ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの基礎情報
・日本語表記:ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバー
・英語表記:Nova Scotia Duck Tolling Retriever
・原産地:アメリカ合衆国
・発生:人為的発生
・種類:ポインター/セター以外の鳥猟犬
・サイズ:大型犬(45cm~51cm)
・体重:オス 20kg~30kg、メス 17kg〜20kg
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの性格・特徴
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、レトリーバー種の中では最小サイズで、家庭犬として飼育しやすい犬種です。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの性格
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、優しく明るい穏やかな性格をしています。
よく人に懐き、賢いため、しつけや訓練がしやすい犬種ですが、賢すぎるために、間違った訓練をするとそのまま覚えてしまい、修正することが難しいといわれています。
大変理解力も高く、忍耐強く、有能なスイマーでもあります。
飼い主のわずかな合図にも瞬時に行動を起こし、その強い回収欲と遊び好きな性格は、獲物を誘き寄せる手法「トーリング」に欠かせないものです。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの特徴
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、中型で、レトリーバー種の中では最小のサイズです。
力強くコンパクトで、バランスの取れた体をしており、筋肉がよく発達した犬種です。敏捷性、警戒心、決断力に富み、高い運動能力も持ち合わせています。
この犬種の多くは、作業に入る前はやや悲しげな表情をしていますが、作業に入ると、高い集中力をもち興奮状態になります。
作業はスピーディーに突進するような動作で行なわれます。
得意とする狩猟法トーリング
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの名前の由来ともなっている、「トーリング」という狩猟法は、水鳥を誘き寄せる方法です。
飛び跳ねたり、じゃれたり、狂ったように水辺を走り回ると、獲物である鴨は、「何をやっているんだろう」好奇心をもって岸に近づいてきます。
それを隠れていたハンターが撃ち落とし、本犬種が回収するという方法です。
狂ったようにはしゃぐ振る舞いは、この犬種の明るく陽気な性格だからこそできるようで、優秀なレトリーバーである、ラブラドール・レトリーバーでは真面目な性格のため、同じ方法はできないといわれています。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの毛色・目の色
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの毛色は、レッドまたはオレンジのさまざまな色調で、飾り毛と尾の下側はそれより明るい色になっています。
通常ホワイトの斑が尾の先端、足、胸、ブレーズの少なくとも一ヶ所にあります。
本犬種の被毛は、耐水性のある、中くらいの長さのやわらかく密に生えた下毛をもつダブルコートです。
背中の被毛は、ややウェーブしていることもありますが、そのほかの部分はまっすぐになっています。
冬になると、喉の部分は長くゆるいカーブのかかった被毛におおわれることがあります。喉、耳の後ろ、大腿の後ろの飾り毛はやわらかく、前脚にも適度な飾り毛がみられます。
換毛期には多くの抜け毛がありますので、毎日のブラッシングが必要です。換毛期以外の季節は、週に1〜2回ブラッシングしてあげましょう。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの目は、離れてついており、アーモンド形で中くらいの大きさです。
色はアンバーからブラウンの間の色調です。友好的で利口な表情をしています。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの鳴き声
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、狩猟犬として水鳥をおびき寄せていたルーツを持ちますが、狩猟中は吠えずにじっと獲物を待つ忍耐力がある犬種です。
そのため、ほとんど吠えず、温厚な性格で人懐っこいため、警戒心から激しく吠えたてることもありません。
子犬の頃から、家族以外の人にもたくさん可愛がってもらうことで友好的な性格を育ててあげましょう。
さらに、さまざまな場所に連れて行き多くの経験をさせることで、刺激にも慣れさせるといいでしょう。
トレーニングに関しては、プロのドッグトレーナーによる訓練が推奨されています。賢いばかりに、初心者が間違った訓練をしてしまうと後から修正が難しくなるため注意してください。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの寿命・病気
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの寿命は12歳〜14歳で、一般的な寿命とほとんど変わりませんが、大型犬としてはやや長命な寿命です。
比較的遺伝性疾患が少なく、命に関わるような疾患も少ない、丈夫で健康的な犬種です。
皮膚炎:細菌や真菌感染やアレルギーなどが原因で発症する皮膚疾患。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、耐水性のある下毛をもち、皮膚が蒸れやすい犬種です。
蒸れた状態が慢性化すると、皮膚のバリア機能や免疫力が低下することで、元々皮膚に常在している黄色ブドウ球菌などが皮膚に侵入し、増殖することで細菌感染を起こします。
