サモエドの基礎情報
・日本語表記:サモエド
・英語表記:Samoyed
・原産地:ロシア
・発生:自然発生
・種類:原始的な犬/スピッツ
・サイズ:中型犬(50〜60cm)
・体重:オス25kg~32kg、メス18kg~25kg
サモエドの性格・特徴
サモエドは大きな体に雪のような白くふわふわした被毛と、サモエドスマイルと呼ばれる表情が魅力の犬種です。
サモエドの性格
サモエドは、人とともに暮らしてきた歴史があるため、人懐っこく、誰にでも友好的な性格をしています。
攻撃性もなく、他の犬ともすぐに一緒に遊びたがる、フレンドリーさがあります。非常に賢く、トイレトレーニングなどの基本的なしつけは、すぐに覚えてしまいます。
甘えん坊な性格をしているため、家に常に誰かがいるような家庭でなければ、落ち着きがなくなり、無駄吠えをするようになってしまいます。
室内飼育で、たくさん触れ合える環境を作ってあげましょう。
サモエドの特徴
サモエドは、真っ白でふわふわの被毛が上品な印象の犬種です。
体は、力強く、耐久力に富み、柔軟性もあります。立ち姿は威厳があり、自信に満ちています。「サモエドスマイル」と呼ばれる表情は、目の形と位置、広角のわずかな上向きカーブによって作られています。
中型犬と大型犬の中間に位置する体の大きさで、オスは大きく、大型犬に並ぶ大きさです。
前後の脚は筋肉質で力強く、強い骨をもっています。足先はオーバル(たまご形)で指はアーチし、握りすぎてはいません。
尾の付け根は高めで、警戒したり動いている時は、巻き尾になっており、静止時には垂れ下がっています。
極寒の地で人とともに生きてきた犬種
サモエドは、最暖平均気温10度未満の極寒の地で、そり引きやトナカイの警護などに使われていた犬種です。
極寒に耐えられるような豊富な被毛と皮下脂肪があり、耐寒性だけではなく厳しい作業も行える強靭な体力と持久力もあります。
極地探検に同行することも多く、体格の割にあまり食べないことが評価されていました。人とともに屋内で眠り、暖房の代わりとして用いられていたともいわれています。
このように、過酷な環境で人とともに生き抜いてきたサモエドは、人との信頼関係が強く、温和で社交的な性格となりました。
サモエドの毛色・目の色
サモエドの被毛は、やわらかく短く密に生えた下毛と、より長く、堅く真っすぐな上毛のダブルコートです。
とくにオスは、首と肩にラフ(首まわりの長くて厚い毛)が豊富で、頭部を形作っています。頭部と脚の前部、耳の外側の被毛は短く、スムースで、耳の内側にも十分な被毛が生えています。
大腿の裏側の被毛は、ズボンをはいたようで、前後の足の指の間にも保護毛があり耐寒性に優れています。
尾は豊富な被毛でおおわれており、メスの被毛は、オスと比較すると少し短くやわらかい質感です。
毛色は、ジャパンケネルクラブによると、ピュアホワイトかクリームがあります。きらめくような輝きがあり、サモエドの美しい被毛は「最も美しい犬」と評されたこともあるほどです。
サモエドの目の色は、ダーク・ブラウンで、やや斜めにつき、アーモンド形をしています。表情はいつもほほ笑んでおり、優しい雰囲気を作っています。
サモエドの鳴き声
サモエドの鳴き声は、よく通る大きな声をしています。
サモエドは、吠えることで飼い主とコミュニケーションを取ろうとする犬種です。そのため、住環境などを理由に、吠えてほしくない場合は、しつけが必要です。
非常に賢く、飼い主の意図することを汲み取れる犬種ですので、しつけや訓練はすぐ行えるでしょう。
しかし、甘えん坊な性格をしているため、留守がちな家庭は寂しさから無駄吠えなどをしやすい気質になってしまいます。
常に家族と寄り添えたり、存在を感じられるような環境で暮らすことで、安心し穏やかに吠えることが少ない犬種です。
甘えん坊で寂しがりやな性格は、とくにオスが顕著ですので、オスのサモエドを迎えた時には、寂しい思いをさせないように気を配りましょう。
サモエドの寿命・病気
サモエドの寿命は、12歳〜13歳で、中型犬としては平均的な寿命です。
サモエドは犬種特有の遺伝性疾患が少なく、飼い主の健康管理によっては寿命を伸ばすことができます。大きな体にはめずらしく、17歳まで生きたという記録が残っており、丈夫で長生きしやすい犬種です。
股関節形成不全:股関節の関節部分が変形し、かみ合わなくなる疾患。遺伝的な要因が大きいとされていますが、大型犬に多く見られる疾患で、急速に大きくなる成長期に関節に負荷がかかることで発症するとも考えられています。
「横座りをする」「腰を左右に振りながら歩く」「触ると痛がる」「動きたがらない」などの症状があります。治療には、内服や注射によって炎症を抑える対症療法か、手術などが行われます。
