クロアチアン・シープドッグの基礎情報
・日本語表記:クロアチアン・シープドッグ
・英語表記:Croatian Sheepdog
・原産地:クロアチア共和国
・発生:人為的発生
・種類:牧羊犬/牧畜犬
・サイズ:中型犬(40~50cm)
・体重:オス13kg~16kg、メス13kg~16kg
クロアチアン・シープドッグの性格・特徴
クロアチアン・シープドッグは、家畜を集めたり、護衛をする役割の牧畜犬として活躍していました。活き活きとして、用心深く控えめな性格で、賢く訓練が簡単な犬種です。
クロアチアン・シープドッグの性格
クロアチアン・シープドッグは、活発な牧畜犬のなかで珍しく、日本の集合住宅地で飼育が可能といわれるほど、従順で忍耐強い性格の持ち主です。
特徴的なのは、番犬としての気質と、穏やかで忍耐強い家庭犬、両方の顔を持っていることです。
見知らぬ人に対して警戒心は抱きますが、攻撃的になることはなく、そっけない態度や不愛想な態度をとります。
基本的には、親しみやすく、聡明、謙虚な性格で、牧畜犬らしい、活発さ、鋭敏さ、機敏さ、勇敢な気質も持ち合わせています。
クロアチアン・シープドッグの特徴
クロアチアン・シープドッグは、中型犬のなかでも最も小さい部類に入ります。
日本犬の「スピッツタイプ」の犬種で、キツネのような細い頭とつぶらな目、大きな三角形の立ち耳、があり、ふさふさの巻き尾が可愛らしいです。
つややかで、ウェーブがかった黒い被毛が華やかな雰囲気です。性別による体の大きさの違いはありません。
都会でも飼うことができる牧羊犬
多くの牧羊犬は、たくさんの運動量と、警戒心の強さから、日本の集合住宅地での飼育は難しいとされています。
しかしクロアチアン・シープドッグは、十分な運動量さえ確保できれば都会でも飼育が十分に可能といわれている犬種です。
身体の大きさが、コンパクトなだけではなく、この犬種は異常なほど忍耐力があるためです。
さらに友好的な性格で、家族と遊ぶことも大好きなので、小さな子供や他の犬とも仲良く遊んでくれます。
タフな身体をしているので、屋外でも屋内でも飼育は可能ですが、室内飼育の場合は、すべって関節を傷めないようにカーペットを敷いてあげましょう。
クロアチアン・シープドッグの毛色・目の色
クロアチアン・シープドッグは、美しくつややかな黒い被毛が華やかな雰囲気の犬種です。
毛色は、ジェットブラックと呼ばれるカラーで、わずかに白斑がある犬もいます。
頭部、ボディおよび尾の白斑は認められていません。喉の下部、胸および尾の白斑は認められていますが、好ましくないとされています。
柔らかく密生した下毛と7cm〜14cmほどの長さのカールした上毛のダブルコートです。頭部と、足の前部分のみ短くスムースコートなのがこの犬種の特徴です。
また、ふさふさの巻き尾が可愛らしい印象です。週に1〜2回のブラッシングと月に1〜2回のシャンプーのみのケアですので、お手入れは簡単です。
目の色は、美しい琥珀色でつぶらな瞳をしています。
クロアチアン・シープドッグの鳴き声
クロアチアン・シープドッグは、非常に甲高い、響きやすい鳴き声をしています。
牧羊犬としての本能にくわえて、ガードドッグとしても活躍していたため、警戒心が強く、見知らぬ人や、不審な音などに警戒心を抱き吠えてしまうことがあります。
しかし、人に対して攻撃的になることはないため、住宅地での飼育に心配はいりません。
インターホンに反応してしまう場合は、インターホンの音を変えたり、無音で光の点滅で知らせるタイプのものに変えるなど対策するといいかもしれません。窓から人影が見えることにも反応しますので、カーテンを付けることも効果的です。
しつけはしやすい犬種なので、しつけや訓練によって警戒吠えを少なくさせることもできます。
クロアチアン・シープドッグの寿命・病気
クロアチアン・シープドッグの寿命は、13歳から14歳前後で平均的な中型犬の寿命と比較して少し長いです。
基本的には、健康で病気に強い犬種で、純血種犬に多くみられる、犬種特有の遺伝性疾患を持っていません。
しかし、中型犬、大型犬によく発症する疾患には注意しましょう。
股関節形成不全:股関節のゆるみが原因となり、股関節が異常に形成されていく疾患。
股関節がしっかりはまっていない状態になるため、腰を左右に振るような歩き方になったり、足を引きずったり、脱臼しやすくなります。通常は両側性に発症しますが、まれに片側性に発症する場合もあります。
