プレサ・カナリオの基礎情報
・日本語表記:プレサ・カナリオ
・英語表記:Presa Canario
・原産地:スペイン
・発生:人為的発生
・種類:使役犬
・サイズ:大型犬(56~66cm)
・体重:オス50kg~65kg、メス40kg~55kg
プレサ・カナリオの性格・特徴
プレサ・カナリオは、モロシアンタイプの犬種で畜牛を集める仕事をしていました。
プレサ・カナリオの性格
プレサ・カナリオは、バランスがとれている、落ち着いた気質をしています。
他人に対して疑り深く警戒心が強いため、番犬の適性があります。家族に対しては忠実で非常に尽くしてくれますが、警戒心が非常に強いことから、初心者の飼育は向いていません。
プレサ・カナリオの特徴
プレサ・カナリオは適度な大きさのモロシアンタイプです。頑丈で均整のとれた体型をしており、直線的な外見と、ブラックマスクが特徴的です。
自信に満ち、堂々としたたたずまいをしており、とくに警戒している時の立ち姿は凛としていて印象的です。
気肉質で引き締まった体で、大地を踏みしめて立つ姿は雄々しく、土佐犬を思わせる外見をしています。
頭部は体の大きさの割に大きく、顎の力もとても強いです。
闘犬に使われることもあった力強い犬種
プレサ・カナリオは、闘犬として使われていたため、体の強さがあり、顎の力も非常に強い犬種です。
警戒心も強く、海外では飼育が難しいといわれている犬種のひとつです。柵や檻は、顎の力に負けない頑丈なものが適しています。
見知らぬ人があやしい動きをしたときには攻撃的になることもあるため、事故には気をつけてください。
小さな子供がいる家庭では、飼育は控えた方がよいとされています。
プレサ・カナリオの毛色・目の色
プレサ・カナリオの毛色は、ジャパンケネルクラブによると、あらゆるブリンドルとフォーン、サンディが認められています。
さらに、ホワイトのマーキングは最小限であることが好ましいとされています。
被毛は短毛でシングルコートです。そのため、抜け毛が少なく、被毛ケアはとても楽な犬種です。ラバーブラシを用いて、マッサージをかねて体をブラッシングしてあげましょう。
マッサージは、皮膚の血行を良くして、皮膚疾患を予防することもできます。さらに、飼い主とのリラックスできるコミュニケーションの時間にもなりますので、積極的に行うといいでしょう。
よだれが多い犬種のため、口の周りはこまめに拭いて清潔に保ってあげます。放置すると、においのもとになったり、口の周りが皮膚炎になってしまうので気をつけましょう。
目の色はダークカラーでオーバル(たまご形)をしています。
プレサ・カナリオの鳴き声
プレサ・カナリオの鳴き声は、低く太い大きな鳴き声です。
迫力があり、周囲に威圧感をあたえてしまうため、むやみに吠えさせてはいけません。プレサ・カナリオは、警戒心と闘争心があるときに吠える傾向があります。
しつけや訓練の前に飼い主がリーダーシップをとり、服従訓練をしっかり行うことが大切です。
警戒心の強さゆえに吠えてしまうため、子犬の頃から社会性を身につけさせ、たくさんの人や犬と触れ合うことで、警戒心を弱くしていきましょう。
プレサ・カナリオの寿命・病気
プレサ・カナリオの寿命は、9歳〜11前後で他の大型犬の寿命と比較すると平均的です。
股関節形成不全:股関節が噛み合わないために関節が炎症を起こす疾患。プレサ・カナリオは成犬になるまでに18ヶ月から24ヶ月かかるといわれています。
その間に過度な運動により関節に負荷がかかると、股関節形成不全を発症しやすくなります。体を動かすことが好きな犬種ですが、成長期は気をつけてあげましょう。
肥満も関節への負担になります。月齢による適正カロリーを知り、必要以上にフードをあげないようにしましょう。
胃捻転:胃が捻転しショックなどの症状を起こす疾患。とくに夕食後に発症することが多い疾患です。原因は、食事後にすぐに運動させることなどがあります。
発症すると、すぐに動物病院で処置を行わなければ命に関わりますので、まずは予防に努めましょう。
対策としては、一回の食事量を少なくするために食事の回数を3回に分ける、早食い防止の食器を使う、食器の高さを上げる、食事後は安静にさせるなどがあります。
緊急時には、すぐに動物病院を受診できるように、家族で情報を共有しておきましょう。
プレサ・カナリオのしつけ・飼い方
プレサ・カナリオは、あらゆるしつけや訓練を行わなければならない犬種です。
家庭犬としての飼育には訓練が必須
プレサ・カナリオは飼育が難しいとされている犬種です。
