チャイニーズ・クレステッド・ドッグの基礎情報
・日本語表記：チャイニーズ・クレステッド・ドッグ
・英語表記：Chinese Crested Dog
・原産地：中華人民共和国
・発生：自然発生
・種類：愛玩犬
・サイズ：小型犬（28cm～33cm）
・体重：オス 3.2kg～5.4kg、メス 3.2kg〜5.4kg
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの性格・特徴
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、世界で最も人気のあるヘアレスドッグです。犬の毛をアレルゲンとするアレルギー疾患の人からも、注目されている犬種です。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの性格
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、やや内気で内向的なところがありますが、飼い主に対しては非常に献身的で愛情深い性格です。
社会性があるため、多頭飼いも可能で子供とも仲良く遊びます。
感受性が強く、やや繊細なところがあるため、子犬の頃からいろいろな経験をさせて刺激に触れさせるようにしましょう。
子犬の頃は、落ち着きがありませんが、抱っこされると安心して大人しくしています。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの特徴
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、小さくしなやかで優雅な容姿をしています。背中は平らで、尻は十分な丸みを帯びており、筋肉質です。
脚が長く、骨が細いため、脱臼や骨折のリスクが高い犬種です。高いところから飛び降りたり、激しい運動は控えるようにしてください。
毛のない犬として知られている犬ですが、長毛が全身に生えたパウダー・パフ・タイプも存在しています。
ヘアレス・タイプは立ち耳ですが、パウダー・パフ・タイプは、垂れ耳の個体もいます。首が、細く長く引き締まっており、頑丈な肩に向かって優雅に傾斜しています。
湯たんぽ代わりになっていた
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、通常の犬にはみられない汗腺が存在しているため、舌で体温調節することがありません。
また、体温が一般的な犬と比較して高めであり、40度程度であることから、寝るときに湯たんぽ代わりにされていたといわれています。
本犬種も、抱っこされると安心する性格で、落ち着きがない時でも、抱っこされている間はいつまでも大人しくしています。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの毛色・目の色
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、ヘアレス・タイプとパウダー・パフ・タイプの2タイプが存在していますので、それぞれご紹介します。
・ヘアレス・タイプ：皮膚がきめ細かく、温かい。ボディの被毛はなく、足、頭部、尾のみに被毛が生えています。
頭部の被毛が、昔の中国人男性に多くみられた髪型「辮髪（べんぱつ＝クレスト）」に似ており、犬種名の由来となっています。
・パウダー・パフ・タイプ：下毛とやわらかいベールのような上毛をもつ、ダブルコートです。このベールのような被毛は、この犬種の特徴で、冠毛はストップ（両目の間にある、スカルとマズルの接続部のくぼみ）から始まり、首にいくにしたがって、先細ることがよしとされています。
いずれのタイプも、あらゆる毛色が認められており、パウダー・パフ・タイプは、白にグレーや薄いクリームなどの毛色が多くみられます。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの目は、ブラックに近いダークで、白目はほとんどあるいは全く見えません。中くらいの大きさで、離れてついています。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの鳴き声
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、内気で繊細なところがあり、感受性が強い犬種です。
そのため、警戒心が強く育ってしまうと、見知らぬ人に吠えるようになります。また子犬の頃は、寂しさから吠えることがあるようですが、賢いため、吠えた時に応えないようにすることで、成長とともに吠えないようになります。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、子犬のうちから、さまざまな経験をさせ刺激に慣れさせることが必要です。
また、強い警戒心が育たないように、散歩中に出会う人や、来訪者にたくさん可愛がってもらい、社交的な性格を引き出してあげましょう。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの寿命・病気
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの寿命は、13〜15歳で平均的な寿命です。
ヘアレスタイプの場合、先天的に歯が欠損している、もしくは小さいことが知られています。
パウダー・パフ・タイプにはこのような症状がみられることがないため、繁殖の際は、ヘアレス同士を交配せずに、パウダー・パフ・タイプとヘアレス・タイプを交配させることが良いとされています。
ヘアレス・タイプは、歯磨きの習慣を欠かさないようにしてください。
レッグペルテス病（大腿骨頭壊死）：大腿骨頭に血液を送っている血管が減少し、血液供給が途絶えることで大腿骨頭が壊死する疾患。
症状としては、股関節に痛みが生じるため、足をかばうように歩くなどの、歩き方の異常が現れます。
