
タイワン・ドッグの基礎情報
・日本語表記:タイワン・ドッグ
・英語表記:Taiwan Dog
・原産地:台湾
・発生:自然発生
・種類:原始的な犬/スピッツ
・サイズ:大型犬(43〜53cm)
・体重:オス14kg~18kg、メス12kg~16kg
タイワン・ドッグの性格・特徴
タイワン・ドッグは、台湾中部の山岳地帯で原住民とともに生活していた土着犬で、「フォルモサン・マウンテン・ドッグ」とも呼ばれています。
タイワン・ドッグの性格
タイワン・ドッグは、用心深い性格をしていますが、心を許した相手には、高い忠誠心を示します。
自宅など縄張り内にいるときは、防衛本能が強くなりやすく、見知らぬ人に対して警戒心をあらわにします。
非常に利口で、高い学習能力があるため、パトロール犬や災害救助犬としても活躍している犬種です。
しかし、訓練が行われていないタイワン・ドッグは、強い防衛本能により攻撃的になることがあります。
タイワン・ドッグは、野良犬の成犬でもしつけがしやすく、少し訓練するだけで、一般家庭で飼育が可能になる程、学習能力と適応力の高い犬種です。
タイワン・ドッグの特徴
タイワン・ドッグは、パリア犬の特徴をよく残し「三角形の頭部」「アーモンド形の目」「薄い立ち耳」「鎌状の尾」をもった犬種です。
パリア犬とは、南アジアのインドあたりで発症した犬種で、タイワン・ドッグとの血縁関係が確認されています。
体は筋肉質で、バランスが取れています。
台湾の山岳地帯の地形に適応した体と身体能力を持ち、山林が多く起伏の激しい土地を駆け回ることができます。
舌に黒のコーティングがあることも、タイワン・ドッグの特徴です。
純血のタイワン・ドッグは希少な存在
タイワン・ドッグは台湾のいたるところで見かけることのできる犬種と思われていますが、実は純血種は絶滅の危機に瀕しています。
タイワン・ドッグには台湾の歴史が深く関わっています。
純血種が希少になった理由には、台湾が植民地化される度に、海外から持ち込まれた犬と交雑されてきたことがあげられます。
ジャーマン・シェパードを軍用犬として台湾に連れてきた時に、台湾の山林激しく起伏の激しい地形を駆け回ることができず、足腰を負傷することが相次ぎました。
そこで、台湾の地形に適応した体をもったタイワン・ドッグとジャーマン・シェパードを交配し、タイワン・シャパードを生み出したこともあります。

タイワン・ドッグの毛色・目の色
タイワン・ドッグの被毛は短く、なめらかでツヤがあります。
毛色は、主にブラックが多く、他にもブリンドル、フォーン、ホワイト、ホワイト&ブラック、ホワイト&フォーン、ホワイト&ブリンドルがあります。
被毛ケアには、ラバーブラシがおすすめです。被毛が短いため、皮膚を傷つけないように、マッサージするように行うといいでしょう。汚れたときは、ぬるま湯で濡らし、固く絞ったタオルで体を拭いてあげます。
目の色は、ダークカラーで、アーモンド形をしています。
タイワン・ドッグの鳴き声
タイワン・ドッグは、訓練の有無でまったく性質が異なる犬種です。
もともと台湾・ドッグは他人に対して注意深く、警戒心をもっているため、自分のテリトリーにいる時には吠えやすく、番犬としての適性が高いです。
訓練していないタイワン・ドッグは、他人に対して攻撃的になることがあるといわれています。
一方で、訓練されているタイワン・ドッグは、災害救助犬、パトロール犬。スタント犬にも使われています。そのため、不必要に吠えることがない、非常に賢い犬種です。
タイワン・ドッグの寿命・病気
タイワン・ドッグの寿命は、10〜13歳です。
タイワン・ドッグは、パリア犬と血縁関係にある、パリアタイプの犬種です。パリアタイプの犬は、病気に強く、適応力と強い生命力をもっています。
日々の健康管理や飼育環境によっては16歳まで生きることも珍しくありません。この犬種特有の遺伝性疾患もなく、かかりやすい注意すべき疾患もありません。
温暖な気候の台湾で生まれた犬種ですので、日本の冬の寒さには気をつけてあげましょう。
室外で飼育している場合は、ベッドに毛布を置いてあげたり、暖かく過ごせるように環境を整えてあげます。
可能であれば、寒い時期は、温度管理された室内で飼育してあげるといいでしょう。