他にも、かゆみや炎症を伴うアレルギー性皮膚炎など、命には関わりませんが、治療が長期化する慢性的な皮膚疾患になることもあります。
関節炎:関節の軟骨に炎症が起こる疾患。関節の軟骨に炎症など障害が起こり、その進行・悪化によって慢性的な痛みをもたらし、歩行に障害が出る疾患です。
歩き方に異変を感じた時には、関節炎を疑い早めに動物病院を受診するようにしてください。
初期の症状であれば、鎮痛剤や消炎剤、サプリメントなどの内科的治療が行われ、体重管理や運動療法により筋肉をつけたり関節の可動域を広げる治療を行います。
肥満は、関節炎の大敵ですので、日頃から体重管理をして、おやつなどは与えすぎないようにしましょう。
外耳炎:鼓膜から耳の穴までの外耳の炎症。ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは垂れ耳に加え、被毛に覆われていることから、耳が蒸れやすい犬種です。
また、水遊びが好きですが、耳の中に水が入りやすいため、水に入った後は、耳をよく拭いてあげましょう。
「頭をよく振る」「耳の後ろ側をよく掻く」「耳から臭いがする」などの症状があれば、動物病院を受診してください。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーのしつけ・飼い方
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、オールマイティーにスポーツのできる身体能力をもちながら、家庭犬としての適性も高い犬種です。
体を動かすことが大好きエネルギッシュな犬種
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、運動量が非常に豊富な犬種です。
毎日朝夕30分から60分ずつの散歩を行うようにしてください。飼い主の指示通りに動くことを得意としているため、ドッグスポーツに挑戦することもおすすめです。
大変賢く、判断能力も優れていることから、知育トイやゲームなども喜んで遊ぶでしょう。
トレーニングはプロのトレーナーがおすすめ
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、性格が穏やかで、人懐っこいため初心者でも飼育しやすい犬種です。
しかし、トレーニングに関しては、熟練の技術があった方がいいでしょう。
本犬種は、非常に賢くトレーニングが入りやすい反面、間違った訓練を行ってしまうと、後で修正が非常に難しいといわれています。
犬の訓練に自信がない場合には、子犬の頃からプロのドッグトレーナーに依頼するといいでしょう。
暑さに弱い体質夏場は水遊びを取り入れて
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは北米生まれのため、寒さに耐えられる厚い被毛をもっており、暑さに弱い体質です。
高温多湿の夏場は、非常に危険で、熱中症のリスクがあります。夏場は庭にプールを出すなど、水遊びが日常的にできる環境を作ってあげましょう。
室内飼育はもちろんですが、散歩も涼しい時間帯にいつもより短めに行うようにしてください。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの歴史
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、19世紀初頭に、鴨などの水鳥をおびき寄せ回収するためにノヴァ・スコシア半島で改良された犬種です。
イギリス原産の絶滅犬種である、レッド・デコイ・ドッグやラフ・コリー、スパニエル種の犬やセッター種の犬、レトリーバー種の犬などを計画的に交配させたといわれています。
国際畜犬連盟FCI( Fédération Cynologique Internationale )のレトリーバー犬種としては最も新しく、最小のサイズです。
本犬種は「トーリング」という名前の通り「デコイ猟」という変わった狩猟に使われていました。デコイ猟は、猟師と犬がペアになって行い、鴨などの水鳥の狩猟によく用いられました。
ノヴァスコシア半島では猟犬としてよりもペットやショードッグとして人気が高く、1945年にカナダのケネルクラブで公認されました。
のちに、国際畜犬連盟FCI ( Fédération Cynologique Internationale ) にも公認犬種として登録され、世界的に知られるようになります。
現在は、デコイ猟の衰退により、実猟犬として使われる機会が激減しましたが、その代わりに家庭犬や、ショードッグとして飼育され、世界的に安定した人気を誇っています。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーの値段価格
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、世界的に知名度もあり人気の犬種ですが、日本においては、まだ知名度が低い犬種です。
しかしながら、徐々に飼育数が増えており、1年おきに5頭未満の犬籍登録だったのが2020年頃から20頭前後の犬籍登録が行われています。
ブリーディングはわずかですが行われていますので、早めに予約を入れ、出生情報を待つか、海外からの輸入によって迎え入れる必要があります。
ペット輸入代行業者を介して輸入する場合、現地のブリーダーとやりとりを代行してくれますが、費用は一般的に諸経費を含めて50万円程度といわれています。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーは、小柄なレトリーバーという認識だけで飼育すると、この犬種のエネルギッシュな運動量に対応できない可能性があります。
迎え入れる前に、運動やトレーニングへの知識を十分に得る必要があります。
ノヴァ・スコシア・ダック・トーリング・レトリーバーに興味をもたれた方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。