オーストラリアン・ケルピーの基礎情報
・日本語表記:オーストラリアン・ケルピー
・英語表記:Australian Kelpie
・原産地:オーストラリア
・発生:人為的発生
・種類:牧羊犬/牧畜犬
・サイズ:中型犬(43~51cm)
・体重:オス11kg~21kg、メス11kg~21kg
オーストラリアン・ケルピーの性格・特徴
オーストラリアン・ケルピーは、賢さと並外れたスタミナを兼ね備え、均整の取れた容姿と美しい顔立ちをしています。
原産地のオーストラリアでは、最も人気がある犬種です。穏やかで飼い主に従順な、家族思いの家庭犬です。
オーストラリアン・ケルピーの性格
オーストラリアン・ケルピーは「仕事中毒」といわれるほど、活動的な犬で、飼い主のために働くことに喜びを感じ、忠誠心があります。
牧畜犬らしく、利口で、判断力に優れているため、しつけは容易でたくさんのことを覚えます。注意深く警戒心もあるため、優れた番犬になります。
基本的には穏やかで陽気な気質で、争いを好みません。飼い主だけではなく、家族に対しても仲間意識をもつため、子供の扱いもうまく、理想的な家庭犬として愛されています。
オーストラリアン・ケルピーの特徴
オーストラリアン・ケルピーは、野性味が少し残る雰囲気で、質の高い頑丈な筋肉としなやかで逞しい四肢をもっています。
顔の形は、キツネのようで、耳はピンとたち、体高よりも体長がわずかに長いボディをしています。
ワーキングタイプとショータイプに分かれていて、日本にいるのはショータイプがほとんどです。ショータイプの方が、気質が穏やかで、行動も落ち着いています。
日本ではあまり知られていない犬種のため、小さな犬と思って飼い始めましたが、思っていたよりも大きく成長してしまい手放されてしまうという事例があります。
20kgを超えることも多く、たくさんの運動量が必要な犬であることを知っていなければなりません。
広い場所でのびのびと走ることが好きな犬種
オーストラリアン・ケルピーは1日2回の1時間の散歩では不十分です。
屋外の広い場所でのびのびと走らせてあげることが望ましく、遊ぶことも大好きなので、フライングディスクやアジリティに挑戦するのもいいでしょう。
ドッグスポーツを楽しみたい方にはぴったりの犬種です。運動不足になるとノイローゼになるといわれるほど、運動が必要な犬です。
リードを外すとどんどん遠くまで走っていってしまうため、ドッグランなど以外では、リードを外さないように気を付けましょう。
オーストラリアン・ケルピーの毛色・目の色
オーストラリアン・ケルピーの毛は、しっかりとした下毛のあるダブルコートです。換毛期には、抜け毛が多くなるため頻回のブラッシングが必要です。普段は週に2回ほどで、ケアが楽な犬種です。
まっすぐな上毛は、身体に密着していて固く、雨に耐えられる毛質です。毛の長さは、ショート、スムース、ラフの3種類ですが、ショータイプの毛の長さはショートです。
毛色は、ブラック、ブラック&タン、レッド、レッド&タン、フォーン、チョコレート、スモークブルーとさまざまです。
タンは黄褐色、フォーンは金色がかった色で、黒い差し毛がある濃いものから、薄く黄色がかったものまであります。スモークブルーは、薄墨色の濃淡のあるブルーのことです。
オーストラリアン・ケルピーの鳴き声
オーストラリアン・ケルピーは、基本的には穏やかな性格ですが、警戒心が強い一面もあります。
そのため、見知らぬ人に対して吠えやすい犬種です。人見知りな性格にならないように、小さいうちから、多くの人や犬と触れ合う機会をつくりましょう。
賢く、色々なことをすぐに覚えますが、小さいうちからコントロールしなければ、無駄吠えをすることもあります。運動不足が原因のこともありますが、トラブルにならないように気を付けましょう。
このような性質であることから、広々とした環境で飼うことが望ましいとされている犬種です。
無駄吠えが増えるようなときは、運動量をふやしたり、自由に走らせてあげたりストレスを解消してあげましょう。
オーストラリアン・ケルピーの寿命・病気
オーストラリアン・ケルピーの寿命は、11歳から13歳前後で中型犬としては平均的な長さです。
オーストラリアの南東部に住んでいた、マギーというオーストラリアン・ケルピーは30歳まで生きたという記録が残っています。
遺伝性の疾患には注意が必要ですが、牧羊犬、牧畜犬などの働く犬は長寿ランキングに並ぶことが多く、丈夫であることから、長生きすることが多いようです。
進行性網膜萎縮症:目の中の網膜が萎縮し、視力を少しずつ失っていく遺伝性の疾患。
症状は、初期では暗いところでぶつかるようになります。病状の進行にともない、周辺が見えなくなるため、動きが鈍くなり最終的には失明します。
治療法は、確立しておらず、点眼薬や内服薬で進行を遅らせたり、レーザー治療をする例もあります。予防法はないので、子犬を迎えるときは、親の病歴の確認や、遺伝子検査を行いましょう。
股関節形成不全:股関節のゆるみが原因となり、股関節が異常に形成されていく疾患。