タイワン・ドッグのしつけ・飼い方
タイワン・ドッグは非常に健康で丈夫な体が特徴の犬種です。タイで生まれた犬種のため、日本で飼育するためにはいくつかの注意点があります。
毎日の運動でストレスをため込まない
タイワン・ドッグは、山岳地帯を駆け回ることのできる身体能力とスタミナのある犬種です。
都市部で飼育する場合には、運動不足になりやすいため、毎日の散歩を欠かさないようにしましょう。
1日1時間以上の散歩に加えて、ドッグランなどで自由に走らせてあげます。週末は、トレッキングなど一緒に自然に触れ合う体験をすることもおすすめです。
寒さに弱いため冬場は注意
タイ原産のタイワン・ドッグは、寒さに弱い犬種です。
冬場は、お家の中で暖房器具を使用し、ベッドも毛布などを用意して暖かく過ごせる環境を整えてあげます。お散歩時間も、なるべく暖かい時間を選んで連れて行ってあげましょう。
基本的に丈夫で健康な犬種ですが、冬場に体調の変化があれば、早めに動物病院を受診してください。
成犬になってからも訓練可能
一般的に、警戒心が強い犬種は、成犬になってからのしつけや訓練は難しいといわれています。
しかし、タイワン・ドッグは適応力と学習能力が優れ、成犬の野良犬でも、少しのしつけで家庭犬として飼育できるようになります。
成犬の保護犬の里親になることも可能な犬種です。

タイワン・ドッグの歴史
タイワン・ドッグの起源は、南アジアに生息している「パリア犬」と呼ばれる狩猟犬の子孫と考えられており、タイワン・ドッグは、パリア犬の特徴を強く引き継いでいます。
タイワン・ドッグは台湾に人が初めてやってきた時に一緒に連れてこられた犬で、台湾の原住民と共に山岳地帯で狩猟を行っていました。
山岳地帯でも自由に駆け回ることのできる高い身体能力をもつように進化していったタイワン・ドッグは、次第に台湾の歴史と共に大きく変化していくことになります。
まず、台湾がオランダの植民地支配された際に、オランダ人が持ち込んだオランダ原産の猟犬と交雑が行われます。
またオランダ人は、台湾人が犬を飼育することを禁止したために、台湾人は自分の飼育していた犬たちを放って、野良犬にするしかありませんでした。
次に、日本人が台湾を植民地支配した時代、軍用犬としてジャーマン・シェパードが台湾国内に持ち込まれました。
しかし、ジャーマン・シェパードは台湾の気候や地形に適応する事ができず足腰を痛めてしまうことが度々ありました。
代わりにタイワン・ドッグが軍用犬として用いられますが、より地形に適応した優秀な軍用犬を生み出そうと、ジャーマン・シェパードとタイワン・ドッグを交配させ、台湾・シェパードという品種が作られました。
戦後の植民地支配が終わると、今度は台湾に輸入された海外の犬種との自然交雑が進み、さらに純粋なタイワン・ドッグの頭数が激減し、ついに絶滅の危機に瀕してしまいます。
1950年代に、タイワン・ドッグの本来の姿を取り戻そうという活動が起こります。
博士や知識人の研究によって交配計画が立てられ、純粋に近いタイワン・ドッグが選ばれました。この計画は近年完了し、この計画で生まれたタイワン・ドッグは「フォルモサン・マウンテン・ドッグ」と呼ばれています。
2004年に国際畜犬連盟FCI ( Fédération Cynologique Internationale ) により暫定公認を受け、2015年にタイワン・ドッグとして正式公認犬となりました。
タイワン・ドッグの値段価格
タイワン・ドッグは、日本でブリーディングは行われておらず、見かけることはほとんどない犬種です。
台湾へ旅行した際には、街中でたくさんの犬たちと出会えますが、純粋なタイワン・ドッグは台湾においてもまだ珍しい存在です。
日本で迎え入れる場合には、台湾からの輸入となりますので、ペット輸入代行業者を利用するといいでしょう。
迎え入れるまでの費用は、一般的に諸経費を含めて50万円程度です。
台湾の歴史に翻弄されたタイワン・ドッグですが、非常に丈夫で適応力のある犬種です。タイワン・ドッグに興味をもたれた方は、ぜひ台湾へ旅行の際に探してみてください。
その際には、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。