血管が減少する原因ははっきりわかっていませんが、ホルモンの影響や遺伝的な要因が考えられています。
膝蓋骨脱臼（パテラ）：膝蓋骨が外れた状態。チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、脚の骨が細く、脱臼や骨折しやすい犬種です。
膝関節も脱臼しやすいため激しい運動は控えるようにしてください。最初は、外れたり戻ったりを繰り返し、最終的には常に脱臼した状態となります。
遺伝性が疑われていますが、根本的な原因は不明とされています。脱臼しても普通に歩いてしまう犬もいるため、気がつきにくいことがあります。
普段の散歩で気になる歩き方を見かけた時には、動画をとっておくと診察の時に役に立ちます。痛みを感じていたり、足を上げた歩き方をする場合には、外科的手術が選択されます
アレルギー性皮膚炎：アレルギーによる皮膚の痒みや炎症が生じる疾患。カビやダニ、食べ物によるアレルギーが原因で、皮膚にかゆみや炎症が生じます。
慢性的なかゆみは、犬にとってストレスになり、自分で舐めたり掻き続けることで、細菌感染を起こし悪化することがあります。
早めに動物病院で治療を受けましょう。食べ物が、アレルギーの原因と考えられる場合は、アレルギーの犬用の療法食を病院で出してもらいましょう。
また、本犬種は寒さに弱いことから、洋服を着せることがありますが、ウールなどの素材がアレルゲンとなることもあるため、初めて着せる洋服は、様子を観察するようにしてください。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグのしつけ・飼い方
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、特徴的な外見をしていますが、非常に飼育しやすい犬種として、人気があります。
しかし、飼育する上でいくつかの注意点がありますので、飼育方法をご紹介します。
運動量は少なめで激しい動きは控えて
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、運動量が少なく散歩は1日20分程度でよいでしょう。
関節や脚の骨が弱いため、高いところから飛び降りたり、階段を駆け上がるなど、脚に負荷のかかる動きは控えるようにしてください。
夏場の散歩は、ヘアレス・タイプの場合は直射日光を避けて、日陰を歩いたり、犬用の日焼け止めを塗ったり、日傘を使ってあげましょう。
トレーニングは遊びやゲームを取り入れて
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、プライドが高く、雑に扱われることが大嫌いで、マイペースなところもあり、トレーニングを好まない犬種です。
そのため、しつけや訓練は、遊びやゲームのなかで楽しく行うようにしてください。
厳しく叱ったり、乱暴に怒ったりすることはせず、できたことをたくさん褒めて、楽しくトレーニングを行いましょう。
タイプに合わせたお手入れが必要
ヘアレス・タイプは、被毛ケアが必要ないため、お手入れは楽ですが、皮膚が弱いため、犬用ローションなどで、皮膚を保護してあげましょう。
皮膚疾患になることも多く、発症した場合は、こまめに薬用シャンプーを用いて洗うことが必要です。しかし、乾かすこともタオルで拭くだけですので、非常に簡単です。
パウダー・パフ・タイプは、毛玉になりやすい被毛ですので、なるべく毎日ブラッシングしてあげましょう。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの歴史
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、メキシコ人の先祖であるアズテック人は、あまり大きくはないヘアレスドッグを食用に飼育していたと知られています。
このヘアレスドッグの末裔が、チャイニーズ・クレステッド・ドッグと考えられています。
本犬種がアメリカンケネルクラブから公認を受けたのは、1883年のことでした。その後登録が途絶えたため、公認が取り消されたり、犬種名が中国原産を思わせることから、この犬種の原産国についてさまざまな説が生まれました。
王族や貴族など身分の高い人々の愛玩犬として飼育され、中国の男性の髪型にたとえて犬種名がつけられました。
第二次世界大戦で中国国内の本犬種はほとんど殺されてしまいました。しかし、特徴的な容姿をしていることから、海外にも多く輸出されていたことが、本犬種を絶滅から救うことになりました。
当時イギリスの植民地であった香港・マカオで飼育されていた個体を戦後、取り寄せてブリーディングを行い、異種交配することで、頭数が回復したのです。
現在では、世界中のヘアレス・ドッグの中で最も人気のある犬種に成長し、ペットやショードッグとして親しまれています。
とくに、喘息やアレルギー疾患をもつ人々から注目されている犬種です。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの値段価格
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは、日本ではあまり見かけない犬種ですが、毎年150〜200頭程度の犬籍登録が行われています。
ブリーディングも行われており、各地にブリーダーも存在しています。ブリーダーから迎え入れる場合、子犬の価格は、20万円〜30万円程度で販売されています。
ヘアレス・タイプと、パウダー・パフ・タイプに加え、さまざまな毛色のバリエーションがあるため、こだわりがある場合には、早めに予約を入れた方がいいでしょう。
珍しい犬種ではありますが、比較的飼育しやすく、アレルギー疾患を持っている人にも人気があるため、手に入りづらいことがあります。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは特徴的な犬種ですので、興味を持ち飼育を検討されている方は、迎え入れる前にぜひ本記事を参考にしていただければと思います。