家族には忠実で優しい一面を見せてくれますが、頑固なところがあり、しつけは難しいです。しかし、指示された仕事をこなすことが好きなため、しつけ訓練の熟練者で、豊富な運動量に付き合える人が飼い主として向いているでしょう。
しつけや訓練に不安がある場合は、プロの訓練士に依頼することをおすすめします。
しつけや訓練への反応はよく、たくさんのことを覚えてくれますが、力が強く、顎の力も非常に強いため、事故には気をつけましょう。
運動はたっぷりとストレスを溜めないように
プレサ・カナリオは、運動量が豊富でエネルギッシュな犬種です。
毎日1日2回の1時間ずつ散歩が必要ですし、散歩は早足で行うといいでしょう。大きな体の割に敏捷性があり、体を動かすことが大好きですが、成長期に過度な運動をさせ関節を痛めないように気をつけましょう。
休日は、郊外や自然に触れられるところで一緒にアウトドアを楽しんでもいいかもしれません。
外出時は、リードや首は頑丈なものを使用して、リードコントロールができないうちは大人の男性が散歩に連れて行きましょう。
飼育前に家族の理解と環境を整えて
プレサ・カナリオを飼育することを決められた場合、子犬を迎え入れる前に、さまざまな準備が必要です。
犬の飼育経験者でも、この犬種のしつけは難しい可能性があります。
日本の住宅地で飼育する場合には、社会性を身につける訓練は必須になりますので、専門の訓練士を探しておくといいでしょう。
プレサ・カナリオは顎の力が強く、大型犬の割に俊敏性もありますので、頑丈なケージを用意しましょう。可能であれば、屋根付きが望ましいです。
家族に対しては忠実で穏やかな犬種ですが、子犬の時に甘やかしすぎず、家族で協力し一貫した姿勢でしつけを行うことが必要です。
プレサ・カナリオの歴史
プレサ・カナリオにはたくさんの別名があります。ドゴカナリオ、ペロ・デ・プレサ・カナリオ、カナリードッグといった名前で呼ばれています。
プレサ・カナリオは、13世紀〜15世紀頃にスペインのカナリア諸島に連れてこられた、古いモロシアン犬が元となっている犬種です。
古いモロシアン犬に、オールド・イングリッシュ・ブルドッグやイングリッシュ・マスティフなどを、掛け合わせ誕生しました。
また、スパニッシュ・マスティフ、ナポリタン・マスティフ(オールドタイプ)、イタリアン・コルソ・ドッグなど、いくつかのモロシアン犬が関わっているといわれています。
牛などの家畜の護衛を目的に飼育されていましたが、飼い主とその家族、財産を守る番犬、護衛犬としても働き、ときには娯楽目的で闘犬として使われることもありました。
他の闘犬種とは違い、純粋に闘犬として作られた犬種ではありません。
プレサ・カナリオは、1950年代に絶滅寸前となりましたが、1970年代アメリカ人獣医師によって保護と繁殖が推進され絶滅の危機を免れました。
このおかげで、この犬種は頭数を回復し、再び番犬や牧牛犬として使われるようになりました。
しかし、実際にはカナリア諸島には古い血統が残っており、1950年代以前の古い血統も存在しています。
現在、国際畜犬連盟FCI ( Fédération Cynologique Internationale ) にも公認され、日本においてもジャパンケネルクラブ公認の犬種です。
実用犬としてだけではなく、ショードッグとしても飼育が行われるようになってきました。モロシアンタイプが好きな人にとっては人気がある犬種です。
プレサ・カナリオの値段価格
プレサ・カナリオは日本ではペットショップでは見かけることはない犬種です。
国内ブリーダーも存在していますが、数は少なく、モロシアンタイプ好きの人には人気の犬種のため、入手は困難です。この犬種を飼育したい場合は早めに予約を入れ、見学に行くことをおすすめします。
購入価格は、40万円〜50万円程度で血統によっては高価になります。
プレサ・カナリオは、いくつかの国でBSL「特定犬種規制法(通称「危険な犬法」)」による規制の対象となっています。
オーストラリア、ニュージーランド、デンマークでは飼育はもちろん本犬種および精子、本犬種の血を引く犬の持ち込みは禁止されています。
シンガポールでは、カテゴリーB(公の場ではリードと口輪装着の義務がある)に該当しているなど、飼育するためには、さまざまな注意が必要な犬種であることがわかります。
飼育される前に、訓練士を探しておくなど、十分な環境の準備と、この犬種への理解を深めておく必要があります。
プレサ・カナリオに興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。