ロシアン・トイの基礎情報
・日本語表記:ロシアン・トイ
・英語表記:Russian Toy
・原産地:ロシア
・発生:人為的発生
・種類:愛玩犬
・サイズ:小型犬(19cm〜29cm)
・体重:オス2kg~3kg、メス 2kg〜3kg
ロシアン・トイの性格・特徴
ロシアン・トイは、トイ・マンチェスター・テリアにルーツをもつ犬種で、パピヨン、ミニチュア・ピンシャー、チワワなどを交配して改良したと考えられています。
ロシアン・トイの性格
ロシアン・トイは、活発で非常に陽気な性格をしています。過度に臆病で攻撃的なところもなく、家庭犬として飼育しやすい犬種です。
性格には、性差があり被毛のタイプによっても異なります。
オスの方が明るく活発で、メスは比較的穏やかです。スムースコートタイプは、やや神経質で気が強く、テリア犬種に近い気性をしています。一方でロングコートタイプは、穏やかな性格をしています。
スムースコートとロングコートの性格があまりにも違うことから、両タイプを別犬種として扱うことが適切ではないかという意見もあります。
家庭犬としては、ロングコートタイプが圧倒的に人気があり、スムースコートタイプは実用犬として飼育することが、適しているといわれています。
ロシアン・トイの特徴
ロシアン・トイは、小さな体で優雅な雰囲気があります。
骨格は華奢ですが、筋肉は引き締まっており、脚の長い体型です。性格とは異なり、外見に性差はありません。
被毛は2種類あり、ロングコートタイプとスムースコートタイプがあります。被毛タイプによって性格が大幅に異なっています。
細めの先細りのマズルをもち、頭部はアップルヘッドですが、同じくアップルヘッドのチワワと比べると、頭部は小さめで、目のサイズも普通です。
チワワとそっくりなロシアン・トイ
チワワに次ぐ小型犬ともいわれている小柄な体型で、ロング・コートとスムース・コートの2タイプがあることもチワワと似ています。
ロシアン・トイとチワワを見分けるポイントは、足にあります。
ロシアン・トイの足は、チワワよりも細く長く、歩き方もリズミカルで軽快です。また、頭部も同じアップルヘッドではありますが、チワワと比較すると小さく、目も小さめです。
チワワは、飼い主に対しては甘えん坊で愛情深いですが、一方で人見知りで内弁慶タイプが多い傾向にあります。
ロシアン・トイのスムースコートタイプは、やや神経質で気が強く、テリア気質が残されています。ロングコートタイプは、穏やかで優しく落ち着いているため、チワワよりも初心者向きの家庭犬といえます。
ロシアン・トイの毛色・目の色
ロシアン・トイは、被毛の長さが異なるロングコートタイプと、スムースコートタイプの2タイプが存在しています。
いずれもシングルコートで抜け毛が少ないのですが、ロングコートタイプは、耳や脚、お腹に長い被毛があるため、週に2〜3回程度のブラッシングが必要です。
スリッカーブラシでブラッシング後、コームで毛並みを整えてあげましょう。
スムースコートタイプは、ラバーブラシでマッサージするようにブラッシングしてあげてください。被毛が短い上にシングルコートなので、寒さに弱く、冬は洋服を着せてあげたり、ベッドには毛布をおいてあげましょう。
毛色は、ブラック&タン、ブラウン&タン、ブルー&タン、レッドがあります。
レッドはシェードにブラック、またはブラウンのオーバーレイがあってもなくてもよいとされています。すべての毛色は、よりシェードの鮮やかなものが好ましいです。
ロシアン・トイの目は、容姿のよく似たチワワと比較すると少し小さいですが、優しい表情をしています。目の色は、ダーク・カラーです。
ロシアン・トイの鳴き声
ロシアン・トイの鳴き声は、小型犬らしい甲高い声をしていますが、攻撃的な犬種ではないため、むやみに吠えることは少ないです。
とくにロングコートタイプのロシアン・トイは、優しく穏やかで落ち着いた気質のため、吠えることは少ないでしょう。
知らない人や犬に対しても、フレンドリーに接します。
スムースコートタイプのロシアン・トイは、神経質で気が強いため、やや吠えやすく社会性を身につける訓練や、しつけが必要です。
警戒心が芽生える前に、多くの人や犬と触れ合い友好的な性格を引き出してあげましょう。日常的に、他の犬と出会うことが少ない場合には、しつけ教室や犬の保育園の利用を検討してみてください。
神経質な犬は、刺激に対して敏感なため、さまざまな音や匂いなどに慣れさせましょう。
ロシアン・トイの寿命・病気
ロシアン・トイの寿命は12〜14歳で、小型犬の平均寿命は15歳なので、やや短命の犬種です。
膝蓋骨脱臼(パテラ):膝蓋骨が外れた状態。ロシアン・トイは、脚の骨が細く長いため、関節疾患に注意が必要です。とくに、膝蓋骨脱臼には注意してください。
最初は、外れたり戻ったりを繰り返し、最終的には常に脱臼した状態となります。遺伝性が疑われていますが、根本的な原因は不明とされています。
脱臼しても普通に歩く犬もいるため、気がつきにくいことがあります。普段の散歩で気になる歩き方を見かけた時には、動画をとっておくと診察の時に役に立ちます。