肥満も関節に負荷がかかりますので、子犬の時から太らせないように食事管理には気を配りましょう。
皮膚炎:さまざまな原因で皮膚の基本構造が壊れ、発疹やかゆみなどの症状を認める疾患。サモエドは、寒さに耐えられるように、豊富な被毛が密に生えているため、日本の気候においては、皮膚が蒸れやすく、皮膚炎を起こしやすい犬種です。
症状は「かゆみ」「皮膚の赤み」「脱毛」「足の指の間を噛む」「皮膚にベタつきがある」などがあります。
内服薬や外用剤で治療しますが、重症になるほど、治療が長引くため、早期発見、早期治療が大切です。また、皮膚炎の予防のためには、こまめなブラッシングにより、皮膚の換気をよくすることが大切です。
サモエドのしつけ・飼い方
サモエドは可愛らしい外見と、温和でフレンドリーな性格が非常に魅力的な犬種です。しかし、日本で飼育する場合には、いくつかの注意点があります。
サモエドが、少しでも長く元気に過ごせるように、大切に飼育してあげましょう。
ブラッシングを欠かしてはいけない犬種
サモエドの最大の魅力とも言える美しく豊富な純白の被毛は、ケアが欠かせません。
毎日ブラッシングしなければ、毛が絡んで毛玉ができてしまいます。毛玉は、ひどい場合刈り取るしかないため、美しい被毛を保つためにも、ブラッシングを欠かさないでください。
ブラシは、複数用意する必要があります。目の粗いくしで毛先からとかして絡みをとり、スリッカーブラシで根元をブラシすると、空気が入りふわふわになります。
ラバーブラシを使うことで、皮膚のマッサージにもなり皮膚炎を予防することもできます。換毛期は非常に抜け毛が増えるため、1日2回ブラッシングしてもいいでしょう。
さみしい思いをさせない
サモエドは、常に人とともに暮らし、生きてきた犬種です。そのため人のそばにいることを好み、甘えん坊な性格をしています。
室内で飼育することはもちろんですが、留守がちになると、寂しさから落ち着きがなくなり無駄吠えが多くなってしまいます。
常に家族が自宅にいるような家庭が向いています。子供とも仲良く遊べる犬種です。
サモエドの鳴き声は、よく通る大きな声のため、吠えるようになると、日本の住宅環境での飼育が難しくなります。
元そり犬のサモエドが満足できる運動時間を作って
サモエドは、寒さの厳しい土地でそり犬として働いていた犬種です。そのためスタミナが豊富で、運動欲求も強いです。
毎日30分から1時間の散歩を、朝夕と2回してあげましょう。
暑さには非常に弱いため、涼しい時間帯に行くようにしてください。その際には、熱中症にならないように水分を多めに取ったり、様子を常に観察してあげましょう。
おもちゃやボールで遊ぶことも好きですし、他の犬と遊ぶことも好きなので、ドッグランもおすすめです。
サモエドの歴史
サモエドの起源は、ロシア・シベリア北部において狩猟と漁業で暮らしていたサモエド族がそり犬、番犬、猟犬、眠る時の湯たんぽや暖房代わりとして生活をともにしてきた土着犬です。
1870年〜1912年にかけて行われた北極・南極大陸遠征で、サモエドの名前が有名になりました。
この遠征には多数のそり犬が同行し、サモエドもその中の一頭でした。体格の割に食事量が少なく、また厚い被毛が寒さに強いという特性を生かし、極寒の地で大活躍しました。
当時のサモエドは、毛色に黒やタンが混ざっていましたが、冒険家アーネスト・キルバーン・スコット氏が1889年にブラウンのオスの子犬をイギリスに連れ帰ります。
その後、ラウル西部からクリームのメスを、シベリアからホワイトのオスを輸入し、計画繁殖を行い次第に白い被毛が主流となっていきました。
初期の繁殖には、この犬を愛したアレクサンドリア女王も関わっていたといわれています。
サモエドが、アメリカに渡ったのは1906年のことです。最初の1頭はロシア皇帝の兄弟、ニコラス公爵からの贈り物でしたが、その後イギリスから12頭のサモエドが輸入されると、本格的な繁殖計画が行われました。
今日存在しているアメリカ国内のサモエドには、いずれもこの12頭の血統が混ざっており、中でも「Kara Sea」というオスが有名です。
サモエドの値段価格
サモエドは、日本においてはあまりメジャーな犬種ではないため、価格が30万円〜50万円と高価な犬種です。
世界的にみても、高価な犬種で、100万円する個体もいるほどです。
日本国内にブリーダーも存在しています。数が多くないため、すぐに飼い主が決まってしまいますので、飼育を希望する場合は早めに予約を入れておくといいでしょう。
サモエドは、日本で飼育する場合には、気候との兼ね合いもふまえさまざまな配慮が必要です。サモエドの飼育について検討されている方は、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。