っ張らせてはいけません。他の犬とトラブルにならないように気をつけましょう。心配な場合は口輪をつけて連れて行きます。
日常ケアで健康チェック
ブラジリアン・ガード・ドッグは、皮膚のたるみやシワがあるため、汚れが溜まりやすく皮膚疾患を起こしやすいです。
短毛のため、被毛ケアの頻度は高くありませんが、ラバーブラシでマッサージを行いながら皮膚の状態を定期的に観察するようにしましょう。
また、耳が大きく垂れているため、汚れが溜まりやすいです。犬は、頭を振るなどして耳の中の老廃物を外に飛ばしますが、夏場は蒸れて、炎症を起こしやすいため、気をつけてみてあげましょう。
頻繁に頭を振る、ニオイが強くなったなどの症状があれば動物病院を受診してみましょう。
ブラジリアン・ガード・ドッグの歴史
南米大陸は歴史的に犬との関わりが乏しく、どの国も建国して歴史が浅いことから、自国原産の犬種をもっている国は多くありません。
その中で、アルゼンチンのドゴ・アルヘンティーノとともに、このブラジリアン・ガード・ドッグは珍しい南米原産の犬となります。
ブラジリアン・ガード・ドッグは、16世紀頃、南アメリカに進出したスペイン人やポルトガル人が連れてきたマスティフ系の犬を祖先犬としています。
この犬種の鋭い嗅覚を生かし、追跡能力や攻撃性を求めて、ブラッドハウンドや、オールド・イングリッシュ・ブルドッグなどを交配して作られました。
番犬としてだけではなく、牧牛犬や狩猟犬としても活躍しました。
獲物を追い詰めた後に怪我をさせずに猟師を待つことができたため、逃亡した犯人を捕まえるためにも用いられたといわれています。
都市化が進むにつれて、ブラジリアン・ガード・ドッグの役割が次第に変わっていき、同時に性格や体型の改良がはかられました。
現在では、ショードッグとしても活躍し、ブラジルやアルゼンチンで多く飼育されている犬種です。
アメリカや合衆国やヨーロッパなどにも輸出され人気がありますが、危険な犬種であるとして飼育を禁止している国もあります。
1960年に国際畜犬連盟FCI ( Fédération Cynologique Internationale ) に公認犬種として登録されました。
ブラジリアン・ガード・ドッグの値段価格
ブラジリアン・ガード・ドッグは日本においては大変珍しく、ブリーダーを探すのが難しいため値段は不明です。
海外からの個人輸入も可能ですが、自治体によって飼育に規制がある場合もあるため事前に必ず確認を行いましょう。
南米のブラジル原産のこの犬種は、比較的夏の暑さには強いため、他の犬種と比較しても、日本の夏に適応しやすいといえます。
しかし、この犬種を日本の住環境で飼育するためには、十分な理解と、大型犬の訓練に対して高い技術が求められます。
ブラジリアン・ガード・ドッグに興味を持った方は、まずはドッグショーなどで情報を集めることをおすすめします。
ブラジルやアルゼンチンでは人気で多く見かける犬種のため、旅行の際に触れ合ってみるのもいいかもしれません。
ブラジリアン・ガード・ドッグの日本での飼育について検討されている方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。