膀胱炎:細菌感染や膀胱結石が原因で膀胱に炎症が起きる疾患。
膀胱炎は、細菌感染や、長時間濃い尿が膀胱内に溜まるなど、膀胱にとってよくない刺激が続くことで炎症が起こる疾患です。膀胱炎の初期症状には、「頻尿」「残尿感」などがあります。
とくに、少量の量を頻回行うようになった時は注意が必要です。尿をする姿勢をしても、尿が出ていないときには、尿路が塞がってしまっている可能性があるため、早急な治療が必要な場合もあります。
膀胱内に結石があったり、炎症が重度になると、尿中に血液が検出されます。膀胱炎の原因で多いものは、細菌感染のため、ロシアン・トイのトイレや飼育スペースは常に清潔にするようにしてください。
ロシアン・トイのしつけ・飼い方
ロシアン・トイは、日本では珍しい犬種ですが、小柄であまり吠えないため、都市部の集合住宅でも飼育が可能な、優れた家庭犬です。
関節に負担をかけない安全な飼育環境を整える
ロシアン・トイは、チワワのように小柄ですが、さらに足が長く細いという特徴があります。
そのため、関節疾患や骨折には十分に注意しなければなりません。滑りやすいフローリングには、滑り止めのマットを敷き、なるべく段差をなくすようにスロープをつけてあげましょう。
抱っこしているときに、落下したり、ソファの上から飛び降りたりすることにも注意してください。
加齢とともに、関節疾患のリスクが上がるため、シニア期には関節のサプリメントなども取り入れるといいでしょう。
運動量は少なめだが散歩は積極的に行う
ロシアン・トイは、体が小さく運動量が少ない犬種ですが、散歩には連れて行くようにしてください。
家の中でばかり過ごし、家族以外の人との触れ合いがないと、臆病で神経質な性格になってしまいます。
散歩中に出会った犬と挨拶をして一緒に遊んだり、初めて会う人からも可愛がってもらうことで、社交的な性格を育てていきます。
散歩中に他の犬と触れ合う機会がない場合には、ドッグランで遊ばせたり、しつけ教室などに通うといいでしょう。
たくさん遊んでコミュニケーションをとる
ロシアン・トイは、運動量は少なめですが、飼い主と遊ぶことが大好きです。
家の中でもおもちゃや、知育ゲームなどで一緒に遊ぶようにしてください。子犬の頃からたくさんコミュニケーションを取ることで、信頼関係を築き、しつけやトレーニングを行うようにしてください。
甘やかしてばかりいるとわがままに育ってしまいますが、強い口調で叱ったり、恐怖心を与えないようにしてください。
できたことを褒め、毅然とした態度で接することが大切です。
ロシアン・トイの歴史
20世紀初頭、ロシアで最も人気のある犬種は、トイ・マンチェスター・テリアでした。しかし、1920年〜1950年の間、純血のトイ・テリアの繁殖はほとんど行われず、絶滅の危機に瀕していました。
50年代半ばになって初めてロシアのブリーダー達は、トイ・マンチェスター・テリアの復興に乗り出しました。
しかし、この時に作られたスタンダードは、トイ・マンチャスター・テリアと多くの点で異なるものでした。
こうして、ロシアで独自の発展を遂げて行くことになりました。
1958年に2頭のスムースコートの犬から、耳および脚に素晴らしいフリンジをもつメスが誕生しました。この特徴を保持できるように繁殖が行われ、ロシアン・トイのロングコートタイプが誕生しました。
当時の繁殖には、パピヨンやミニチュア・ピンシャー、ロングコート・チワワ、スムースコート・チワワが用いられていました。
1964年にロシアのドッグショーにデビューし、1966年には公式なスタンダードが発表され犬種として、仮公認を受けるまでに至りました。
しかし、1970年代になると人気は薄れ、希少な犬種となってしまいます。
1990年代から愛好家が集い、さらなるブリーディングの強化と知名度の向上のための活動を行ったことにより、知名度と人気は世界的に上昇しています。
しかし、まだ犬の数は少なく、多くはロシアで飼育されています。
ロシアン・トイの値段価格
ロシアン・トイは、日本においては珍しい犬種です。
ジャパンケンネルクラブによると、2008年に初めて犬籍登録が行われ17頭のロシアン・トイが登録されましたが、徐々に減り2012年に2頭の登録が行われて以降登録されていません。
日本の都市部の集合住宅に合った犬種のため、今後人気が出てくる可能性は十分にあります。しかし、現在のところロシアン・トイの飼育を希望する場合には、海外からの輸入が必要になります。
ペットの輸入代行業者を利用した場合、一般的には諸経費を含めて50万円程度の費用がかかりますが、現地のブリーダーとのやりとりを代行してくれます。
ロシアン・トイは、被毛のタイプによって気質が大きく異なるため、初めて飼育する人にはロングコートタイプがおすすめです。
抜け毛が少なく、優しく穏やかなロシアン・トイは、家庭犬として非常に優れていますので、本犬種に興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考にロシアン・トイについて知っていただければと思います。