スカイ・テリアの基礎情報
・日本語表記:スカイ・テリア
・英語表記:Skye Terrier
・原産地:イギリス
・発生:自然発生
・種類:テリア
・サイズ:小型犬(20~26cm)
・体重:オス9kg~11kg、メス8kg~10kg
スカイ・テリアの性格・特徴
スカイ・テリアは、テリアの中でも古い歴史を持つ犬種の一つで、洗練された上品で威厳がある外見が魅力的な犬種です。
スカイ・テリアの性格
スカイ・テリアは、勇敢で気立てがよく、聡明で飼い主に対して忠実な犬種です。
他人に対しては、警戒心を抱きやすく、疑り深さをみせます。怒ると噛み付くなど攻撃的になることもあり、番犬としての適性はありますが、家庭犬として飼育するには、子犬の頃から社会性を身につける必要があります。
頑固さもあるため、子犬のうちから根気よくしつけを行いましょう。
スカイ・テリアの特徴
スカイ・テリアは、足が短く、体長が体高の2倍の長さのある体型と、豊かな被毛が特徴的な犬種です。
外見は、洗練され上品で威厳があります。
昔はアナグマやカワウソなどの狩猟に用いられていたことから、顎の力が強く、四肢は筋肉質で猟犬の名残を感じさせます。
耳は、立ち耳と垂れ耳の両方が存在し、立ち耳の場合は、優雅な飾り毛に覆われ、大きすぎず、スカルの後ろの方についています。
垂れ耳の場合は、より大きく頭部に沿うように平らに垂れています。
スコットランド版忠犬ハチ公
スカイ・テリアの高い忠誠心を表すエピソードがあります。
グレーフライアーズ・ボビーというスカイテリアは、スコットランドのエディンバラに実在した犬です。
ボビーの飼い主は、エディンバラ市警に夜警として勤務するジョン・グレという男性でした。2年間2人は一時も離れることなく過ごしていました。しかし、ジョングレイは結核のために亡くなってしまいます。
ボビーは主人の死後14年間もの間ずっと主人の墓守を続け、いくら追い払われても戻ってきて離れなかったといいます。
ボビーの忠誠心と飼い主への愛情は人々の心を動かし、ボビーの小さな銅像が作られ、今でも飼い主の墓地の近くに佇んでいます。
スカイ・テリアの毛色・目の色
スカイ・テリアの被毛は、短くボディに密着しており、やわらかく羊毛状の下毛と、長く堅い平らな上毛からなるダブルコートです。
毛質は真っすぐで、カールしていません。頭部の被毛は、ボディより短いですが、前額部と目をおおい隠しており、手触りはボディの被毛よりやわらかいです。
側面の被毛と混ざり合って、耳を縁飾りのように囲んでおり、耳の形を明確にしています。
毛色は、ジャパンケネルクラブによると、ブラック、ダーク・グレー、ライト・グレー、フォーン、クリームのいずれかで、ブラック・ポイント(顔、耳、脚、尾にブラックが入るもの)があります。
被毛は、毛玉ができやすいため、毎日のブラッシングが欠かせません。
ドッグショーに出場することがなければ、顔の上に垂れた毛はカットし、毛が目に入ることによる疾患の予防をするといいでしょう。
目の色は、ブラウンで特にダークブラウンが好ましいとされています。中くらいの大きさで目と目の間は狭く、表情豊かです。
スカイ・テリアの鳴き声
スカイ・テリアは、テリア気質が強く、本来は吠えやすい犬種です。しつけや、社会性を身につける訓練を怠ると、無駄吠えに悩まされることになります。
子犬の頃から、しつけを行うとともに、社会性を身につけるためにも、たくさんの人や犬と触れ合う機会を作るといいでしょう。
日常的に、他の犬と触れ合う機会がない場合には、しつけ教室に通うと社会性を身につけやすいです。
また、警戒心が強いため、小さな刺激に反応して吠えることがないように、子犬のうちからさまざまな音や刺激に触れさせ、安全であることを教えてあげましょう。
頑固なところもありますが、飼い主への忠誠心が高い犬種のため、信頼関係を築き、根気よくしつけを行ってください。
スカイ・テリアの寿命・病気
スカイ・テリアの寿命は、12歳〜14歳前後で他の小型犬の寿命と比較すると平均的な寿命です。
発症しやすい病気が少なく、健康的で丈夫な犬種ですが、生後24ヶ月までは長い散歩や階段ののぼりはできるだけ避けるといいでしょう。
軟骨異形成:骨が十分に成長しない疾患。頭の大きさは正常ですが、手足が極端に短いという成長の仕方を示す病気です。
スカイ・テリア以外にも、ダックスフンドやウェルシュ・コーギー・ペンブロークなど足が短く胴の長い体型の犬種に多く発症する疾患です。
特徴は、太くて短い四肢、背骨の一つ一つが小さい、節々が太いといった点です。
発症すると、骨格が通常の犬よりも弱いため、容易に骨折や脱臼といった筋骨格系の怪我に見舞われる傾向がありますので注意が必要です。