股関節がしっかりはまっていない状態になるため、腰を左右に振るような歩き方になったり、足を引きずったり、脱臼しやすくなります。肥満にさせないことで発症リスクを下げることもできます。
拡張型心筋症:失神して死に至るケースもある疾患。原因不明ですが、特定の犬種や家系に多いことから、遺伝性の病気の可能性が考えられています。
対策法はありません。失神したらすぐに動物病院へ連れていきましょう。6〜8歳で多く発症する傾向があります。
小脳変性症:小脳に異常をきたす疾患。幼犬で発症し、成長とともに進行します。症状に歩き方の異常があり、股関節形成不全と間違われることがあります。
オーストラリアン・ケルピーのしつけ・飼い方
オーストラリアン・ケルピーは、仲間意識が強く愛情深いため、飼い主や家族をとても愛してくれる犬です。
飼い主も、この犬種が幸せになれるように、環境と生活習慣を提供してあげましょう。
また、賢い犬なのでしつけはしやすいですが、毅然とした態度で、はっきりと指示を出すことが大切です。
都会の集合住宅には向いていない犬種
都会では飼えない犬の代表格といわれる犬種です。
中型犬でコンパクトな体つきですが、野生犬ディンゴの血が入っているといわれているように、運動量は並外れています。
散歩は1日2回の1時間を最低限行い、ランニングもさせてあげましょう。
飼い主のために働くことに喜びを感じるため、もってこいの遊びや、一緒にドッグスポーツをするとよいでしょう。
普段から活動的に生活している人にとっては、最高の家族になってくれます。
さらに、運動だけではなく、屋外の広い場所でのびのびと過ごさせてあげることも、この犬種には必要なことです。
警戒心が強く、注意深いことから、吠えやすく、運動量が多いため、都会の集合住宅での飼育には向いていない犬種といわれています。
オーストラリアで最も愛されている家庭犬
オーストラリアン・ケルピーは、広大な土地をもつオーストラリアでは、最も愛されている、家庭犬です。
牧畜犬は多くいますが、オーストラリアン・ケルピーは、仲間意識が強く、穏やかで友好的な性格のため、主人だけではなく、家族全員を愛し、守ろうとしてくれます。
家庭の子供に少しイタズラをされても構わず、小さな子供の扱いがうまいと言われている犬種です。家族以外の、見知らぬ人には警戒心を持ちますので、番犬としても優れています。
大変賢い犬種なので、しつけはしやすく、また飼い主から与えられた仕事をよろこんで行う犬種です。
毎日の生活で、しつけ目的での指示を与え、この犬種の欲求を満たしてあげることも大切です。
食事と皮毛のケア
遺伝性の病気がなければ、基本的には丈夫で長生きしやすい犬種です。
皮毛のケアも、週2回程度のブラッシングと、換毛期の抜け毛の多さだけ気をつければいいので、ケアもしやすいです。
運動量が、維持できれば肥満にはなりにくいですが、筋肉量が多いため、タンパク質をしっかり摂れる食事を用意してあげましょう。
オーストラリアン・ケルピーの歴史
19世紀、スコットランド人がオーストラリアに入植した際に持ち込んだ、牧羊犬であるウェルシュ・コーギーやボーダー・コリーに、野生犬ディンゴの血が加わったという説があります。
ウェルシュ・コーギーとボーダー・コリーの賢さと忠誠心、ディンゴのエネルギッシュさと野生味が残っていることから、この説は肯定的にとらえられています。
オーストラリアン・ケルピーはいろいろな犬種が混ざっていることが考えられているため、その犬種が遺伝的に持っている疾患の発症には注意が必要です。
名前のケルピーとは、スコットランドの方言であるゲール語で、主に馬の姿をしている「水の精」を意味しています。
1872年に、オーストラリアの牧羊犬協議会で優勝したことがきっかけで、オーストラリアン・ケルピーは人気になり、オーストラリア国内での飼育件数が増えました。
家庭犬としても、牧羊犬としても、ショードッグとしても愛されているケルピーは、ワーキングドッグとショードッグの血統が明確に区別されています。
その理由としては、外見と性質を優先的に繁殖させた、ショードッグのオーストラリアン・ケルピーが、ワーキングドッグの血統に入ることで、この犬種の作業能力が落ちることが懸念されたからです。
現在は、日本ではまだ登録数が少ない犬種ですが、原産国のオーストラリアでは10万頭以上が登録されており、牧羊犬、ショードッグ、家庭犬として愛されています。
オーストラリアン・ケルピーの値段価格
オーストラリアン・ケルピーは日本では認知度が低く入手が大変難しい犬種です。数少ないブリーダーでは40万円前後で販売されています。
オーストラリアン・ケルピーの性質や特徴を十分に知らずに飼い、手に負えなくなって手放してしまう人もいることから、保護犬を探すと見つかることもあります。
海外では10万円程度で販売されている犬種です。個人輸入で購入することもできますが、手数料などを含めると、30万円〜40万円ほどになるといわれています。
ブリーダーから購入する場合は、必ず親の病歴の確認、遺伝子検査を行うようにしましょう。