筋力をつけ肥満を防ぐことで、進行を遅らせたり、発症リスクを下げることができます。
大変タフな犬種ですが、日本の高温多湿な気候は負担になりますので、夏場は涼しい時間に散歩へ連れて行き、熱中症や脱水症状に注意してあげましょう。
クーバーのしつけ・飼い方
クロアチアン・シープドッグは、都会での飼育も可能ですが、運動は十分に行ってあげましょう。しつけも容易なので、素晴らしい家族の一員になってくれる犬種です。
身体をたくさん動かしてあげる
クロアチアン・シープドッグは、牧羊犬のころには広大な土地や大自然を走り回っていました。
毎日の散歩に加えて、ドッグランなどの広い場所を自由に走らせてあげたり、週末には自然を感じられる郊外へ連れていってあげましょう。
散歩は1日1回の1時間、もしくは1日2回の30分を速足でしてあげる必要があります。
頭がよい犬なので、アジリティーやドッグスポーツを一緒に楽しんだり、仕事を指示して与えるなど、この犬種の本能を刺激してあげましょう。
身体を動かすことや、アウトドアが好きな飼い主や、家族にはぴったりの犬種です。
しつけや訓練がしやすい賢い犬種
クロアチアン・シープドッグは、とても賢く学習能力が高い犬種です。
そのため、しつけやトレーニングは比較的スムーズに行えるでしょう。高いレベルのトレーニングも、繰り返し行うことで、習得できるといわれています。
大変忍耐強いため、十分な運動と、基本的なトレーニングを行えば、大変優秀な家庭犬となります。
また、牧畜犬は飼い主のために働くことに喜びを感じますので、日常生活でも、役割を与えたり、指示を出すことで、この犬種の欲求を満たしてあげましょう。
美しい被毛のケア
クロアチアン・シープドッグは、艶やかで美しい真っ黒な被毛を持っています。
普段は週に1〜2回のブラッシング、月1回のシャンプーをしてあげましょう。シャンプーの後は、しっかりと乾かしてあげないと、皮膚炎になりやすいので気をつけます。
換毛期には、たくさんの抜け毛がありますので、頻回のブラッシングを行います。
ブラッシングの際には、皮膚状態も観察しながら行うと、皮膚炎やアレルギーなどの症状を初期のうちに見つけることができますし、コミュニケーションも取れますので、適宜行なってあげましょう。
クロアチアン・シープドッグの歴史
クロアチアン・シープドッグの明確な起源は明らかにされていませんが、7世紀ごろ、移民と共にクロアチアにやって来た作業犬が基礎になっているといわれています。
1374年に記された文書の中に、すでに現在のクロアチアン・シープドッグを思わせる犬に関する描写があることから、14世紀ごろには生存するといわれており、大変歴史の古い犬種です。
1700年代の文書においても、同様の記述があることから、クロアチアン・シープドッグは1300年代から形を変えることがなかったことが推測されます。
今日のクロアチアン・シープドッグを築き上げたのはStjepan Romic教授で、1935年から計画的に繁殖を開始しました。
それから約30年後、1969年に国際畜犬連盟FCI ( Fédération Cynologique Internationale ) に公式に認定されました。以降、全世界に認知されるようになります。
現在では、飼育頭数が年々減少しており、ブリーダーによって犬種の存続が行われている状況です。
日本のジャパンケネルクラブでも、牧羊犬・牧畜犬として登録されていますが、2018年の犬種別犬籍登録には名前が見当たらず、国内では目にすることがほとんどない大変珍しい犬種です。
クロアチアン・シープドッグの値段価格
クロアチアン・シープドッグは日本はもちろん原産国のクロアチアでもなかなか見ることができない、珍しい犬種です。
賢く、家庭犬としても向いている魅力的な犬種ですが、残念なことに、なかなか見つけることができず飼育できないのが現状です。
どうしても、家庭に迎え入れたい場合には、海外で探し、個人輸入する必要があります。
日本の高温多湿の夏は、クロアチアン・シープドッグにとって負担にもなりますので、室内で飼育し、温度管理には十分に気をつけてあげましょう。
クロアチアン・シープドッグに興味を持たれた方は、ぜひ本記事を参考にしてください。