椎間板ヘルニア:さまざまな原因によって椎間板が変性して突出し、脊椎の上にある太い神経を圧迫することで生じる疾患。
原因は、老化、外傷、激しい運動、遺伝などがありますが、スカイ・テリアの場合、胴が長い体型をしており背中に負担がかかりやすいことが原因で発症しやすいといわれています。
症状としては、歩きたがらない、背中を触ると痛がる、ソファなどに飛び乗らなくなった、腰が立たない、排泄のコントロールができないなどがあります。
手足が短い体型の犬種は、軟骨異形成を発症しやすく、椎間板の早期変性を起こしやすいため、一般的に若いうちから椎間板ヘルニアを発症しやすいです。
何箇所もの椎間板が同時に編成して、症状が発現することが知られています。
スカイ・テリアのしつけ・飼い方
スカイ・テリアは、特徴的な体型から飼育環境には気を配る必要があります。
腰など関節を守る環境作り
スカイ・テリアは椎間板ヘルニアなどの筋骨格系の疾患を発症しやすい犬種です。子犬の成長期の時から注意が必要ですので、子犬の迎え入れる前から室内の環境を整えましょう。
ソファなどに登りやすいように、スロープをつけてあげたり、滑ることがないようにフローリングにはマットを敷いてあげましょう。
家の中に階段があっても上り下りさせず、必要な時は抱っこしてあげるようにしましょう。段差には、散歩の時も注意してあげてください。
激しい運動は必要ない
スカイ・テリアは、テリア犬でありながら比較的運動量が多くない犬種です。
激しい運動は必要とせず、1日30分から60分程度の散歩で十分なため、都会の集合住宅地でも飼育が可能な犬種です。
しかし、運動量が不足していると、ストレスが溜まり無駄吠えが増えたり、噛み付くなど問題行動に繋がりますので、運動量が足りているかは、日頃の様子を見ながら調整し確認してください。
激しい運動は、腰などを傷めるため、控えるようにしてください。
高い忠実性ゆえに他人には心を開かない
スカイ・テリアは、主人に対しては高い忠誠心を示しますが、他の人に対しては、心を開かず警戒心を抱きやすい犬種です。
子犬の時から、多くの人に可愛がってもらい、この犬種の友好性と陽気な一面を引き出してあげましょう。
頑固なところがあるため、成長するほどしつけしづらくなります。
子犬を迎え入れたその日からしつけを開始しましょう。しつけは厳しくしすぎると、頑固な性格のスカイ・テリアには逆効果になりますので、褒める時と厳しくする時のメリハリをつけて行ってください。
スカイ・テリアの歴史
スカイ・テリアは、スコットランドの西北端のスカイ島やミスティ島を中心にウエスト・ハイランド一帯に広く生息していました。
一説には1587年に編成されたスペインのアルマンダ艦隊の一隻が、アイルランドの西海岸で難破した際、白色で長毛のスペイン犬がスカイ島に漂着して、この犬種の祖先犬になったともいわれています。
スカイ・テリアは元々、スカイ島在住のマーチン・マクラウド氏が猟犬として使っている犬でした。
昔から、アナグマやカワウソなどの良に用いられていましたが、現在ではその頃より体が大きくなり、同時に猟への欲求が失われ、ほとんど装飾的な被毛を愛好する人により飼育されるようになっています。
1800年代後半まで、スカイ・テリアは、スコッチテリアと呼ばれていましたが、1881年に「スカイ・テリア」として他のテリア犬と区別されます。
スカイ・テリアは、ビクトリア女王に寵愛されたことや、動物画家であるエドウィン・ランドシーアが絵の題材になったことがきっかけとなり知名度が上がり、ペットとしての人気が広がりました。
1800年代後半、スカイ・テリアはアメリカに渡り、1887年にはアメリカンケネルクラブの公認を受けました。
ドッグショーに出場するようになると、注目を浴び、その人気は瞬く間に広がりました。
しかしその後、人気と知名度は徐々に下がっていき、現在では最も絶滅が危惧されている犬種のひとつといわれています。
スカイ・テリアの値段価格
スカイ・テリアは、世界的にも頭数が少なく希少な犬種です。日本国内で、ブリーダーや購入ルートを見つけることは非常に難しいでしょう。
スカイ・テリアを迎え入れたい場合には、海外からの個人輸入となりますが、費用は諸経費を含め50万円程度といわれています。
スカイ・テリアは上品で威厳のある外見と、日本の住宅地でも飼育が可能な運動量であることが大変魅力的です。
しかし、体型よる筋骨格系の疾患には注意が必要で、日常的に気を配らなければならない点が多い犬種です。
スカイ・テリアに興味をもたれた方は、まずはドッグショーに足を運び情報を集めてみることをおすすめします。その際には、ぜひ本記事を参考にしていただければと思います。